『トランスフォーマー/ビースト覚醒』観てきました!筆者としてはロボット同士の殴り合いも、機械獣の殺し合いも大好きなので、令和の時代でああいう映画を観ることができて、最高に興奮しました。
しかし、気になるポイントがいくつかあったのも事実で、実際にSNSや評価サイトで感想を調べてみると少なくない人がなにか違和感を感じていたり、“つまらない”と感じたようです。
特に映画の目玉恐竜である“ビースト関連”については賛否両論の様子…。
映画の残念なポジションは人それぞれだとは思いますが、個人的にもビースト達の扱いは引っかかりました。
そこで今回は『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の“つまらない”、良かったところを、特にビーストに焦点を当てて考察していこうとおもいます。
目次
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』もはや時系列がよくわからない新作映画。
作品名 | 『トランスフォーマー/ビースト覚醒』 |
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公開日 | 2023年8月4日 |
制作会社 | スカイダンス・メディア、エンターテインメント・ワン、ベイ・フィルムズ等 |
監督 | スティーヴン・ケイプル・ジュニア |
制作 | マイケル・ベイ等 |
主な登場人物 | ノア・ディアス、エレーナ・ウォレス |
印象的なセリフ | 「驚かせて悪かったジャン。」 |
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』とは、実写映画版『トランスフォーマー』シリーズの第7作目。
新3部作の1作目にあたる作品でタイトルからも分かるように、今作から『ビーストウォーズ』シリーズに登場したビースト戦士を基にしたトランスフォーマー達がオートボットに加わります。
最後の騎士王で匂わせがあったものの本格登場しなかったユニクロンが本格的に登場し、 時系列は前作『バンブルビー』から7年後の1994年の世界です。
予告やパンフ等に、第1作目の実写映画『トランスフォーマー』に繋がっていくとの記載がありますが、すでに前作『バンブルビー』が既に矛盾まみれなので、今後どのように物語をつなげるのかも気になるポイントです。
廃れてるのは分かっていますが、『トランスフォーマー』シリーズファンとしては、実写映画の世界観も、ないがしろにしてほしくない気持ちがあります。
監督はスティーヴン・ケイプルス・Jr.、本作が長編映画3作目の若手で心配ですが、音響監督に和訳ビーストウォーズの担当者にして声優無法地帯メーカーである岩浪美和氏が就任しており、これには“期待してしまったファン”も多いでしょう。
岩浪美音響監督のお言葉「あの時のノリを期待してる人ごめんね。」
流石にハリウッドなだけにふざけるといろいろ大変なことになってしまうためか終始真面目なセリフが多いです。
ビーストウォーズとは?声優無法地帯。
ビーストウォーズについてもおさらいしておきましょう。
『ビーストウォーズ』とはサイバトロンとデストロン、ユニクロンの戦争が終結した数百年後の未来のお話。
セイバートロン星ではサイバトロンもデストロンも平和に暮らしていたのだが、生命の源たるエネルゴンの源泉を独り占めしようと、自らを初代メガトロンの後継者と語るビーストメガトロンが強奪し、宇宙へ逃亡。
彼らを追ったサイバトロンの探査船「アクサロン」の艦長ビーストコンボイはデストロン軍団を追跡し、交戦の末、惑星エネルゴアに不時着。
エネルゴンの影響でロボットフォルムでの活動が制限され変身を余儀なくされた両陣営は、惑星の生物の遺伝子情報をスキャンし、動物へ変身するビースト戦士となった。
当時の3D モデルは怖く、会話も少ない、原作の映像では無言のカットが多く「ちびっ子が怖がってしまう」という懸念があり、日本では初代のトランスフォーマーでも行われていた台詞の大幅な追加が行われました。
『ビーストウォーズ』の翻訳版では音響監督の岩浪美和により、独特な語尾や方言、ちびっこにはわからないような細かい時事ネタを挿入するなどの手法で原作での無声カットでも矢継早にセリフを挟むという大幅な脚色が加えられました。
『ビーストウォーズ』はこうして豪華声優たちによるアドリブが魅力のコメディ作品となります。
しかし、そもそも実際の現場は決して“無法地帯”ではなく「暗黙のルール」や「超えてはいけないライン」というのがしっかりあったそうです。
特にチータス役のアドリブへの意識の高さが身に沁みたとも語っており、あくまでアドリブは雰囲気作りや間をもたせるためのもので、アドリブなどやらないほうが良いとも語っているそうです。
前置きはこのくらいにして、ここからは実際『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の良かったところ、気になったところを語っていきます。
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』レビュー・感想
まずは、観ていてよかったところから。
良かったところ①みんないってるけどCGのかっこよさ。
