今回はアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の第一期オープニング“祝福”について考察・解説していきます。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は従来のガンダムファンに加えて、新しい層のファンを獲得することに成功しています。
新規ファン獲得に一役買ったのがYOASOBIが歌う『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第一期OP“祝福”です。
アップテンポでおしゃれな曲ですが、そこにはちょっと怖い歌詞もあったり…。そこで今回は歌詞の意味や解釈について解説、考察していきます。
目次
祝福とは。YOASOBIが歌う新しいガンダムOP。
作品名 | 機動戦士ガンダム 水星の魔女 |
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OP 曲名 | 祝福 |
音楽ユニット | YOASOBI |
作詞・作曲 | Ayase |
祝福とは『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のOP・テーマ曲です。
祝福を手掛けたYOASOBIは“小説を音楽にするユニット”として抜群の人気を誇っており、第1弾シングル『夜に駆ける』は大ヒット、その後の楽曲もほとんどがヒットしています。
また、アニメ作品でも数多くOP・EDテーマ手掛けており、TVアニメ『【推しの子】』オープニングテーマ『アイドル』はYouTube再生数1億回を突破しています。(2023年5月20日現在)
ガンダムという“古参ファン”、“昭和からあるタイトル”、“オタクが多い”、“ロボット物”などなど新規ファンが敬遠する要素を多分に含んだアニメでも、新規ファンが増えたのは祝福のおかげもあると思います。
祝福は“ちゃんと”『水星の魔女』のことを歌っている!?
祝福のいいところは“ちゃんと”『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のことを歌っているところですよね。
この“ちゃんと”という意味がわからない方のために説明すると、アニメのオープニングは物語の内容はそっちのけで歌詞が書かれているものが結構あったりします。アニメ制作陣や原作者からイメージだけ聞いていて、原作は読んでいなかったり、本編は未視聴だったりします。
どちらも忙しいのはわかっていますがそれは少し寂しいですよね。
歌は歌詞の意味を考察したりするのも醍醐味の一つですが、「それには意味はない」と言われてしまうと歌に罪はないですが、ちょっとだけがっかりしてしまいます。
その点YOASOBIが手掛けた『機動戦士ガンダム 水星の魔女』OP“祝福”は、独自性もあるのにJポップとして流行りにのっかていて、さらに歌詞にちゃんと意味があるのが面白いです。
祝福は『機動戦士ガンダム』シリーズの脚本・シリーズ構成を手掛ける大河内一楼の小説『ゆりかごの星』を元に制作されています。
YOASOBはもともと「小説を音楽で表現する」ことをモットーにしているだけあって、相性がマッチしています。
またインタビューでは、YOASOBIは水星の魔女制作陣から、ある程度のネタバレは伝えられているようなことも話していたので、より歌詞について考えてみると楽しいですね。
※『水星の魔女』の元ネタ、プロローグ、ゆりかごの星についての記事も書いています。
祝福の歌詞の意味は?ちょっと怖いけどドラマチック
祝福の歌詞をみてみると…
「一人にはさせない」
「地面蹴り上げ空を舞う」
「目一杯の祝福を君に」
など希望的で元気いっぱいな歌詞がある一方で
「呪い呪われた未来」
「逃げ出す」
「呪縛」
歌ネットから引用
などちょっと怖い歌詞も目立ちます。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、内気で主人公のスレッタが田舎からエリートや財閥の御曹司が集まる学園に入学し、困難を乗り越えて頑張るというハートフル学園ドラマがありつつ、根底にはガンダムらしい“戦争”や“兵器と人の関係”というテーマもあります。
特に主人公のスレッタと愛機のモビルスーツ“エアリアル”には非人道的ともいえる“とある秘密”が隠されており、二期ではついにその秘密があかされたことで、“祝福”の歌詞の意味も明らかとなりました。
※以下ネタバレあり、先にエアリアルやスレッタの秘密について知りたい方はこちらの記事をぜひ先に読んでみてください。
祝福の歌詞はエアリアル目線で確定。プロスペラの呪縛から抜け出せ!
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』二期14話にてついにエアリアルとスレッタがデータストームの影響を受けない理由が描かれました。
作中内のベルメリアとプロスペラの会話から、
- スレッタとエリクトは別人であること
- データストームを克服しているのはエアリアル(エリクト)であること
- エアリアルのなかにはエリクトの魂が残置されていること
が確定しました。
「誰かが描いたイメージじゃなくて誰かが選んだステージじゃなくて僕たちが作っていくストーリー」
「決して一人にはさせないから」
「いつかその胸に秘めた刃が鎖を断ち切るまでずっと共に闘うよ」
「決め付けられた運命そんなの壊して僕達は操り人形じゃない君の世界だ君の未来だどんな物語にでも出来る」
「逃げる様に隠れる様に乗り込んで来たコクピットには泣き虫な君はもう居ないいつの間にかこんなに強く」
「もう呪縛は解いて定められたフィクションから今飛び出すんだ」
これらの歌詞はエアリアル(エリクト)からスレッタに向けられたエールであるというようにも感じます。
とくに「決め付けられた運命そんなの壊して僕達は操り人形じゃない君の世界だ君の未来だどんな物語にでも出来る」「もう呪縛は解いて定められたフィクションから今飛び出すんだ」という歌詞はプロスペラの計画している血まみれの復讐シナリオの道具にならず、スレッタ自身の考えと行動をしてほしいという想いを感じます。
まとめ。全て観終わった後に祝福を聴きたくなる。
パシフィック・リムみたいに2人乗りすることでデータストームに耐えるガンダム出てこないかな。
— アリスケ (@walking_planets) December 30, 2022
祝福は物語を観始める前、観終わった後で歌詞の意味や印象が変わる面白い歌だと思います。特に二期14話を観た後…。
『水星の魔女』は大人気作になったのでこれから三期、OVA、劇場版と続いていってほしいですし、それら全てを観終わった後に祝福を聴くのも良いかもしれませんね。
上まとめると
- 「祝福」とはYOASOBIが歌う「機動戦士ガンダム 水星の魔女」第一期OP。
- アップテンポでおしゃれな曲だが、そこにはちょっと怖い歌詞もある。
- 大河内一楼の小説「ゆりかごの星」を元に制作されている。
- 機動戦士ガンダム「水星の魔女」の祝福の歌詞はエアリアル目線。
- 主人公のスレッタと愛機のエアリアルには非人道的ともいえる秘密が隠されている。
- エアリアルの秘密が明らかになったことで祝福の歌詞の意味も明らかになった。
- 「決め付けられた運命そんなの壊して僕達は操り人形じゃない君の世界だ」などエアリアルのスレッタに対する気持ちがわかるような歌詞もある。
ながらく議論されていた「祝福は誰目線の歌」論争がほぼほぼ“エアリアル目線(エリクト目線)”ということが明らかになりました。もちろん、他のミオリネ目線説などの考えも面白いしそういう見方もできると思います。
『水星の魔女』はミオリネのほがやばい問題を抱えているようで、スレッタにはもっとやばい問題があったりとお互いがお互いの問題を解決しあうような、支えあうような物語です。
そんな二人を見守る祝福の歌詞の目線は、水星の魔女を毎週追っかけてドギマギしながらも見守っている視聴者の目線とも通じるところがあるかもしれませんね。筆者も毎週ハッピーエンドを祈りつつこれからも見守りたいと思います。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。