※引用:公式『ハズビン ホテル Wiki』より
YouTubeにて、パイロット版(試作品)の1話が公開され3ヶ月がたち、すでに2700万再生を記録した『ハズビンホテル』。
現在パイロット版が1話と、予告編やショートムービーしか公開されていませんが、こんなに続きが楽しみになるアニメは素晴らしいです。
どんなアニメも第1話は重要で、多くの人の心を掴まなければなりませんが、『ハズビン・ホテル』は大成功したと言えるでしょう。
今回は、そんな『ハズビン・ホテル』の魅力的なシーンやキャラクターについて、順に書いていこうと思います。
目次
センス抜群。世界観&ストーリー。
まず『ハズビン・ホテル』の最高な点として、世界観のセンスが抜群だというところです。
舞台となるのは『地獄』で、登場するキャラクターは悪人や悪魔、怪物です。
カートゥーン調のアニメというだけで、「クスリ」や「ポルノ」、「犯罪」や「流血」のシーンがあり、全然子ども向けの作品ではありません。
しかし、観ていて気持ち悪くなるような残酷な表現や、グロテスクなシーンはありません。
ミュージカル風のシーンがあったりと、むしろ全体的な雰囲気は明るいです。
世界観&ストーリー
『ハズビン・ホテル』は、地獄が舞台のお話です。
地獄は人口過剰により365日に1度、天使によって住人が虐殺される世界。
そんな地獄の現状に、気を病んだ地獄のプリンセスのチャーリー。
主人公のチャーリーは地獄育ちで、この虐殺をなんとか別の方法で解決できないか、対策を考える。
罪人や悪魔たちが、虐殺による消滅ではなく、「自らの罪を贖罪すること」によって、地獄から天国に行ってほしい
と考えたチャーリーは、贖罪を助ける「ハッピー・ホテル」を開設した。
新しい!これまで日本のアニメにも『地獄』というものを、ポップに描いたり現実的に描いたりする作品は多くありました。
市役所のように罪人への罰を資料で決めたり、悪魔をサラリーマンのように描いたり、専属ロックバンドがあったり。
もう出尽くしてきたかなと思っていましたが、そんなことはありませんでした。
日本人の感性にも刺さる絶妙な設定だと思います。
地獄に落ちてきた悪魔や罪人と違って、チャーリーは地獄生まれです。地獄の王ルシファーとリリスの娘です。
興奮すると角が生えて牙がむき出しになったり、目が赤くなっりと、血はしっかり受け継いでいる様子です。
しかし、心から地獄の住人達のことを考えており、人を思いやる心を持っているのは事実です。
時には努力が空回りしてしまったり、純粋で健気に頑張る姿は、正統派なヒロインといった感じで好感が持てます。
すぐに歌ってしまう癖があるようで、テレビにて『ハッピーホテル』を宣伝する時も歌ってしまいます。
悪魔達にはバカにされていますが、挿入歌でもある『悪魔は皆心に虹がある』はかなり面白い曲です。
歌声も美声で、ぜひヘッドホンで聞いてみて欲しいです。(『ハズビンホテル』は全体的に音響のレベルが高い。雑踏やラジオ、SE等。)
主人公のチャーリーだけでも魅力的ですが、『ハズビン・ホテル』は各キャラクター達、全員にユニークな個性と面白い設定があります。
チャーリーの良きマネージャー。『バギー』
バギーのモチーフは蛾の悪魔。
トレーラーが公開された当時は、やたらと刃物を扱ったり、激昂したりとヒステリックな印象でしたが、パイロット版ではその印象はほぼ無くなりました。
暴力的な面はありつつも、チャーリーのマネージャーとして「罪人の贖罪を促す施設、ハッピーホテル」を本気で応援していたりと、世話焼きのお姉さんのような印象です。
用心深くて、他人に対して警戒心を解きませんが、チャーリーに対してだけは甘いのが、なんとも魅力的です。
ラジオ声がかっこいい。『アラスター』
鹿の悪魔。『ハズビン・ホテル』第2の主人公といっても過言では無い存在のキャラクターです。
こいつがとにかくかっこいい。
「地獄に突然現れて、権力者達を虐殺して回り、その様子を地獄中に放送した。」
という過去を持ち、地獄の住人からは「ラジオデーモン」と呼ばれて恐れられています。
チャーリーの計画に協力するものの、それは理念に共感したのではなく、ただの娯楽のため。(後々、参加した本当の意味が明かされるかもしれません。)
生前は、表の顔はラジオホスト、裏の顔は大量殺人鬼だったこともあり、話し方は旧来のラジオパーソナリティの様で、とても紳士的です。
サディスティックで人を小馬鹿にしたりと性格は悪いですが、古臭い「親父ギャグ」を好んで使ったりと、どこか憎めません。
地獄の実力者達を虐殺しただけあって、瞬間移動したり、影を自由に操ったり、ホテルの新しい従業員を召喚したり、施設を一瞬で造ったりと、本当になんでもやりたい放題です。
そんなアラスターの雰囲気は、1994年公開の映画『マスク』や『アラジン』の「ジーニー」によく似ています。
ミュージカルのシーンは、チャーリーのシーンにも言えることですが、テンポがよくて歌詞に連想するものが次々と出てくるのが、とても爽快で面白いです。
ラジオデーモンと呼ばれる由縁は、ラジオで虐殺を放送したこと以外にもあって、アラスターは古いラジオ(真空管ラジオ)を通したような声で話します。
これがまたかっこいい。笑
