今回は漫画・アニメ『チェンソーマン』に登場する【永遠の悪魔】について考察・解説していこうと思います。
『チェンソーマン』のアニメ化が盛り上がっている中、ついに永遠の悪魔が登場しました。
デンジが公安に所属してから初めてチェンソーマンの姿になって戦闘する重要なシーンです。
永遠の悪魔についての能力やなぜデンジの心臓を求めていたのかの解説、アニメの反響についても解説&考察していこうと思います。
永遠の悪魔編は『チェンソーマン』を好きになったきっかけの作品で、デンジのクレイジーな戦いと発想に引き込まれていく回になっています。
永遠の悪魔の目的や能力、アニメについて考察&解説していきましょう。
目次
永遠の悪魔とは。チェンソーマンの過去を知る悪魔。
永遠の悪魔とは『チェンソーマン』1部にて序盤に登場した悪魔です。
チェンソーマンの過去を知っているような口ぶりで、チェンソーマンに変身できるデンジの命を狙っています。
作中では公安メンバーをホテルに閉じ込め心理的に不安定にさせ、デンジの心臓を要求することで公安メンバーを仲間割れさせていました。
しかし、デンジや公安メンバーに直接手を出さず、わざわざ術中に嵌める回りくどい戦い方をしていることで、本体の戦闘力はそこまで高くないことが見抜かれます。
さらに、デンジを執拗に狙うことで、デンジが悪魔にとって厄介な存在であるとアキに見抜かれ、思わぬ反撃にあってしまいます。
永遠の悪魔の能力。恐怖で膨らみ恐怖に捕らえる者。
永遠の悪魔の能力は、永遠の名の通り恐怖を吸い取ることで、体の細胞を無尽蔵に再生と増殖をさせることができ、他の悪魔のように血を必要としなくても生きていられることから、他殺や自殺をしない限り、永遠に存在し続けることができます。
また、空間を断絶することもできるようで、作中では公安メンバーをとあるホテルの8階に閉じ込めていました。
断絶された空間には心臓がなく、攻撃されても致命傷にはならないという無敵っぷりに、公安メンバーの戦意を喪失させていきます。
おそらく8階というのは∞とかけているのでしょうが、これが能力を使うための必要条件なのか永遠の悪魔の洒落なのかわかりません。
ですが、上記の能力が無制限に使えたら、対人間相手には強すぎる能力ですね。
永遠の悪魔の最期。永久機関が完成するという皮肉。
「ひらめいたぜ~」
「テメエが俺に切られて血イ流して!」
「俺がテメエの血イ飲んで回復…!」
「永久機関が完成しちまったなアア~!!」
「これでノーベル賞は俺んモンだぜ~!!」
永遠の悪魔は攻撃されて痛みを感じることも血を流すこともあっても死ぬことはありません。しかし、その能力を理解した上で、デンジは攻撃を続けました。
デンジの作戦は、永遠の悪魔が死にたくなるまで攻撃することでした。
単純で悪魔のような発想ですが、武器人間としての特性と、悪魔としての特性を上手く利用した効果的な作戦です。
そして、ついに永遠の悪魔の最期が訪れます。
デンジに永遠に殺され続けることに耐えきれず、殺してくれと懇願するところで幕は閉じました。
デンジが公安に所属して初めてチェンソーマンに変身して戦った相手にふさわしい強さでありながら、デンジのクレイジーさとチェンソーの悪魔の恐ろしさが伝わる回でした。
次章からは、アニメ版の永遠の悪魔について解説していきます。
アニメでは優遇?EDでかっこよさ倍増。
永遠の悪魔はアニメ化において最も優遇された悪魔だと言ってもいいかもしれません。
筋肉の悪魔という存在をカットされた悪魔すらいる中、永遠の悪魔は2話に続いてしっかり見せ場が用意されていた上に、エンディングも2パターン用意されていました。
アニメ『 チェンソーマン』は毎回その回の内容やピックアップされたキャラクターにあったエンディングが用意されているのが特徴的です。
その中でも、5、6話のエンディングは姫野やアキなど主人公周りや、銃の悪魔というラスボス級のキャラが描かれていたものの、圧倒的に永遠の悪魔に関連した画が多かったです。
ペンローズの階段など、永遠の悪魔を思わせるような演出がかっこよかったですよね
また、永遠の悪魔の多数ある口が、それぞれ一つの会話をしている不気味さが伝わり、ホテル内でブクブク膨らんで増殖していく感じは、鳥肌が立つほどゾクゾクしました。
ただ、すべてが満足かと言われるとそうではないです。SNSや評価サイトのコメントをみると、満足できなかった人も少なくないようです。
アニメ版の永遠の悪魔は戦闘シーンが微妙?何を言っているかわからない
チェンソーマンの監督、戦闘シーンなんでこんな微妙にしたん〜?
