今回は、2020/12/4より公開されている 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 4D版』のレビューしていきたいと思います。
個人的には『4D』で映画を観るのはあまり好きではなく、新しい映画を観る時は、必ず一回目を2Dで観て余裕があったら4Dも観るという感じです。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』はもう何度もみているし、このブログでも何度も取り上げており、なにより大好きな作品ですので観に行ってきました。
観てきた感想は100満点中70点といったところです。まだ観に行くか迷っているにも方にも参考になるよう理由を書いていきます。
目次
MX4Dはまさかの使徒目線!?使徒の気分を味わえる。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は、序盤にシンジが使徒サキエルと国連軍との戦いに巻き込まれるシーンから始まります。
使徒の足音が聞こえてきて、体にも振動がきます。「ドーン、ドーン、ドーン」とだんだん足音が大きくなるにつれて、4D版では振動も大きくなってきます。
遠くの山から使徒が現れて、その使徒に向かってミサイルが飛んでいき、その風圧が観客にも吹いてきます。
その場にいるシンジの臨場感を味わうことが出来、「これはすごい」と感心していました。
しかし、使徒に向かってミサイルが着弾するとこちらにも大きな衝撃が伝わってきました。
ここらへんからちょっと違和感を感じました…。
国連軍の戦闘機が使徒に向かって、「ダダダダダダッ!」とマシンガンを撃つと、それに合わせて観客の顔面にも「パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!」と、4D版では風がとんできます。
この風がうるさいし、顔にまあまあの威力でとんでくるので人によってはストレスを感じるかもしれません。
私はまさかの「使徒目線が味わえるのか!?」と思ってつい笑ってしまいました。
大きなミサイルが使徒にあたるとその衝撃がこちらに伝わってくるし、エヴァに蹴飛ばされると「ガクン!」と椅子が揺れます。
いままで観てきたアクションものの4D映画では、あくまで「人間対人間」で、映像に合わせて振動がきても違和感がありませんでした。
しかし、使徒に対しての攻撃がそのまま振動で伝わってくるとなかなかびっくりします。
観ているうちに慣れてきますが、使徒がエヴァにナイフで刺された時まで「ズドン!」と衝撃がきたのは、ちょっとやりすぎに思えてしまいました。
批評:物語での重要なシーンにまで、衝撃がくるのは少し見づらい。
使徒に対しての攻撃が観客にも伝わってくるのは、まだ面白いと思えますが、ちょっとした事でも振動がくるところには少しストレスを感じました。
例えばミサトとシンジがリフトに乗っているシーン。
リフトに乗り込む時、4D版では「ガクンッ」と振動がきます。
物語で重要な話をしている時や、ちょっとした事で衝撃があるのは、映画を観ていて少しストレスを感じました。
エヴァは印象的なセリフが多い作品です。静かに聴きたい場面もあります。
戦闘シーンでもないのにそういうところで振動や風がプシュプシュとんでくると、どうしても違和感を感じてしまいます。
と、ここまでマイナスなところばかりになってしまったのでここからはプラスなところを紹介します。
エヴァ初号機の出撃シーンは4Dで楽しめる。まるでエヴァに乗っているような感覚。
4Dの醍醐味はやっぱり戦闘シーンで、戦闘シーンの最中はすごく楽しむことができました。特に最高なのはエヴァ初号機の出撃シーンです。
初号機が、ジオフロントから天井都市に出撃する時、射出中は「ガタガタガタ」と小刻みに震え、天井都市に着くと「ガクンッ」と振動がきて止まります。
初号機が1歩、2歩、と歩く度に振動が伝わってきます。
暴走が始まると初号機の動きににあわせて椅子は左右に揺れ、この臨場感は本当に最高です。
出撃から使徒殲滅まで、エヴァ序を初めて観たかのようなドキドキとワクワクが止まりませんでした。
この「まるでエヴァに乗っているかのような体感」を味わうだけでも『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 4D』を観に行く価値があります。
ただ、だかこそ振動や揺れ、風圧は「エヴァやシンジが攻撃をくらった時」だけにして、「使徒が攻撃をくらった時」まで振動や風圧がくるのは、やめて欲しいと思ってしまいました。
そして毎回使徒を倒すと、顔に「ピシャッ」と霧状の水が吹かれます。
これは使徒を倒した時、血をが噴き出すのをイメージしているのかもしれませんが、やっぱりこれにもちょっと違和感を感じます。
なぜならその「噴き出した血(4D演出で水)」を感じるのは『エヴァ初号機』であり『シンジ(観客が感情移入できる方)』は感じないはずのものなのです。
使徒目線だけでなく、初号機目線まで味わえてしまいました。
4D版とはそういうものなのかもしれませんが、こういったところをもうちょっと工夫してくれるともっとよかったかもしれません。
カッコよすぎる。今までに無い上手い光の使い方。
4Dといえば振動や風の他にも、外部に設置された「照明による光」もあります。これはかなり効果的に使われていて良かったと思います。
リフトに乗った時の誘導灯のような赤い光など、画面外からくる光だからこそ、臨場感が増します。まるで舞台を観ているような気分にもなります。
特に印象的だったのは、『ヤシマ作戦』です。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の山場で1番盛り上がるシーンです。
物語上「夜」、「日本全ての光(電気)がその場に集められている」ということもあって、『光』の使い方がとても重要になるシーンです。
使徒ラミエルを狙撃するために『ポジトロンスナイパーライフル』が発射される時、劇中でも青い電気が「ピカッ」と光ります。
4D版では、これにあわせて外部に取り付けられている照明も、青く光り、画面だけでは限界のある表現をさらに臨場感あるものに仕上げています。
ラミエルがビームを打ち返してきたときも、劇中にあわせて目がくらむような光がつき、うっすら目を開けるとそこにはビームを盾で受けて耐える零号機の姿があります。
シンジに合わせて思わず観客も「綾波!」と叫んでしまいそうになるような演出です。
戦闘シーンでは4Dの強みがとてもよく活かされていて、「衝撃」「光」はエヴァ作品にとても噛み合っていると思いました。
ただ、やっぱり「風」「水」に関しては、アクションの時人間が「ロボットの中に乗っている」という性質上違和感を感じてしまいます。
衝撃はともかく、水しぶきを初号機が浴びようと、中の人間はそれを感じないわけですからね。
この衝撃や風、水の緩急がもうちょっとしっかり区別されていたら100点満点中100点だったのかなと思います。
(ちなみにラミエルが初号機にポジトロンスナイパーライフルで撃ち抜かれた時にも、しっかりバカでかい振動が観客にきました…。がもうこの時には慣れて気にしてない。)
ただ、観に行って損は無い作品であることには間違いなく、エヴァファンなら値段以上に楽しめると思います。
さらに意外だったのが若い女性客が多かったことです。それも彼氏や旦那に連れられて仕方なくというものではなく、1人客や女性同士だけでのお客さんが多かったのです。
リバイバル上映のおかげで新規の方にもエヴァが受け入れられているようで、ファンとしてはとても喜ばしいです。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の4D上映が終わる頃には『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の公開まであとわずかというところまでいくので、シンエヴァまでの時間を4Dを楽しみながら待ちたいと思います。