ボンドルドやワズキャンなど頭のおかしい魅力的なキャラクターが多いのが魅力的な『メイドインアビス』。
今回は『メイドインアビス』において有名サイコキャラの陰に隠れてるけど、個人的にはかなりすきな壊れ方をしている“ベラフ”について解説&考察していこうと思います。
目次
ベラフとは。作中屈指の巨大な成れ果て。狂った賢者。
登場作品 | 『メイドインアビス』 |
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名前 | ベラフ |
居場所 | 深界六層“還らずの都”の成れ果て村“イルぶる” |
関連キャラクター | ボンドルド、ナナチ、リコ、イルミューイ、ヴエコ、ワズキャン、ファプタ |
外見 | 目がクリ抜かれたような仮面、長龍のような長い胴体。成れ果てとしては巨大。美青年時代には火傷の跡がある |
性格/特性 | 温厚、話が分かる、賢人、誠実で高潔、様々な言語や文字を翻訳できる能力を持つ。 |
過去 | ガンジャの3人のリーダーの一人、黄金卿を目指す。イルミューイやヴエコと良好な関係を築いていた |
成れ果ての理由 | 自分の「抗えない食欲」と「自分を罰してほしい」という欲望を具現化 |
最期 | 村が崩壊し、記憶と人柄を取り戻す。イルミューイに対する感謝の言葉をファプタに伝え、消滅する |
印象的なセリフ | 「喫ミーティ」「美しさとは眼だ」 |
ベラフとは、深界六層“還らずの都”の成れ果て村“イルぶる”にいる三賢の一人です。目がクリ抜かれたような仮面と、長龍のような長い胴体をもったイルミューイを除くと作中最も巨大な成れ果てです。
イルぶるについてはこちら
奥が吹き抜けになっている洞窟にピギムゥなど小さな成れ果てたちと暮らしています。
性格は温厚で“話が分かるほう”ですが、かつてボンドルドが村を訪ねた際に見せた不死のミーティがどうしても欲しく742本の手足全て、体長の5割、感覚器の一部を対価として村からミーティの完全な複製を生成します。それを吸い上げるように食べることを楽しんでいるなど、見かけ通りの恐ろしい一面を持っています。
さらに、ナナチを取り戻しに来たリコに対しては、リコの両目、両足、臓腑の半分どれかを交換条件としてもちかけたりと、初見では見た目通り人間の血は通ってないように思えてしまいます。
ベラフの過去。誠実で高潔な賢人。
ベラフはかつて、アビスにあるという“黄金卿”を目指した決死隊「ガンジャ」の3人のリーダーの一人です 。
透き通った瞳と、強い意志を感じる鋭い目つきが特徴の美青年です。顔には火傷がありますが、これは過去に拷問されたときに残った痕だと、作者のつくしあきひと先生は語っています。
過去のトラウマを払拭し切れていないヴエコに対して「その眼差しこそが美しさの本質なのだ」といったりと、相手がどんな身分でどんな過去を持っていようと、対等に接することができる誠実で高潔な人物です。
また頭も切れるようで、様々な国を旅してきた経験を活かして、未知の言語や文字等をある程度翻訳することができます。
先住民達との交渉役を担っており、イルミューイともヴエコの次に慕われていました。
ベラフが壊れてしまった事件。狂いたいのに狂えない。
ベラフはイルミューイともヴエコとも良好な関係を築いていきました。しかし、深界六層にて水に擬態した原生生物に寄生され衰弱し、その後ワズキャンが振る舞ったイルミューイの子ども料理を食べてしまったことから、精神を病んでしまい廃人のようになってしまいました。
イルミューイの子どもだとわかったうえで、それでも食欲に負けて子どもを食べてしまう自分に絶望し、やがて自傷行為までするようになってしまいます。
他の決死隊の隊員達は、正気を失ったり狂うことで逆に精神を守っていたのに対し、ベラフは自分が“イルミューイの子供を奪って食べている”という真実に狂わず向き合い続けていました。
ベラフは以前、イルミューイが子どもを産めない体であることを理由に部族から追いやられたことを知っており、イルミューイが欲望の揺籃に懸けた『願い』を知っていました。
知ったうえで、そのイルミューイから子どもを奪うことと向き合ったことで、よりベラフの罪悪感と絶望に拍車をかけます。
精神的なショックと肉体的疲労から、以前とは比べ物にならないほどやせ細り、顔色も悪くなっていきました。
そして、とうとう肉体が“イルぶる”レベルまで巨大化したイルミューイがアビス中央への移動した際、その場に残って死のうとするもワズキャンに運ばれてしまい生き残ってしまいます。
さらに、完全に“村”となって停止したイルミューイに対し、自分を罰してほしいと懇願します。すると、その懇願に呼応したかのように村の“入口”が現れベラフから人間の姿と記憶を奪い、成れ果ての姿に変えてしまいました。