つまらない映画や褒めどころがなかった映画を評価するときのクッション言葉みたいであまり使いたくない表現ですが、事実なので評価したいと思います。
『トランスフォーマー』の名を世界中に轟かせた実写映画第一作のCGは最高でした。今見ても十分リアルにみえます。
同時期に公開されていた『ハリーポッター』や『スパイダーマン』がCG丸出しの中、『エイリアン』のように特撮なども使わないで本当にそこにトランスフォーマーがいるかのようにみえる完成度でした。
もちろんそれはCGの相性や技術だけでなくマイケル・ベイ監督とスティーヴン・スピルバーグ監督の撮影テクニックがあってこそのものです。
そんな実写映画版トランスフォーマーシリーズの末裔である『トランスフォーマー/ビースト覚醒』もCGは流石の出来栄えでした。
特にビーストたちの動物の皮と金属が混じった肌の質感とかついアニマトロニクス使ってるんじゃないかと疑ってしまいました。
良かったところ②歴代トランスフォーマー作品へのリスペクト。
今作『トランスフォーマー/ビースト覚醒』は文字通り『ビーストウォーズ』へのオマージュやリスペクトもありましたが、所々で制作陣のこれまでのアニメトランスフォーマーシリーズへの造詣の深さを感じるところがありました。
特に人間がトランスフォーマーになるところは『超神マスターフォース』や『アニメイテッド』の雰囲気を感じました。
良かったところ③敵味方陣営の人間臭さ。
エイリアンのはずなのに人間臭いトランスフォーマー達も魅力的です。オートボット陣営はもちろん、今作の悪役テラーコン、“スカージ”の人間臭さが良かったというかトランスフォーマーらしかったというか、心をユニクロンに囚われているという設定のわりには戦利品を収集するという趣味があったりと可愛かったですね。
以上、良かったところです。人間の葛藤も敵側の企みも大体いつもどおりのトランスフォーマーでした。
ここからは気になったところを書いていきますが筆者個人の感想であり、新しく始まった実写映画トランスフォーマーリブートシリーズの雰囲気が好きな人は閲覧注意です。
気になったところ①トランスフォーマー達の人間臭さが薄い。
『トランスフォーマー』の魅力はエイリアンなのに人間臭いところにあると思います。
「人間より大きい人型のエイリアンが地球でマッチポンプの戦争をする」という構図が魅力です。人間世界でも大国が小国の争いを理由にして、仲裁の体裁をとって自分たちの利益のために武力介入するなんてことはよくありますよね。
そんな人間の文明や文化遺産なんて知るかって感じで思いっきりロボットプロレスをやるところがトランスフォーマーの魅力だと思います。
オプティマスも言っていましたが、人間とトランスフォーマーはよく似ています。深い思いやりを持つ一方で非情に暴力的、そんなトランスフォーマー達の身勝手さが『トランスフォーマー/ビースト覚醒』では良く描かれていました…が正直今までの作品以上かというと、そんなことはなく凡作といった感じです。
上記では良かったところとして人間臭さを上げましたが、正直もっとやっていいと思いました。
実写映画版『トランスフォーマー』のリブート作で、興行収入的に大成功した『バンブルビー』では、悪役のシャッターとドロップキックの掛け合いがいい味を出していました。
大衆に受けたのはチャーリーと、バンブルビーの絆かもしれませんが、個人的には人間ドラマなんかどうでもいいです。
『トランスフォーマー』の主役はトランスフォーマーなんだから、下手に人間ドラマに焦点を当てないで、トランスフォーマーの感情をもっと綿密に描いてほしいです。
インタビューを聞いたりする限り、岩浪音響監督や声優陣は色々努力してたそうですが偉い人に止められてしまったそうで残念です。
オリラジの藤森さんの声優も思ったよりよかったけど、あれだけチャラチャラとした感じが許されるなら、川下りしてるときとかのビースト連中の会話をもっと増やしても良かったんじゃないでしょうか。
気になったところ②ビーストが変身する意味と設定。
もうリブート作品と監督もぶっちゃけているんだし、中途半端に実写『トランスフォーマー』意識しないほうが面白くなると思います。
マキシマルたちはビーストになる理由がはっきりしていませんでした。
オートボットとは異なる種族である彼らには、原作と同様に地球の大気やエネルギーが合わないのかもしれません。
そのため、現地の生物の姿をスキャンして、身を守るためにその姿に変身しているという理由でよかったのではないでしょうか。
敵側も地球のエネルギーやビーストとの因縁よりも、ワープキーのほうが大事そうだし、ラットルやビーストメガトロンをだせとは言いませんが(続編に出るかもしれないし)、ビーストが出てきた意味が薄かったのは残念です。
まとめ。トラヴィス・ナイトのやりたいようにやってもらうのが一番。
ポリコレもそうですが、下手に他実写映画との繋がりや人間ドラマに気を使わないほうが面白い作品ができると思います。今作の雰囲気も決して悪くはなく、十分続編も期待できるものでした。
このままビーストの設定を腐らせるのか、生かせるのかは監督の腕次第になると思うのでぜひ『バンブルビー』を成功させたトラヴィス・ナイト監督の手腕をみせてほしいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。