サムライソードとかレゼ編が心配
最初の方はまだ許容できたけど流石に永遠の戦闘シーンはだめでしょ…— ゆかり1️⃣🆙( ◝▿◜ ) (@ZePasankwaii) November 23, 2022
上記の「多数ある口がそれぞれ会話をしている」シーンや、アキや姫野に永遠の悪魔が語りかけているシーンでは、不気味さが出ていて良かったのですが、戦闘シーンになると、BGMやSEにとごちゃ混ぜになって何を言っているのかよくわかりません。
コミックでは、永遠の悪魔の肉を切刻むのを半ば楽しみながらやっているデンジのクレイジーさに、恐怖を語っていた永遠の悪魔が気圧されていくのがよくわかりますが、アニメだとテンポが悪いせいか、ただ攻撃を続けているだけのようにも見えました。
永遠の悪魔の「すいませんでした」「もう殺してください」という懇願の声も聞き取りずらく、急に心臓が現れたようにみえます。
肝心のデンジが永遠の悪魔の心臓を一刀両断するシーンも引きの画で、爽快感がありませんでした。
EDで“大物感”があっただけに、あっけない永遠の悪魔の最期にがっかりしてしまった読者もいるようです。
個人的にも、永遠の悪魔が心臓を差し出した時のデンジの「も~終わりか~?」という煽りと、そのつぎの「チッ手間かけさせやがって」と言いたげなかっこいい後ろ姿に惚れていたので、アニメの演出には少し残念でした
引きの画は実相寺アングルを意識しているのか?
第7話 永遠の悪魔戦を観た感想
正直アニメの引きの画を多用する感じ好きになれなかったけど、実相寺アングルを意識してるのかと思ったらなんか良いなと思えた
迫力は確かに漫画と比べ落ちているけど、背景がリアルで特撮でしか味わえなかった異形が“そこにいる感”が良い。
— アリスケ (@walking_planets) November 27, 2022
すでに一部では話題になっていますが、アニメ『チェンソーマン』の監督は作品内で引きの画を多く使っています。
中でも戦闘シーンで引きの画になることが多く、コミックを読了済みのファンからは原作のかっこいい構図が使われていない、又は一瞬しかないことに違和感を感じています。
実は、このことは監督もわかってやっているようで、アニメ公開前の制作陣インタビューでは、革命的なアニメにするようにあえて実写映画風にやっているようなこと語っていました。
たしかに『チェンソーマン』作者の藤本タツキ先生は映画好きで有名で、作品内にも映画の構図をオマージュしたものが多々あります。
その点では、実写映画風にアニメを撮るという試みもチェンソーマンとマッチしているのかもしれません。
実写でのかっこいい撮り方として個人的には実相寺アングルが好きですが、アニメ『チェンソーマン』も実相寺アングルを意識しているのかもと思って観てみると面白いです。
実相寺アングルとは、映画監督である実相寺昭雄氏特有のカメラアングルで、撮りたい対象物をあえて物陰や部屋の隅、小物越しで撮ることで画面をより映えるものにする撮影のテクニックです。
近年ではエヴァやシンウルトラマンで有名な庵野秀明監督も作品に取り入れていることで、再度注目が集まっています。
ロボットや怪獣の全体をあえて遠くから、ビルや小物越しの視点で観ることによって、異形の存在がよりリアルに感じます。
現実では、ありえない風景が現実にあるかのように撮影されていることによって、独特の雰囲気を画面から感じることができます。
アニメ『チェンソーマン』も戦闘シーンをよく観察してみると、デンジを悪魔やビルの破片の影、窓の後ろからの視点で撮っています。(アニメなので撮っているという表現は適切ではないが。)
永遠の悪魔戦では、デンジが暴れている様子を上から眺める姫野越しの視点や、デンジが永遠の悪魔の心臓を両断する姿を、散らばった悪魔の肉片越しに撮っています。
これらは、確かに実相寺アングルとしてみると面白く、アニメなのに実写映画や特撮映画を観ているかのような不思議な感覚があります。
ただ、それでもアニメに違和感を感じているのは、藤本タツキ先生の漫画内の構図がそれだけ素晴らしかったからなのかもしれません。
まとめ。永遠の悪魔という強キャラを楽々倒してくれる主人公の頼もしさ。
やはり漫画はテーゼ アンチテーゼ ジンテーゼをしっかり描いてくれると面白いですね。
悪魔の提案をそのまま受け入れるべきだと言うかませキャラ達(テーゼ)
悪魔の提案に疑いをもつべきだと言う有能キャラ(アンチテーゼ)
