
2021年12月3日より『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ 』がついに公開。
本作ではMARVEL COMICSの中でもトップクラスに人気を誇るヴィランキャラクターの2体が激突するということもあり、ファンの興奮はは公開前からMAXの状態でした。
#これで勝つんだヴェノム❓
今それどころじゃねぇんだよ💥
🔥 #カーネイジ のヤツと決戦中!▼ #俺たちはヴェノムだ 👊https://t.co/UTXDoI5VWe pic.twitter.com/lJBUsXrW72
— 映画『ヴェノム』公式 (@VenomMovieJP) December 3, 2021
いざ本編が始まってからも興奮は収まらず、むしろ初めからエンドクレジット後までずっと右肩上がりテンションは上がっていきました。
というのも、エンドクレジット後にはMCUの『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に登場したトム・ホランド演じるピーター・パーカーが劇中内のテレビに映し出されたのです。
今作『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ 』は前作『ヴェノム(2018)』の続編として完璧なシナリオの本編に加えて、ファンにとって嬉しいサプライズがエンドクレジット後にも残されていたのでした。
そこで今回は『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ 』のレビューに加えて、エンドクレジット後にあったシーンについてもちょっとした考察をしていこうと思います。
動画でも解説しています!
目次
- シンビオート、カーネイジの表現が完璧。あの“怪物感”の秘密は監督に。
- こだわりの変身シーン。ヴェノムとカーネイジの違い。
- 前作より“わかりやすくなった”エディとヴェノムの関係性。
- エンドクレジット後にピーター・パーカーが!?マーベル・シネマティック・ユニバースへ満を持して参戦!
- 明るい雰囲気はMCU参加が原因か?
目次
シンビオート、カーネイジの表現が完璧。あの“怪物感”の秘密は監督に。
今作の注目ポイントはやはりヴェノムとカーネイ”の“殺し合い”です。
シンビオート特有の手足が変幻自在に変わり、スピード感がありながらも荒々しい戦闘シーンが本作の見所です。
お互いが息の根をとめるまで戦う荒々しい姿はまるで獣のようです。MARVELや日本のヒーローものとは一味違う戦闘シーンは圧巻でした。
今作は猿の惑星やハリウッド版ゴジラでモーションアクターを務めたアンディ・サーキスが監督を務めています。
名前がついた技を出し合うような戦闘ではなく、二匹の獣の殺し合いを完璧に表現していました。
こだわりの変身シーン。ヴェノムとカーネイジの違い。
本作の見所は戦闘シーンだけではありません。ヴェノムとカーネイジの変身の仕方の違いまでもこだわって描かれていました。
エディとヴェノムは2人で協力して戦います。ヴェノムが力を出して、エディが頭を使います。
かわってクレタスとカーネイジは本能の赴くままに戦います。
クレタスとカーネイジはまさに一心同体。細胞レベルまで結合しています。
エディとヴェノムが自らのことを「俺たち(We)」と呼ぶのにたいして、クレタスとカーネイジは「俺(I’m)」といいます。
そして映画では、変身シーンにも違いが出ていました。
エディがヴェノムを纏うように変身するのに対して、クレタスは体の内側からカーネイジに変身します。
クレタスの細胞一つ一つがカーネイジに変身していくのです。この変身の違いの表現に監督のこだわりを感じます。
他にも体を空洞にして銃弾を避けたりと、ヴェノムよりもあきらかにカーネイジの方が、宿主と寄生生物の相性が良さそうです。
何本も腕をつくったり棘を生やしたりと、戦い方もヴェノムとカーネイジでは違いますが、細かいところまで違いにこだわっており、ファンにとっては何度も観たくなります。
前作より“わかりやすくなった”エディとヴェノムの関係性。
今作の見所のもうひとつは、“エディとヴェノムの掛け合い”です。
前作でできあがった奇妙な関係を上手く表現していました。
個人的には、エディとヴェノムの掛け合いは観ていて面白かったです。前作よりも人間味がでてきたヴェノムは、みていて微笑ましく思いました。笑
これは主演のトム・ハーディが脚本に参加したことによるところが大きいと思います。
トム・ハーディはエディとヴェノムの関係について一種の新婚生活だと例えて語っています。
たしかに、今作のエディとヴェノムの描かれ方は新婚夫婦のあるあるを観ているようでもありました。
ヴェノムを隠して、そこそこの人生を歩みたいエディと、エディを有名人にして自らも目立ちたいヴェノムは対立してしまいます。
