今回は2022年7月よりアニメ化された『メイドインアビス』烈日の黄金郷編や、成れ果てについて考察していこうと思います。
アニメ化前は放送事故になるんじゃないかと心配されたり、映画はR指定くらったりで毎度ファンを盛り上げてくれる『メイドインアビス』。
烈日の黄金郷編もどのようにアニメであの成れ果て達の魅力を世界観を表現してるかみどころです。
今回はアニメ『メイドインアビス』の二期にあたる、『メイドインアビス』烈日の黄金郷がもっと面白くなるような考察をしていきたいと思います。
名付けて「『メイドインアビス』烈日の黄金郷編、成れ果ての元ネタはクーロンズゲート説」です。
一応ネタバレに関しては原作未読でアニメで楽しみたいと思っている方も大丈夫な程度にとどめようと思っています。
むしろ、これから初めて烈日の黄金郷編をアニメで観るという方がもっとアニメを楽しめる前知識にもなると思うので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
謎(物理)に包まれた奇妙な村。『メイドインアビス』烈日の黄金郷 おさらい。
登場作品 | メイドインアビス |
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作者 | つくしあきひと |
主人公 | リコ |
印象的なセリフ | 喫ミーティ |
まずは『メイドインアビス』烈日の黄金卿編についておさらいしていきます。
ボンドルドと勝負し、見事白笛を手に入れたリコ達は、深界六層・還らずの都へと到達しました。
そして探検を続けるリコ達は、成れ果て達の住む奇妙な村「イルぶる」に到達するのでした。
ここでリコ達にはさらなる試練が待ち受けているわけですが、今回はバトル要素はひとまず置いといて、この奇妙でありながら、どこか魅力的な村と村人達について語っていきます。
イルぶるとは。奇妙妙な村人と村のシステム。
『メイドインアビス』烈日の黄金卿編に登場するこの「イルぶる」という村は村人から村のシステムまで全てが奇妙です。
村の外観は大きな袋のようになっていて、村をアビスの獣達から覆い隠すようなつくりになっており、村人は、みんな成れ果ての姿になっているので、人間離れした姿になっています。
かわいい見た目なのにケツが汚い村人や、体が機械のような見た目になっている村人もいます。見た目は人間離れしていますが、みんな社会的でそれぞれが役割・仕事のようなものを持っています。
村ではお金をやり取りするのではなく、「価値」がやり取りされており、自分が大切にしているもの・必要なものには価値がつき、それをやり取りするで彼らは生活しています。
人間でも価値が理解できる食べ物や宿を貸してくれる仕事もあれば、成れ果て特有の変わったことで価値をやり取りしている村人達もいます。
この価値のやり取りも面白くて、不公平な取引や力ずくで価値のやり取りを行おうとすると「清算」という制裁を受けることになります。
制裁は村のシステムで、村はまるで生きてるかの如く村人の魂の信号を読み取り、不公平があった時は、価値が釣り合うまで対象者の所持品や身体を奪います。
村はまるで生きてるようで、複雑怪奇。そこに住む住人達もまた異形の姿。村人達の仕事はどこか変わっている。
この設定どこかでみたことがあるような気がします。
『イルぶる』の元ネタはクーロンズゲート説。
みなさん『クーロンズゲート』って知ってますか?
史上最大の違法建築『九龍城砦』をモチーフにしたプレステーションのゲームです。九龍城というのは元々砦だったものがスラム街になったもので、1度入ったら出られないと言われる程、内部が入り組んだ構造になっていたそうです。
東洋の魔窟なんて呼ばれていました。そのカオスな雰囲気を『クーロンズゲート』では楽しむことができ、その不気味で混沌とした雰囲気と妄人ワンニンと呼ばれる奇妙キャラクター達が当時話題になったそうです。
アジアンゴシックとサイバーパンクな世界観は当時のゲーム業界や漫画、アニメにも大きな影響を与えました。
『クーロンズゲート』の物語をざっくり説明すると
1997年の香港。『九龍城砦』が陰界と繋がってしまった謎を主人公が解き明かし、世界を元通りにすることがゲームの目標です。
陰界というのは、あの世みたいなものだと思ってください。通常は陰界と陽界は混じり合わないんですが、とあることが原因で陰界に邪気が溢れてしまったことで世界が陰陽混じってしまったそうです。
この邪気というのが厄介で、邪気の影響で物が凶暴化したり、逆に人間が物になってしまうという事象も起こってしまいます。物になった人間は妄人と呼ばれ、人間だった頃執着していた物に見た目が似てしまいます。
これがまた奇妙だけど魅力的な見た目をしています。
そもそも、この世界がおかしくなってしまった理由は、『四神獣の見立』の儀式を行わなかったことが原因でした。
『四神獣の見立』の儀式とは簡単に説明すると、人柱を4人用意して四神獣に見立てることで世界の安定を守る儀式です。
さすがに、茶番はここまでにします。そうなんです。妄人と成れ果ての設定やクーロンズゲートとイルぶるがものすごく似ています。
パクリというわけではなく、何かしらのインスピレーションは受けてると思うんですよね。
妄人には、人間の頃に執着していたものに姿が似てしまう設定は、成れ果てとも共通しています。
そして、内部が外からわからない複雑な居住区もですが、『クーロンズゲート』の妄人達も変わった商売をしています。
九龍城内には鏡屋だったり有名なものだと、えび剥き屋という、めちゃくちゃ限定的なことに対する商売があります。
そのちょっと変わったクーロンズゲートの売買の雰囲気とかが、ものすごくイルぶるの雰囲気と似ています。
他にも案内役のキャラクターのどこか抜けていて陽気な感じや、不老不死要素とかも含めると烈日の黄金卿編はクーロンズゲートに似ている設定や要素が多いと思います。
これは、パクリだっ!と騒ぎたいわけではなくて、烈日の黄金卿編と『クーロンズゲート』という作品両方知っていると『メイドインアビス』という作品その物がめちゃくちゃ面白く感じることができます。
既に原作で烈日の黄金卿編を知っている人も、これからアニメを観る人も、今から『クーロンズゲート』をやるのはさすがに大変だと思うので、ニコニコ動画やYouTubeにもプレイ動画があったのでぜひ興味がある方は調べてみてはいかがでしょうか。
つくしあきひと先生のゲーム好きについて。クーロンズゲートはプレイしている?