悪魔を殺す手段を最期まで考えていた主人公(ジンテーゼ)
本来の弁証法の意味とは違いますが、すべての案を飲み込むような奇抜な発想をしてくれるデンジには安心感があり、よく見かけるジャンプ的な頼れる人格者の主人公キャラではないのに頼りがいがあります。
デンジの良さがすべて詰まった回である永遠の悪魔編はとても見ごたえがあり、アニメから永遠の悪魔を知った方にもぜひ原作と読み比べて楽しんでみてほしいです。
まとめです。
- 永遠の悪魔とはチェンソーマン1部にて序盤に登場した悪魔で、チェンソーマンに変身できるデンジの命を狙っている。
- 公安メンバーをホテルに閉じ込め心理的に不安定にさせ、デンジの心臓を要求して仲間割れさせていたという。
- 永遠の悪魔編は「永久機関完成」、「ノーベル賞は俺んモン」など名言多数。
- 永遠の悪魔はアニメ化において優遇された悪魔。
- EDの演出がかっこいい。
- 声の聞き取りづらさや、引きの画の戦闘シーンに対する不満が一部で爆発したのが永遠の悪魔編
以上、最後までご覧頂きありがとうございました。
永遠の悪魔編はファンも多く、チェンソーマンに因縁があるような口ぶりも連載当時は謎を呼んでいました。
第二部では、悪魔の輪廻転生や、チェンソーマンの脳力について深堀されるようなので、真チェンソーマンとデンジが変身するチェンソーマンの両方に負けた永遠の悪魔も、もしかすると登場するかもしれませんね。
永遠の悪魔の二部での活躍。またしてもかませ犬?
※以下2023年1月10日以降に追記した記事です。
永遠の悪魔だいすき。
復活おめでとう待ってたよ^^ https://t.co/MsvpKITH7s— アリスケ (@walking_planets) December 6, 2022
永遠の悪魔は『チェンソーマン』第二部117話にて再登場しました。
二部にて登場した永遠の悪魔の見た目は人間の指でできたフードで顔を陰で覆っており、足がなく、下半身は粘菌のように地面に広がっています。
二部永遠の悪魔のデザインの元ネタは『ブラッドボーン』の“メルゴーの乳母”だったりして…。どっちも不気味かっこいい!
デビルハンター部員達の恐怖をたくさんすったからなのか体は大きく、体長は集の悪魔ほど大きくはありませんが、コウモリの悪魔やゴキブリの悪魔に並ぶほど大きいです。
二部にて永遠の悪魔が再登場することは予想(というより期待)していましたが、ここまでかませ犬なのは予想できませんでした。コウモリの悪魔といい一部同窓会メンバーは扱いが可哀そう…。
しかし、かませ犬といってもデザインはかっこよく、一部でデンジの頭のネジの外れっぷりとアキとの関係の進展を最高に面白く演出してくれたように、二部でもヨルの戦闘力とデンジとアサの関係の進展のいい機会をつくってくれました。
チェンソーマンとの因縁も地獄や輪廻転生の秘密にも深くかかわらせてもらえず、またも自分より強い悪魔の鉄砲玉にされて景気よく退場していきました。
読者の気持ちの代弁者。「100万程度で水族館が買えるか!」
第一部では心臓部分とお腹の中しか登場せず、全容が明らかになっていなかったので、一部と二部で見た目に差があるのかは不明ですが、特徴的だった複数人が同時に喋るような話し方ではなくなっていたので、体の構造や思考能力は変化しているようです。
また
「100万程度で!水族館が買えるかボケえ~!!」
「ちきしょ!!」「くたばれ!!」
など言葉遣いが一部と比べて明らかに汚くなっていたり、一部の永遠の悪魔は“歯”や”腕”、”目”や”口”などいろんな部分を複数生やせていたのに対し、二部の永遠の悪魔は指しか複数生やせていない為、知能や戦闘力が下がっているようにも思えます。
コウモリの悪魔同様に“現世→地獄→現世”と転生を繰り返し何度も死ぬと『チェンソーマン』世界では死ぬたびに弱くなっていくのでしょうか?超越者の強さも一度も死んでいないというのが意外と重要だったりして。
しかし、言葉遣いは汚いですが、「100万程度で!水族館が買えるかボケえ~!!」というセリフは100万(しかも全部同じ札)で水族館を買ったと思いこめるアサのいい意味で”頭悪い感じ”にたいして面白いツッコミになっていました。
二部永遠の悪魔は、見せ場もセリフも少ない中で印象的な活躍をしてくれました。個人的にはかなり好きな悪魔なのでもう一回くらい出てきても文句はないです。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。