今作のエイリアン(シンビオート)と人間の関係を、わかりやすく、親近感が湧くように描いているところは面白いポイントの1つかと思います。
なんだかんだで、両者ともにお互いを尊重していたことがよくわかります。
今作のエイリアン(シンビオート)と人間の関係を、わかりやすく、親近感が湧くように描いているところは面白いポイントの1つかと思います。
ただ、前作のようなシリアスでダーティーな関係をみたかったファンにはちょっと物足りないと感じてしまうかもしれません。
前作のエディとヴェノムの関係は、「仕事に失敗して、医者に彼女をとられたエディ」と、「シンビオート族の中で一番戦闘力が低いヴェノム」この負け犬の2人がお互いに手を組んで強力な敵を倒すという話でした。
最初こそしょうがなく付き合っていた両者とも、お互いの負け犬っぷりに共感して、最後にはちょっとした友情が芽生えていきました。
その友情がどんな発展をしたか描いているという点では『『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』は続編として評価できるのではないかと思います。
エディとクレタスは似た者同士ではなかった!?シンビオートは内面を映し出す。
ここでさらに注目したいのは、劇中で登場するもうひとつのカップル“クレタスとカーネイジ”です。
前作ではあまり描かれなかった敵側のシンビオートと、人間の関係を描いていました。
そこに、なぜエディとヴェノムの凸凹コンビが、自分達よりも結合が強いシンビオートのコンビに勝てたのかの理由があります。
前作の敵はエディとヴェノムの正反対で、成功した事業家とシンビオートチームのリーダーのコンビが敵でした。
まさに勝ち組コンビVS負け組コンビ。
エディとヴェノムは変身した状態での戦闘も、人間状態の戦闘でも負けてしまいます。
それでも敵が自分達に興味をなくした隙をついてなんとか敵を倒します。エディとヴェノムのコンビが勝てた理由はあくまで偶然が重なったことによります。
好きな女は力ずくで手に入れるクレタスと、気の赴くままに暴力を振るうカーネイジは、まさにエディとヴェノムのフラストレーションを体現したような存在として描かれます。
負け犬でもいいじゃん。最後に勝ちさえすれば。
なんともヴィランらしい勝ち方ではありますが、それを何度もやられると冷めてしまいます。
今作の敵は、エディとヴェノムのコンプレックスを体現したような存在です。
好きな女は力ずくで手に入れるクレタスと、気の赴くままに暴力を振るうカーネイジは、まさにエディとヴェノムのフラストレーションを体現したような存在として描かれます。
一見、クレタスとカーネイジの相性は抜群にみえましたが、土壇場でカーネイジの本性があらわれます。
なんと、クレタスの彼女を声が気に入らないという理由でクレタスの制止も聞かずに殺そうとしてしまいます。
エディとヴェノムは、クレタスとカーネイジのコンビに引けを取っているようにみえて、実は勝っていたのです。
暴力で自分の意見を通してきたクレタスとカーネイジにとって、暴力をふるえない相手が現れたとき話し合うということが出来ず、破滅してしまうのでした。
暴力がつかえない一瞬の隙をつかれて、クレタスとカーネイジはやられてしまいます。
エディとヴェノムは一見、喧嘩しているようにみえて、ちゃんと意見を話し合っています。
劇中には、エディの意見をヴェノムが尊重しているシーンが散りばめられており、またエディがヴェノムに対して負担をかけていることに気づくシーンもあります。
そんな2人の悩みは、パートナーとして必要な時間だったと思います。
しかし、アクション映画をみにきている観客にとってはそういったシーンが退屈に思えたかもしれません。
ただ、エディとヴェノムの成長をしっかりわかっていないと、最後の決戦で、いきなりクレタスとカーネイジが仲間割れし始めたようにみえて、また偶然勝ててしまったようにみえてしまいます。
クレタスの彼女に手をかけるカーネイジ。クレタスはカーネイジを止めようとしますが、カーネイジはクレタスの内なる暴力衝動そのもので、今さら我慢なんてできませんでした。
一方エディは力を手に入れても、決して力ずくで元恋人を自分のものにしようとはしませんでした。
ヴェノムもそんなエディの姿を、最初は意気地無しと否定していましたが、最終的にはエディの意志を理解することができます。
こうした、エディとクレタス、ヴェノムとカーネイジの似たようで違う部分をちゃんと描いているのが、面白かったと思います。
前作の勝ち犬コンビと負け犬コンビの対比よりも、少し上の次元の対比が今作では描かれていました。
人によってはつまらない、戦闘シーンが少ない、ご都合主義で勝ったように思えてしまうかもしれませんが、個人的には今作の内容は満足できました。
エンドクレジット後にピーター・パーカーが!?マーベル・シネマティック・ユニバースへ満を持して参戦!