マイケル・ベイ監督、実写『トランスフォーマー』の『バンブルビー(ラジオを繋ぎ合わせて話すロボット)』を観た時、「こいつが悪役だったらどんなにかっこいいだろうか。」とずっと思っていました。
私の念願を叶えてくれた『ハズビン・ホテル』は、それだけで応援できます。
愛すべきオネエキャラ。『エンジェル・ダスト』
クモの悪魔。地獄の成人向け映画の男優で、女性のような見た目で胸もあるけど、声は男で中身も男のゲイです。
性格は自由奔放で、暴力的。ハッピーホテルの最初のお客。
しかし、更生する気はなくて、タダで部屋を貸してくれるから泊まっているという感じ。
縄張り争いをしてるとこを、テレビに撮られハッピーホテルの評判を落としてしまいます。
その事を気にしていないような素振りは見せるものの、チャーリーが落ち込んでいる姿をみて、「かける言葉を迷っている」など、いじらしい姿も見られるため、実はいい人っぽい。笑
製作者曰く、チャーリーとは後に良き友人になっていくらしく、まさに愛すべきオカマキャラです。
これは持論ですが、「オカマキャラが魅力的な作品にハズレ無し」だと思っています。
『ワンピース』の「ボンクレー」や『クレヨンしんちゃん』の「ニーナ&サリー」「珠由良シスターズ」などなど。
オカマキャラを魅力的に描ける作品は、どれも名作です。
つまり『ハズビン・ホテル』も必ず名作になること間違いなしです。
やれやれ系のおっさん。ハスクについて。
猫の悪魔。ギャンブル好きでアル中。アラスターとは旧知の中らしい。
ギャンブル中にアラスターに勝手にワープさせられてしまい、ホテルのフロントとバーテンダーを任せられたちょっと可哀想なキャラクター。
エンジェル・ダストからいじられていたり、次回からの他キャラクター達との掛け合いに期待したいです。
可愛らしいマスコット的存在。ニフティについて。
一つ目の悪魔。アラスターに召喚された使い魔のような存在で、ちょこちょことした動きが愛らしいです。
掃除や料理が得意で、性格もおおらか。
汚れたホテルをみて「女性ばかりなのにおかしい。」とナチュラルディスをする場面も。
マスコットのように可愛らしい見た目だけど、爆発に巻き込まれたりとぞんざいな扱いを受けるシーンがシュールでなかなか面白いです。
ストリーミング配信中に、カタコトの日本語を話し始めた時はビックリしました。
愛すべきやられ役。サー・ペンシスについて。
蛇の悪魔。発明家で自信家。
卵の部下達と一緒に悪巧みをするが、ことある事に色んなキャラクター達に負けている。
いわゆるバイキンマンのような「やられ役」ですが、一話目で2回負ける悪役はなかなかいません。笑
チャーリーを宿敵と思っているようですが、ホテルにアラスターがいる限り、勝ち目はなさそうです。
コテンパンにやられてもめげない姿は、思わず応援してしまいます。
第1話のパイロット版に登場して主要なキャラクターはこのくらいでしょうか?
ニュースキャスターやチェリーボムなど、面白そうなキャラクターはたくさんいますが、それはまた続編が出たら話します
第1話のお手本のような、ラストシーンで魅せる期待感
第1話が約30分で、最初から最後まで引き込まれるように観てしまいますが、特に凄いと思ったのはラスト2分の部分です。
アラスターが、ちょっかいを出してきたサー・ペンシスをあっという間に、圧倒的な力で片付けてしまう。
こんなの序の口かの如く、平然と話を変えてホテルに向かうアラスター。
ニコニコついていくニフティ。観念したハスクにエンジェル・ダストが投げキッス。
純粋にアラスターが協力してくれることを喜ぶチャーリーに、バギーはにっこりするものの、内心ものすごく不安。
このシーンだけで、主要なキャラクター達の性格のおさらいができてしまいます。
個性豊かなキャラクター達の『これから』にものすごく期待させられます。
カートゥーン調のアニメには、日本のアニメのような繊細な風景描写や、緻密な機械は登場しません。
だからこそ、登場させる最低限のキャラクターの立ち位置や構図、表情が素晴らしいです。(もともと比べるものでもありませんが)
例えば、アラスターが最初にチャーリーを尋ねたシーン。
テンポがいいので流して観てしまいそうですが、この時ちゃんと握手をしていません。
基本的に軽いノリで、ボディランゲージ多めのアラスターですが、左手で左手を握ったりしても、後に契約の証ともなる握手は軽々しくしません。
『ハズビン・ホテル』は、こういったちょっとしたシーンの気遣いに溢れています。
最後に。YouTubeで観られるのが信じられない。
『ハズビン・ホテル』は音楽にもすごくこだわりを感じます。ヘッドホンを付けて聞くと立体音響の凄さが実感できます。
雑踏や路上から聞こえてくるテレビの音、ラジオの声。音響の良い映画館で観たいくらいのレベルです。
光の加減や色使い、各キャラクターのバックボーンの設定すべてが、従来のカートゥーンアニメとは一線を画していると思います。
カートゥーン調のアニメといえば、光が一定の方向からしか当たっていなかったり、物理法則がおかしかったりするのが特徴でもあります。
『スパイダーマン スパイダーバース』では、それをネタにもしていました。
しかし、『ハズビン・ホテル』は良い意味でネタにはできません。
大人が観るアニメとして成り立っていると思います。楽しみに続報を待ちたいです。
それでは次の記事で!