『IT』の最終章である『IT TheEND “それが見えたら終わり”』が、2019年11月1日より公開中。
スティーブン・キング原作の本作は、2017年公開の『IT “”それが見えたら終わり』の完結編であり、物語は主人公達の27年後が舞台です。
モダンホラーとして超有名作である『IT』の最新作とあり、楽しみにしている人もたくさんいると思います。
しかし、そうでない人達もたくさんいると思います。
「友達に誘われてしまった。」「彼氏、彼女に誘われてしまった。」
今回は、ホラー映画あるあるの『前作知らないけど、観に行くことになった。』に向けた記事になります。
ホラー苦手な方でも、身内ノリ、デートのノリにあらがえない人が多いと思います。
前作を知らなくても、ある程度楽しめてしまうのが『ホラー映画』のいい所でもありますが、逆に『前作観てないから今回はパス』という選択肢を奪っている部分でもあるのです。
しかし、どうせ観に行くことになったのなら楽しみたいですよね!『ホラー』というジャンルは設定や裏事情を知ることで、達観して作品を観ることが出来ます。
そこで、今記事では『IT “それ”が見えたら終わり』の続編である『IT TheEND “それ”が見えたら終わり』を前作未視聴でも楽しめる方法や知識を解説していきたいと思います。
もちろん前作を視聴済みの方でも、この記事を読めば『IT TheEND』をもっと楽しめる内容にもなっていますのでご安心ください!
前作『IT』の簡単なあらすじ。
特定の人間にしか見えず、人を怖がらせ食べるというピエロの姿をした化け物『ペニーワイズ』が住み着く田舎街が舞台の『IT』。
主人公達は、子供ながら恐怖に立ち向かう姿をペニーワイズに見せつけ、見事撃退。
『IT “それ”が見えたら終わり』はそこまでの物語です。前編は子供編、後編は大人編という形のシリーズです。
大人編(後編)『IT TheEND “それ” が見えたら終わり』から観る方は、『ペニーワイズは子供にしてやられた事を根に持っており、復讐を楽しみにしている』物語だと思って観ていただいてかまいません。
『IT TheEND』のキャッチコピーが『また会えたね』。ペニーワイズがどれだけ根に持ってるのか、わかります。
ちなみに映画タイトルの『IT』という意味は“それ”という意味もありますが、海外では『鬼ごっこ』の“鬼”という意味でも使われています。
『鬼ごっこの鬼役が調子に乗って女の子を泣かせてしまい、みんなから責められて逆に鬼役が逃げちゃう。』
『IT』もだいたいこんな感じです。
ペニーワイズは“近代的”の象徴。
『IT』は1990年に公開され、ホラーにも様々なジャンル分けがされていますが、その中でも、モダンホラーに分類されます。あらすじを読んでいただいたとおり、舞台はとある田舎町。
モダンホラーとは、現代社会の闇や他者の不条理に由来する恐怖を描いているものを指しています。今では死語になりつつありますが、公開当時『It』は、モダンホラーとして分類されていました。
従来のドラキュラや幽霊(悪霊)を題材とする『ゴシックホラー』と言いますが、舞台は『古びた洋館』や『古城』、古びた病院など。
『ゴシックホラー』は怖いという感覚はわかりますが、イマイチ現実味が湧きません。どうしても、他人事のように感じてしまいます。
そこで、『モダンホラー(近代的恐怖)』である『IT』では舞台を田舎町としました。バスや車も娯楽施設もあるけど、都会でもド田舎とも言えないような街。
田舎でも都会でもないという現実的な街が舞台であるため、より多くの人が『ペニーワイズ』という恐怖を身近に感じるようになったのです。
さらに、日本の幽霊物語などもそうですが、悪霊や化け物は『なぜ、すぐに主人公達を殺さないのか?』という意見が多かったです。
すぐに主人公達を殺せる場面があるのにも関わらず、なぜいちいちおどかすのか?
もちろん理由としては『物語として面白くするため』で、しょうがないことなのですが、そこに理由付けしたのが『IT』のペニーワイズ。
ペニーワイズとしては『怖さには鮮度があり、人間をよりおいしく食べるために人間を脅かしている』そうです。
サイコパスなどもそうですが、恐怖を与える過程がたまらないのであり、すぐに殺してしまっては楽しみがなくなってしまいます。
『何で最初から必殺技使わないの?』というような疑問を考えさせないことで、ちょっとでも物語の『メタ的』な考えを視聴者に持たせないようにしました。
これは、作者が『より物語を怖くするために没入感を高める』事を意図して作られた設定ですが、そこをあえて『怖さの鮮度ってなんじゃ!人間に美味しいもくそもあるか』と思う事で、ホラー苦手な方も楽しんで作品を観ることができるのではないでしょうか?
ペニーワイズのモチーフと言えば『実在した殺人鬼』
ペニーワイズと言えば、実在したピエロメイクの殺人鬼『ジョン・ウェイン・ゲイシー』がモデルとなったことが有名です。
しかし、『ペニーワイズ』はあくまで化け物の類で、宇宙から飛来した地球外生物という考察もあります。(ちなみに化け物が襲ってくるホラーを、ゴシックホラーやモダンホラーと呼び、人間が襲ってくるホラーの事をサイコホラーと呼び分けしたりします。)
ティムカリー版のペニーワイズは、かなり人間らしいため誤解されやすかったですが、リメイク版である『IT(2017)』のペニーワイズはCGの発達によりカットシーンなしでの変身や人間ではありえない奇怪な動きを見事表現しています。
上記でティムカリー版のペニーワイズって何?と思われた方も多いと思います。しかし、むしろティムカリー版のペニーワイズの方が有名かもしれません。
ニコニコ動画での嘘字幕動画や、某ファーストフード店のキャラクターの声で吹き替えした物など。多くの動画に登場するペニーワイズ(ボサボサの赤い髪をしている)を観てから『IT TheEND』を視聴すると、怖さが軽減され、ホラーが苦手な方には優しいかもしれません。
最後に:『ITシリーズ』は、ホラージャンルの中でも見やすい部類
『IT TheEND』を観ることになってしまった方、これをいい機会だと思って、観るのもいいかもしれません。
『ITシリーズ』はゴシックホラーやサイコホラー作品と比べ、グロシーンや気持ち悪すぎるシーンも少なく、ホラー物としては見やすいです。
部類としてはモダンホラーですが、『エイリアン』等のキャラクターが登場するホラー物として観ることで、ホラー映画をあくまで『創作物』として楽しめるようになる耐性が付いていくと思います。
洋画邦画問わず、ホラー映画に出てくる『脅かし役』をあくまで『キャラクター』だと認識する事で、より恐怖を感じずに見ることができます。
ここまで『IT』のペニーワイズをあえて滑稽にみるような解説をしましたが、これを機に他のホラー映画を観るという方が増えてくれると嬉しいです。
筆者も映画館に足を運んでくるので、また『IT TheEND “それ”が見えたら終わり』についてのレビューや考察も記事として上げていこうと思いますので、そちらもよろしくお願いします。
それでは次の記事で!