エディとヴェノムの日常シーンから戦闘シーンまで最後の最後まで楽しませてくれました。
退屈なシーンが一切なく、物語のテンポの良さが癖になります。
そしてファンへの次回作への期待も高めてくれました。
ファンへ残してくれたサービスシーンは2つ、「パット・マリガン刑事の異変 」と「エンドクレジット後」です。
ヴェノムとカーネイジの決着がついた後、戦いに巻き込まれたパット・マリガン刑事 に異変が起きているようなシーンがありました。
これは恐らく原作で登場した、トキシンの誕生シーンだと考えられます。
原作のトキシンは、カーネイジから生まれたシンビオートがパトリック・マリガン刑事に寄生して生まれた存在です。
パトリックは警察官であり、正義感が強くシンビオートの暴力衝動を抑えつけ、ヴィランにはなりません。
もしかすると今後のヴェノム関連作品に登場してヴェノムと対決することがあるかもしれません。
ただ、個人的にはトキシンがヴェノム関連の映画に登場して戦うことはないような気がします。
下記にて詳しく語りますが、ヴェノムがMCUに参加して、映画作品を盛り上げていくとするなら、トキシンはVOD作品の目玉として活躍していくのではないでしょうか。
“シンビオートに寄生された刑事”という題材があれば、ドラマを1クールくらいつくれると思います。
トキシンがヴェノムについていって、MCUの世界に行くのもおもしろいとは思いますが、個人的にはヴェノムが映画でMCUを盛り上げ、トキシンにはVODでオリジナルドラマシリーズを作っていってほしいです。
エンドクレジット後に用意されていた映像では、ヴェノムはピーターパーカーのいる世界へと飛ばされていました。
MCUの『スパイダーマン』の次回作『スパイダーマンノーウェイホーム』では、多次元宇宙からスパイダーマンに縁のあるヴィラン達が大集合します。
もしかすると『スパイダーマンノーウェイホーム』でヴェノムの姿が観られるかもしれません。
ただ、スパイダーマンとヴェノムだけでも1本映画が取れるので、顔見せ程度で終わるような気もします。
『スパイダーマンノーウェイホーム』はすでに公開日も決定しており、前からヴェノムの登場を予定していたとなると、SONYとDisneyはかなり前から協力関係にあったことになります。
3年前のSONYとDisneyにゴタゴタを乗り越えて今があると考えると本当に涙がでてきます。
スパイダーマンとヴェノムの共演のために尽力してくれたクリエイターや経営陣に感謝しきれません。
期待しつつも半ば諦めていたファンにとって、最高のサプライズでした。
映画に出たという既成事実が出来た以上、共演は確実なので、スパイダーマンシリーズの今後に期待です。
おまけ:明るい雰囲気はMCU参加が原因か?
上記でも書きましたが、今作『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ 』は前作に比べて、ちょっと雰囲気が明るいです。
連続殺人、大虐殺という言葉が劇中で連呼されますが、前作よりもヴェノムのギャグシーンが多くて、カーネイジが暴れるシーンも直接的な残虐描写は隠されています。
映画を観終わった当初は、『ヴェノム』のMCU参加の影響かなと思っていました。なぜなら『STARWARS』のエピソード7以降の雰囲気を今作にも少し感じたからです。
『STARWARS』7以降を悪く言いたい訳ではありませんが、“明るくしなくてもいい部分を明るくする感じ”にちょっと違和感を感じました。
もしかしたら「MCU参加の条件でなにか指導的なものがあったのかも?」なんて思わず邪推してしまいました。
しかし、観終わってから時間が経ち、映画について考えているうちに、多少は影響があったかもしれないですが、本質は違うと思うようになりました。
一見コメディやギャグシーンにみえたシーンもちゃんとエディとヴェノムがクレタスとカーネイジのコンビよりも、“勝っている”という証拠になる伏線だったのです。
これからヴェノムは、スパイダーマンやシンビオートではないないMCヴィランと同じ世界にいきます。
他の作品に合流するからこそ、今作のキャラクターの成長の過程を描くことが重要だと思いました。