烈日の黄金卿編が『クーロンズゲート』に似ているというのは、あの世代、というか今の世代もそうなんですが、国内外問わずアジアンゴシックやサイバーパンクの世界観っていうのは『クーロンズゲート』の影響を大なり小なり受けていると思います。
実際、クーロンズゲートを先生がプレイしたとは言及されていません。
ただ、メイドインアビスも『世界樹の迷宮』っていうゲームから影響を受けていることがあかされていますし、『ウィザードリィ』っていうRPGの御先祖様みたいな作品もつくし先生はプレイしています。
自分もセガサターンで、1998年に発売された、『クーロンズゲート』の翌年に出た『ウィザードリィネメシス』をやったことがあるんですが、『メイドインアビス』烈日の黄金卿編に関しては『世界樹の迷宮』や『ウィザードリィ』よりも世界観がクーロンズゲートに似ています。
つくしあきひと先生が直接元ネタにしたかどうかはわかりませんが、個人的にはあの時代の人達の思い出のどこかに『クーロンズゲート』はあるんじゃないかと思います。
まとめ。成れ果ての魅力はどこからくるのか。
上記では成れ果てや黄金卿編の元ネタについてクーロンズゲートと照らし合わせて考察してみました。クーロンズゲートもメイドインアビスもメジャーな作品ではないですが、のめり込むとどこまででも深くいける最高の作品です。
どちらの作品も“人”と“人だったもの”の描き方が面白くて、案外人間離れしている方に人間臭さや人間の愚かさ、魅力があったります。
以上まとめると
- アニメ「メイドインアビス」の烈日の黄金郷編、成れ果ての元ネタは「クーロンズゲート」かも。
- 成れ果て=妄人?
- 成れ果ても妄人も見た目は人間離れしているが、それぞれが役割・仕事のようなものを持っている。
- 「イルぶる」では不公平な取引や力ずくで価値のやり取りを行おうとすると「清算」という制裁を受ける。
- 「クーロンズゲート」とは、史上最大の違法建築「九龍城砦」をモチーフにしたゲーム。
- 「九龍城砦」は元々はスラム街だったが、1度入ったら出られないと言われる程内部が入り組んだ構造をしている。
- クーロンズゲートでは邪気の影響で物が凶暴化したり、逆に人間が物になってしまう。
- 妄人と成れ果ての設定や、クーロンズゲートとイルぶるがものすごく似ている。
- イルぶると同じく、九龍城内には鏡屋だったりと、限定的なことに対する商売がある。
- 案内役のキャラのどこか抜けていて陽気な感じもする。
- メイドインアビスの作者つくしあきひと先生はゲーム好きで「クーロンズゲート」については明言していないが同時期に発売した似た雰囲気のゲームをプレイしている。
烈日の黄金郷編は個人的にすごい好きなお話で、バトルやゴア表現に関してはボンドルド編の方が好きなんですが、「イルぶる」で暮らす成れ果て達の生活の様子がえがかれているところが面白いです。
『クーロンズゲート』もそうなんですが、異世界の生活がちゃんと描かれている作品って必ず面白いんですよね。その世界の価値観や文化によって食や仕事が現実とどう違ってくるのかよく造り込まれた設定です。
つくしあきひと先生の想像力は本当に凄いですね。敬意を込めて宮崎駿オルタと心の中で呼んでいます。
アニメも原作も今後の展開が楽しみです。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
『メイドインアビス』成れ果て・黄金郷の元ネタはクーロンズゲート説。考察&解説。