シリーズ累計6500万本を売り上げるカプコンの大ヒットゲーム『モンスターハンター』通称“モンハン”がついにハリウッドで実写映画化されました。
主演と監督は、同じカプコンの人気ゲーム『バイオハザード』の実写映画も担当していたミラ・ジョボビッチと監督ポール・W・Sアンダーソンのコンビです。
ゲームの『モンスターハンター』は最近、新作である『モンスターハンターライズ』が発売されたばかりで、観客の期待は十分、「モンハン人気」の後押しとなることはできるのでしょうか。
実際に観てきた感想としては「まあまあ良いかな」と個人的には感じました。「モンスターはかっこよかった。」これで正直十分かなと思います。
ハリウッド実写映画は毎度の事ながら賛否両論です。ネット上の賛否を紹介しつつ個人的なレビューを述べていこうと思います。※ネタバレあり。
目次
- 賛否両論。B級映画になれているか、そうでないか。
- ジュラシックパーク2のようなストーリー。
- プレデターのようなハンター。ハンターに言葉が通じないもどかしさ。
目次
賛否両論。B級映画になれているか、そうでないか。
ネット上にある感想をみていると、そんなに批評はされていないように感じます。
公開前はレビューは大荒れになるんじゃないかと思っていましたが、実際には作品を褒めるレビューが多くあります。
しかし、そのレビューの大半が「ハリウッドで動いてるモンスターがみられるだけでもよかった。」といった感じの、なかばあきらめのレビューなのです。
正直、この手の映画には慣れている人が多いかと思います。
「ストーリーや役者の演技はあまり気にせず、モンスターが暴れてる姿を楽しむ。」このスタンスで観に行く人が多いのではないでしょうか。
ただ、モンスターハンターの熱心なファンや「普段はあまり映画を見に行ったりしないが、モンスターハンターの世界観が好きだから観に行った。」という人からは、残念な部分もある映画だったかもしれません。
微妙な原作再現。ディアブロスは良し。リオレウスがやや微妙。
※ここからネタバレあり。
実際、世界観は再現されているところもあれば、めちゃくちゃなところもあり微妙でした。
本家のゲーム版「モンスターハンター」では、
「ディアブロスは縄張り意識が高いモンスターであり、特に産卵期を迎え体表が黒くなったメスの固体は気性が荒い。」
という設定があります。
劇中のディアブロスも体表が黒く、縄張り侵入した人間には攻撃するが、縄張りからは出てこないという演出があり、その再現度には感心しました。
しかし、「リオレウスが、現実とモンハン世界を繋ぐ謎の塔を守る役目がある。」というのには無理があるかなと思いました。
リオレウスには、「空を自由に飛びまわり、鋭い爪で獲物を持ち去る。邪魔者には自慢の炎を浴びせる。」というイメージがあります。
実写モンハン世界のリオレウスも実はそうであり、劇中に登場した固体だけが特別だったのかもしれません。
実際にゲームのリオレウスより。映画版リオレウスの方がかなり大きいという特徴があります。
しかし、何者かに操られているというのなら「目を紫色など不自然な色にして操られてる感を出す。」とか、なにかもう一工夫欲しかったです。
モンスターハンターといえば
「雄大で美しく、時に残酷な世界。そんな世界に精一杯、人間というちっぽけな種が生きている。」
これが序盤はよく表現されていました。
モンハン世界に迷い込んでしまった、部隊が銃や車をものともしないモンスターに圧倒されていくのがよかったです。
しかし、後半によくわからない映画のためにだけ用意された謎の設定や、無駄に長い人間同士の戦闘があったのがちょっとだけ残念です。
個人的にモンスターパニック系の映画にとって人間は、特撮のビルや車と一緒だと思っています。
「壊されてなんぼ、細かいところは気にしない。」これが大事です。
モンスターの動く姿が良かったからこそ、人間や設定に欲が出てきてしまったのかもしれません。
ジュラシックパーク2のようなストーリー。
このモンスターハンターは物語の流れが『ジュラシックパーク2』のようです。モンスターパニック系はどうしても似てしまうのかもしれません。
『ジュラシックパーク2』の流れは、
この作りが続編をつくりやすいのか、それとも海外ではこの作りがウケるのかわかりませんが、せめて『ジュラシックパーク1』的な物語の流れがいいと思いました。
これでよかったのではないかと思います。
たしかにモンスターが生き生きと暴れる姿がみれるだけでも満足ではありますが、無理やりで蛇足な設定とか一部の登場人物のイモ演技とかで、造り手がB級で良しと思ってる感じが伝わってくるのが残念です。
モンスター映画なので、造り手がどんなに頑張っても、結果的に世間にはB級と判断されてもしょうがないとは思います。
リオレウスが吐いた炎が高温で砂がガラスになっている表現や、ディアブロスの機嫌悪そうな咆哮など、モンスターを恐ろしく演出しているのは個人的にはかなり好きです。
だからこそ、人間部分の物語や演技にはひっかからないようにして、モンスターにより集中できるようにして欲しかったです。
プレデターのようなハンター。そしてハンターに言葉が通じないもどかしさ。
昔の特撮映画で、「宇宙人や未開人がなぜか日本語や英語が通じる」という疑問あげられていました。
そこを突っ込み始めたら、スターウォーズなどは宇宙で爆発音がするのがおかしいとかキリがありません。
そんなこと疑問に思うのも野暮だと思いますし、そういった部分は観る側が脳内補完すればいいです。
スターウォーズだったら宇宙船などのメカ、ジュラシックパークだったら恐竜の設定が作りこまれてれていればいいと思います。
そこをややこしくしてしまったのが映画『モンスターハンター』です。
『モンスターハンター』は読んで字のごとく、モンスターの為の作品です。
モンスターの生態や動き、なぜ人間を襲うのか?
この辺りの設定も踏まえ、しっかり作りこんでいれば、正直他の部分は浅くていいのです。
しかし、それをくどくしてしまったのが残念です。
劇中に登場するハンターは現代人の言葉が通じません。言葉が通じないことから余計な争いが生まれるのですが、このシーンが正直いらないです。
このシーンのぶんだけリオレウスがニューヨークで暴れたりする姿が観たかったです。
幸いハンター役の方の顔が濃いので、衣装のコスプレ感はすくないのでそこに違和感はありません。
ただ、言葉が通じないのが、まるでプレデターを相手にしているような感じがあります。
まだ言葉が通じないという演出を入れるのはいいとして、せめてもうちょっとすんなり仲良くなっても良かったとおもいます。
観客は人間VS人間を観に来たわけではないですからね。
ミラ・ジョヴォヴィッチとハンターの、でこぼこコンビ感は普通に面白いですし、ハンターが自らディアブロスのエサ役を引き受けるところは個人的にかなり好きなシーンです。
全体的に実写映画化作品の中では上手くまとまっているし、オリジナルストーリーもそれなりにおもしろいです。だからこそ欲が出てしまうのかもしれません。
続編が作れそうな終わり方でしたが、果たして続編が公開されることはあるのでしょうか?