※ネタバレ『M3GAN/ミーガン』“〜そして2へ〜”ラストシーンの意味。不気味ダンスは帰ってくる。についての記事をご覧いただきありがとうございます。
この記事では『M3GAN/ミーガン』の考察・評価・感想として、レビューに加えて“ミーガンダンスについて”“ラストシーンの意味”など考察・解説していきます。
目次
『M3GAN/ミーガン』とは。AI人形の恐怖を描くサイコスリラー。
作品名 | 『M3GAN/ミーガン』 |
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制作会社 | ブラムハウス・プロダクションズ、ディヴァイド・コンカー、アトミック・モンスター・プロダクション |
監督 | ジェラード・ジョンストーン |
制作 | ジェイソン・ブラム、ジェームズ・ワン |
主な登場人物 | ジェマ、ケイディ、M3GAN |
印象的なセリフ | 「あなたの役目はケイディを守ることよ」 「ハズブロ社に勝つ日が来た」 |
『M3GAN/ミーガン』とは、 アメリカでは2023年1月6日に、日本では同年の6月9日に公開開始されたサイコ・スリラー・SF・ホラー映画です。両親を亡くし心に傷を負った少女を癒すため、おもちゃ会社の研究者によって、少女の親友になるようプログラムされたAI人形「M3GAN(ミーガン)」の行き過ぎた愛情と狂気が描かれています。
『パラノーマルアクティビティ』や『ゲットアウト』など“新しいホラー体験”を味合わせてくれる、制作会社ブラムハウスの総帥ジェイソン・ブラムと『ソウ』シリーズで有名なジェームズ・ワンがタッグを組んだ作品というだけあって、ホラー好きにとって公開日が待ち遠しい映画でした。
公開日が延期になった理由は公式から発表がなく、「コロナのせい?」「他の人気映画と公開をずらした?」など色々不信感はありましたが、いざ公開され、映画の出来は最高でしたね。
『M3GAN/ミーガン』あらすじ。AIの暴走、行き過ぎた愛。
“あの”ハズブロ社に次ぐ、巨大おもちゃ会社(架空)の優秀な研究者であるジェマは、両親を亡くし孤児となった姪のケイディを引き取る。しかし、ただでさえ傷心の子どもの世話は難しいのに、ジェマは育児経験はなくバリバリのキャリアウーマンで仕事で手一杯でした。
しかし、ケイディのふとした発言から、兼ねてから開発を進めていた、AI搭載お友達アンドロイド「Model 3 Generative Android」通称「M3GAN(ミーガン)」を創り上げ、「あらゆる出来事からケイディを守るように」という指示をラーニングさせます。
ケイディの全てを肯定し、家族代わりに振る舞うミーガンにケイディは懐き、ジェマの仕事の商談も上手くいきますが、徐々にミーガンの“ケイディを守る”という行動が暴走していきます。
ここが良い。「M3GAN(ミーガン)」の説得力。これはハズブロに勝てる。
『M3GAN(ミーガン)』の魅力はもちろんキラーである“ミーガン”です。
「暴走するロボット」というとそんな設定の映画はたくさんありますが、それらの映画と比べても『M3GAN(ミーガン)』はダントツで“暴走するAI人形”としての説得力がありました。
他のロボット物の映画やドラマが、CGや適当な小道具でごまかす部分がしっかり描かれており、“ミーガン”という存在によりのめり込んで観ることができました。
『M3GAN(ミーガン)』には作中でコロナ後の新しい生活様式のリアルな描写や、海外のリモートワークの描写が丁寧に描かれています。また、おもちゃのデザインソフト、AIのプログラミングなど大真面目に描写されており小道具のリアリティが抜群です。
「AIロボットが人間を襲う」という虚構を信じ込ませるための最大限の工夫がされていました。
ここが良い。ただのPV用シーンじゃない。怖すぎるミーガンダンス。
ミーガンのウィッグやゴムの肌の質感はもちろん、中身のチタン製パーツや義手や精密機械、医療器具にも使われているようなエンプラ、スーパーエンプラの質感もばっちり再現されていました。
『M3GAN(ミーガン)』といえばミーガンダンスが有名ですが、あのキレッキレの不気味な動きも“これならできそう”と思わせてくれる説得力がありました。
また、ミーガンの実験映像では明らかにボストン・ダイナミクスの“ロボット実験の動画”を意識して撮られているシーンもあり制作陣の“『M3GAN(ミーガン)』はただの人形ホラー映画とは違う”という意気込みを感じました。
