『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』が、興行収入10億円突破という快挙を果たしました。(2021/6/30時点)
1988年公開の興行収入11億円を記録した『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』以来の快挙です。本当に嬉しいことです。
『閃光のハサウェイ』には『逆襲のシャア』に負けないくらい魅力的なモビルスーツとキャラクターが登場します。
中でも個人的に気になるのは、魅力的かつミステリアスなキャラクター「ギギ・アンダルシア」。
ギギは主人公ハサウェイと、好敵手であるケネスの両者の気を引く謎の美少女です。
魅力的なシーンが多数ありましたが、彼女の人物象は原作小説を読んでいてもわかりにくい部分があります。
そこで、本記事では彼女の正体と、劇中での活躍シーンの解説・考察をしていきたいと思います。
19歳の愛人。ニュータイプorサイキッカー。
「わたしの本当の姿は薄汚いでしょ。」
このセリフは耳に残っている方も多と思います。
宇宙世紀の大保険会社の創業者「カーディアス・バウンデンウッデン」の愛人である彼女が、ケネスに自分のことを打ち明けるシーンでのセリフです。
これには、ケネスも一瞬言葉を失ってしまっていました。
ギギはハウンゼンという高級シャトルに乗ってる上に、幼さはあるものの動作の一つ一つが可憐で優雅です。
一見、生まれのいいお嬢様ですが、その正体は決して人に胸を張って言えるものではありませんでした。
ただ、彼女にはどこか人を惹きつける魅力があります。勘が鋭く、予言ような発言をする時もあります。
それが優れた洞察力によるものなのか、それともニュータイプ能力によるものなのかは不明です。
ケネスもギギに対して、なにか感じるものがあるようで、ギギが基地を離れようとした際は引き止めています。(ケネスも叩き上げのため、苦労人に対しての同情も多少あるかもしれません。)
ギギはあくまで一般人であり、劇中でサイコミュ兵器を使ったり、モビルスーツ戦をしたりしないためニュータイプなのかどうかわかりにくく、はっきりしていません。
しかし、ハサウェイがニュータイプである「クェス・パラヤ」に彼女の影を重ねていたり、上記のようにケネスもなにか不思議な力を感じていたりと、ほぼニュータイプで間違いはないと思います。
ハサウェイがマフティーであることを、ケネスよりもはやく見破るなど、常人離れした感性を持っています。
さらに、突然パニックを起こして錯乱してしまうシーンもあり、クェス・パラヤのような情緒不安定な面も伺えます。
ただ、年齢は19歳で周りの登場人物と比べるとこどもであり、ある程度はしかたがないのかもしれません。
それに誰だって目の前にテロリストの親玉がいたり、巨人が街で暴れ回ったりしたら発狂します。笑
ギギの担当声優を務めた上田麗奈さんはオーディオコメンタリーで、このギギの二面生について語っており、
マフティーと連邦軍の市街地戦闘のシーンでギギが発狂するシーンはとくに印象に残っているそうです。
上田麗奈さんの演じるギギはすばらしく、色気・幼さ・ミステリアス・情緒不安定。この要素が一人の人間に同居しているなんともいえない危うさを感じさせる演技でした。
ギギはもともと、ハイティーンエイジャーという設定があったものの、映画『閃光のハサウェイ』から19歳と年齢が決められました。
バウンデンウッデンにシャトルハウンゼンのチケットや、地球での住まいを用意してもらうにはそれなりの時間が必要だったはず…ギギの魅力は計り知れませんね。
ギギのサービスシーン。つい目をやってしまうハサウェイ。
『閃光のハサウェイ』が凄かったのはモビルスーツの戦闘シーンだけではありません。キャラクターの表情やしぐさによる演出も素晴らしいものでした。
数ある演出の中でも特に面白いのは、とくにギギのサービスシーンです。
原作でも挿絵によるサービスシーンはあり、「男を惑わす女性」というキャラクターのギギには必須のシーンです。
やたら太ももや唇がアップになるシーンが多く、めちゃくちゃ凝って描写されています。ただエロいだけではありません。
これらの多くのシーンはハサウェイ目線で描写されているのです。ハサウェイ目線といいますか、男性が女性を見る目線になっています。
例えば、唇がアップになる前、ギギの顔はハイアングルから取られ、上目遣いに見え庇護欲を煽るように描写されています。
過去、守りたかった女性は自分よりも何倍も強く、結果、その女性を守れなかった過去を持つハサウェイにこれは効きます。
ハサウェイはギギを簡単に見捨てることができません。
そして、ギギの太ももはローポジション、ローアングルで描写されています。それだけなら、ただキャラクターを魅力的に描くための構図というだけです。
しかし、ギギの太ももがローポジションで描写された次のシーンでは、ちょっとだけローアングルでハサウェイの表情がわかるように描写されます。
この時ハサウェイの顔は無表情ですが、この場面切り替えは、あきらかに目線の先はギギの太ももであったことを暗示しています。
こじらせちゃってるハサウェイは、ついついギギの太ももを見てしまうんです。
こういう細かい構図や演出を、ロボット以外の部分でも手を抜かない制作陣だからこそ、記録的な興業収入を出せたのだと思います。
筆者も1回だけでは満足できず、細かい演出や素晴らしい作画を観るために、何度か映画館に足を運んでしまいました。
続編が待ち遠しいものです。