
※この記事にはネタバレを含みます。
『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』にて、スカイウォーカーの家系を終わらせたJ・J・エイブラムス監督。
“シリーズ完結編”という謳い文句の割に、多くの疑問がシリーズには残されました。
しかし、J・J・エイブラムスはこの残された疑問はあえてだと語ります。
海外バラエティ番組『Popcorn with Peter Travers』ににてJ・Jエイブラムスは、「終わらせなければならなかった」「しかし、残っているものはある」と語りました。
この言葉の真意について、今回は解説&考察していこうと思います。
オリジナル3部作が好き?J・J・エイブラムスが謎を残した理由。
『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』で、「全てを終わらせないといけなかった。」という理由は、何となくわかる気もします。
新3部作として売り出した、エピソード7以降をいきなり「まだ続く」と言っては、ファンから大批判を食らいます。それに広告として『完結編』とすれば、集客にも繋がります。
では「残っているものはある」という言葉はどういう意味なのか?J・J・エイブラムスはこう語りました。
「それがスターウォーズだと思うから」
J・J・エイブラムスは謎を残すことこそ、『スターウォーズ』だと語ります。
オリジナル三部作が好きな理由はそこにあり、
『ジェダイとはどう生まれたか?』
『フォースとはなんなのか?』
スターウォーズの疑問や謎を、自分の頭で考えることを許してくれたことが、J・J・エイブラムスにとってはオリジナル三部作の大好きな所だと語りました。
J・J・エイブラムスは、オリジナル三部作の前日譚である、『スターウォーズ ファントム・メナス』を初めとした、エピソード1.2.3に関してもインタビューに答えており
「オリジナルほど好きではない」
と答えました。
つまり、『ミディクロリアン』(エピソード1.2.3で明かされたフォースの正体)について、「それを知りたかった人間じゃない」と答えた上で、
「前8作に逆らうことはしないが、全てを説明してしまうことが物語のカギになると思っていない。」と語りました。
この言葉の通り『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』は、謎を残して物語を終えました。
しかし、正直、言い訳にしか聞こえてこないのが事実です。
「前8作に逆らうことはしない」と語っているが、前8作に矛盾した設定はあまりにも多い。そういった部分も批判を受ける理由の一つです。
例えば、TIEファイターの設定。
『スターウォーズ フォースの覚醒』にてフィンとポーが、脱出のため宇宙空間を乗り回していたTIEファイター。
しかし、TIEファイターにはこういった設定があります。
TIEファイターは、戦闘力や機動性を重視して作られた機体であり、偏光シールドや装甲板、パイロットの生命維持装置は一切持たない。
真空の宇宙空間を飛行するには、パイロットは宇宙服兼パイロットスーツを装着しなければならない。
パイロットにはかなりの精神的負荷を強いるため、登場する『TIEファイターパイロット』は「自らの犠牲は銀河帝国のため」という洗脳がされている。
つまり、恐怖を感じない+特別なパイロットスーツを着なければ運転できないのである。
もちろんこれはオリジナル三部作からの設定。
ただのトルーパーであるフィンと、反乱軍として、そして、人としての教育過程を受けてきたポーが、操縦できる道理などないのである。
もちろん、ファーストオーダー製のTIEファイターが性能を向上させたという設定はある。
しかし、パイロットが特性のパイロットスーツと特別の教育が必要なのは変わっていないのです。
もし、『生身の人間でもふつうに操縦できる』という設定にしたとして、TIEファイターの魅力でもある部分を削ってまで、CM用のようなシーンを撮る必要があったとは思えないです。
謎や前日譚三部作について語れるだけのことを、J・J・エイブラムスは成し遂げたのだろうか?
設定や答えを出すことに意味はないとするなら、なぜエピソード9をパロディ満載のファン映画にしたのだろうか?
私は『スターウォーズ』シリーズのファンの1人として、厳しく言論したいと思います。
J・J・エイブラムスにインタビューされた「謎を残した理由」とは、キャラクターの事ではなく「なぜ中途半端なことをしたのか?」ということだったのではないかと思います。
新3部作に残ったのは「このあと魅力的なキャラクター達がどうなっていくの?」という謎ではなく、「なんでこうなってしまったのか」という感嘆まじりの疑問なのです。