アメリカ映画史の残る伝説の映画『ゴーストバスターズ』の続編『ゴーストバスターズ/アフターライフ』がついに公開。
SNSなど見てみると、事前の期待を大きく上回る出来に、私も含め満足しているファンの方が多いように思います。
『ゴーストバスターズ』の新作は、主要人物の訃報から始まり、新型コロナウィルスなど多くの災難に見舞われ公開が伸びに伸びた上、さらになぜかアメリカよりも公開が3か月遅れてやっと公開されました。
どんどん期待が高まっていくだけに、この期待が裏切られないか不安と心配も高まっていました。
しかし、そんな私のちっぽけな不安は杞憂にすぎませんでした。
徐々に展開されていく『ゴーストバスターズ』当時の世界観、ゴーストの表現、ラストの展開を観ていたら思わず目頭が熱くなりました。
そして何よりも凄いと感じたのは『ゴーストバスターズ/アフターライフ』が、シリーズ未視聴でも楽しめるというところです。
リブート作品である2016年版の『ゴーストバスターズ』はともかく、『ゴーストバスターズ2』や一作目さえも未視聴でも楽しめると感じました。
その理由をレビューとともに語っていこうと思います。
ネタバレはありません!
目次
『ゴーストバスターズ/アフターライフ』あらすじ。2や2016は未視聴でも大丈夫な理由。
舞台はアメリカ・オクラホマ州のとある田舎町。
そこでは町全体をゆらすポルターガイストが頻繁に起きていた。
そんな街に引っ越してきた貧乏家族が街の危機を救うため奮闘する。
シングルマザーの母キャーリー・クーン、妹のフィービー・兄のトレヴァーは、第一作に登場したイゴン・スペングラー博士の娘、孫という設定であり、引っ越してきた家にはECTO-1やゴーストの捕獲機が隠されていました。
序盤は第一作と比べるとシリアスな雰囲気ですが、だんだんとゴーストバスターズ第一作目のSFアクションコメディ感が滲みだしていきます。
懐かしのアイテムが登場するので、第一作目だけでも観ておくと映画美術にも目がいくので、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』をより楽しむことができます。
ただ、この映画の素晴らしいところはゴーストバスターズシリーズ未視聴、もしくは、マシュマロマンやメインテーマだけ知っているという方でも、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』単作で楽しむことができるようなシナリオになっているところです。
徐々に盛り上がっていく“ゴーストバスターズっぽさ”で第一作目のワクワク感を体験。主人公フィービーと教師のゲイリーに注目。
ハリウッド映画なのに続編が駄作じゃなかったというだけで満足ですが、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は第一作に並ぶほど面白い作品でした。
その理由は、本作がただの懐古映画ではなかったことにあります。
アニメや映画問わず、シリーズものの作品で旧作にでてきた主要人物が新作にも出てくることがあります。
それによって観ている側は、新作の面白さ+当時の感動を思い出すことによって、作品をより楽しむことができます。
しかし、作品によっては旧作のレジェンドキャラクターに依存することによって新作を面白くするようなものもあります。
ただ、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』はただの懐古映画で終わりませんでした。
作品は、序盤から中盤はシリアスに進みます。
これがゴーストバスターズっぽくない(アクションコメディ感がない)とつい思ってしまいます。
この演出が第一作と同様に“ゴースト”という存在に対する観客の怖さや好奇心を効果的に煽ってきます。
また、ECTO-1をはじめとする捕獲機などおなじみのアイテムや過去作のメンバーの登場にも工夫がされていました。
ただただ感動を誘うように登場させるのではなく、当時の感動を知っている人物とともに登場させるのです。
今作の主人公はゴーストバスターズメンバーの孫であり、当然ながら当時のゴーストバスターズの活躍を知りません。
今劇場に足を運んでいる若い世代の方も多くは『ゴーストバスターズ』を初見で観たという方は少ないのではないかと思います。
ゲーム、映画や漫画のパロディネタとして『ゴーストバスターズ』を知ったという方、映画を見る前にテーマソングを先に知ったという方も多いでしょう。
そういった世代と、登場人物の心境がリンクするようになっています。
そして劇中に登場したゲイリー・グルーバーソンというキャラクターが当時のゴーストバスターズの活躍を知る世代として描かれます。
ゴーストバスターズメンバーのニューヨークでの活躍を、子供の頃テレビ越しに観ていたと彼は言います。
初めて生の捕獲機を観たときもレプリカだと思っており、それが本物とわかってからは大興奮していました。
この『ゴーストバスターズ』公開当時と『ゴーストバスターズ/アフターライフ』公開時の観客の感情移入できるキャラクターを劇中に登場させることで、より物語に没入することができました。
ゴーストバスターズをリアルタイムで観た世代や、ゴーストバスターズを令和で初めて観るという世代、共に興奮や感動をリンクさせるという映画の構造はなかなかありません。
綺麗な締めくくりと、続編に期待できる終わり。
新しい要素やアイテムは登場しませんでしたが、旧作への理解をより深めることのできる本作の出来には大満足です。
ネタバレになりますが、最後のイゴンとフィービー の二人の演技には鳥肌が立ちました。(親子かめはめ波みたいとおもっていまった笑)
1984年から続く、ゴーストバスターズシリーズをしっかり終わらせてくれた気がします。
ただただレジェンドアイテムやレジェンドキャラクターを登場させて、懐古に浸るだけの映画ではなく、次の世代へのバトンをしっかり渡してくれるような映画でした。
エンドロール後には続編を期待させてくれるような場面もあり、今後の展開が楽しみです。
キャリー家族とポッドキャスト、ゲイリーのチームもかなり好きになることができたので、VODでドラマ配信とかされてくれないかなとひそかに妄想しています。
ジェイソン・ライトマンに感謝を。ハロルド・ライミスに哀悼を捧げます。