(ボストン・ダイナミクスとは、アメリカ合衆国にある実在の企業で国防高等研究計画局の支援の下、ロボットやソフトウェアを開発しているところ。例、四足歩行ロボットのビッグドッグ、DI-Guy。)
棒で歩くミーガンをどつくシーンは笑えました。
ここが良い。皮肉たっぷりだけどテーマは愛。
なんだかんだ“愛”でまとめたのも良かったと思います。「AIはよくない」とか「人間には勝てない」とかそんな終わり方だけは嫌だったので、『ロボットを倒すのはロボット』『AIはいけない存在じゃないけど、頼ってはいけないこともある』というメッセージで終わったのはいいと思います。
「行き過ぎた愛」というのは何もミーガンだけに限った話ではなくジェマやケイディ、いろんな登場キャラクターにも心当たりがあることだと思います。
ジェマがケイディを青空教室みたいな学校へ連れていくシーンは印象的でした。
わがままに育った男の子(後にミーガンに殺される)を甘やかし特に叱りもしないお母さんをみて、ジェマはどん引いていましたが、第三者の視点からすれば「ジェマのケイディへの接し方も似たようなもん」だと思ってしまいます。
こういった描写を観ていると作品のテーマは「行き過ぎた愛」というよりも「方向が間違った愛」というのが正しい気がします。くさいことを言いますが愛に行き過ぎもくそもないと思います。
ジェマは“効率的な”ケイディの心の癒し方に固執するあまり、ケイディの本当に求めているものが自分だという事実から目をそむけて気が付かないフリをしてミーガンにその役目を押し付けていました。
ミーガンが「あんたの適当なプログミングのせいでこんなことになった」というようなセリフを言っていましたが、それが本当に悲痛な叫びに聞こえました。それは事実で、プログラミングがまっとうならミーガンは本当に素敵なケイディの親友になっていたでしょう。
まとめ。ラストの意味は?ミーガン2は100%ある。
#ミーガン
パンフレットの裏の写真、最高だと思ってたしーんだから買ってよかった(^^) pic.twitter.com/cY9qEEEfrh— アリスケ (@walking_planets) June 13, 2023
『M3GAN(ミーガン)』はラスト意味深に光るアレクサもどき(AI音声認識サービス)の描写で終わりました。
ミーガンはAI音声認識アシスタントの声を真似したり、制御を奪っていた描写もあったので自らのコピーを死の間際に移したのかもしれません。
『M3GAN(ミーガン)』は興行収入1.768億ドルを突破していることもあり、このまま順調に日本でも公開を終えれば『ミーガン2』はあると思います。その時には更に強くなったミーガンもいいですが、今度こそ完璧なケイディの友人となったミーガンも観てみたいですね。
以上まとめると
- M3GAN/ミーガンとは、両親を亡くし心に傷を負った少女をいやすため造られたAI人形。
- 行き過ぎた愛情と狂気が描かれている。
- 「M3GANミーガン」の画の説得力は他の似たジャンルの映画と比べ頭一つ抜けている。
- 本当にハズブロに勝てそう。
- 他のロボット物の映画やドラマがCGや適当な小道具でごまかす部分がしっかり描かれた。
- コロナ後の新しい生活様式のリアルな描写や、海外のリモートワーク描写も丁寧に描かれている。
- ミーガンダンスやキレッキレの不気味な動きも実際のロボット実験映像を参考にしていたりして「これならできそう」と思わせてくれる説得力があった。
- 制作陣の「M3GANミーガン」はただの人形ホラー映画とは違うという意気込みを感じた。
- 作品のテーマは「行き過ぎた愛」というよりも「方向が間違った愛」かも。
- ラスト意味深に光るアレクサもどきが。『M3GAN(ミーガン)2』を期待させてくれる。
『M3GAN(ミーガン)』はミーガンが暴れるところ以外も面白かったです。
ファービーのオマージュである“ペッツ”やそれに似たコピー商品やパクリ商品の描写も面白かったし、『IT』なんかでも描かれていた、田舎の学校は留年してる“ちょっとヤバい奴”が低学年と混じっている描写。
逆に海外の金持ちの学校に行かせず家庭内で勉強させるという教育方針、など色んな細かい部分に“嫌なリアリティ”がありました。(誉め言葉)
だからこそミーガンというファンタジーに頭をからっぽにしてのめり込むことができたと思います。『M3GAN(ミーガン)2』が今から楽しみです。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。