生気をなくしていた他の隊員たちも、そんなベラフの様子を見て“身を捧げれば罪が清算されると考え”、村へ続々と入っていきました。
ワズキャンの「苦しみに慣れなかった気高い君じゃあなきゃね」というセリフから、ワズキャンは意図してベラフをイルミューイの元へ連れて行った節があり、他の隊員を扇動するよう仕向けられていたようにも思えます。
“子どもが生んだ子どもを喰う”という地獄に慣れていき、現実から目を背けるためイルミューイを“神”のように扱っていた隊員達とは違い、最期まで高潔だったベラフは最後までイルミューイを“人”として見続け、それゆえに絶望して壊れてしまいました。
ベラフの見た目の理由は?成れ果ては自分の欲望を具現した姿になる。
成れ果ては人間の時の自分の欲望を具現した姿になるといわれていますが、ベラフの場合「抗えない食欲」と「自分を罰してほしい」という欲を体現しています。
抗えない食欲とは、喫ミーティのシーンで描かれています。
イルミューイの子供を口をつぐんで食べないことや吐き戻すことだってできたはずなのに、それでも自分が生きるために食べてしまった。そんな食欲が成れ果てになっても残っています。
また「自分を罰してほしい」という欲は、ベラフにとっての不変の価値基準だった“目”を奪われていることからわかります。
眼差しこそが美しさの本質と語っていたベラフの成れ果ての姿には人間のころの澄んだ美しい瞳はなく、目があるはずの空洞からは他者を搾取するための薄汚い口吻がのびてきます。
怖い見た目ですが、冷静に考えるとベラフには“欲望”といえるようなものは食欲と罪悪感くらいしかなかったという聖人君主っぷりが窺がえますね。
ベラフの最期。記憶を取り戻し、希望も取り戻す。
ファプタの攻撃によって村が崩壊したとで、村に奪われていた記憶と本来の人柄を取り戻します。またベラフの体はイルぶるの手足として作り替えられてたために、村の外に出ても他の成れ果ての様にすぐには消滅しない特別製だったことが明かされました。
ベラフは怒れるファプタに対し、頭をぶつけて破壊させることで、匂いに変えたイルミューイがヴエコ達決死隊と過ごした記憶をファプタに渡します。(この記憶を匂いに変換する能力でミーティとの思い出をナナチに過剰に思い出させて心を束縛していた。)
ベラフは最期に、イルミューイが決死隊を恨んでいたわけではいないことや、イルミューイのことを子供の様に思っていたこと、イルミューイもまたベラフのことを本当の親の様に慕っていたことをファプタに伝えます。
そして本来、ベラフがイルミューイに言いたかったであろう“子を旅に送り出す言葉”をファプタに投げかけます。「恐れず進め 君の冒険を楽しんでほしい」そう祈ってベラフがイルぶると同じように消滅していきました。
まとめ。カートリッジの再登場はある?
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ベラフは黄金卿編ではそれなりの活躍と見せ場がありますが、ワズキャンやマアさんのキャラが濃すぎてあまり印象に残っていないという人も多いようです。
私は異形の巨大な知性を持った生物が大好きなので残念ですが、ファプタはベラフのおかげで完全に呪縛から解放されており、未練もなにも残っていないのでベラフの再登場もおそらくないと思います。
それでも回想シーンでたまに出てきてくれるとファンにとってはうれしいです。
以上まとめると
- ベラフとは深界六層還らずの都の成れ果て村イルぶるにいる三賢の一人。
- ベラフは目がクリ抜かれたような仮面と長龍のような長い胴体をもったイルミューイを除くと作中最大の成れ果て。
- 人間だったころは透き通った瞳と強い意志を感じる鋭い目つきが特徴の美青年である。
- 相手がどんな身分でどんな過去を持っていようと対等に接することができる誠実で高潔な人物。
- 深界六層にて水に擬態した原生生物に寄生され衰弱し、廃人のようになってしまった。
- 廃人の様になってしまったのは栄養失調が原因ではなく、食欲に負けて子供を食べてしまう自分に絶望したこと。
- ベラフはイルミューイが欲望の揺籃に懸けた「願い」を知っていた。
- イルミューイは最期、ファプタに命がけで人間だったころの記憶を渡す。
こうしてまとめてみると、原作初登場時、「こいつ絶対ラスボスやん」と疑っていた自分が恥ずかしくなりますね。
また、アニメで観ると時系列が整頓されているのでより過去がわかりやすくなっていますが、その分イルぶるの不気味さに拍車がかかっていて、漫画もアニメもどちらも良いですよね。
特に成れ果てベラフの喋り方は、しっかり“記憶を失っている人間”という感じで、声優さんの凄みを感じました。
以上最後までご覧いただきありがとうございました。