
11月27日から庵野秀明監督作品『トップをねらえ!』OVA全6話の劇場公開が決定しました。
上映劇場は以下の5館です。
- 東京 TOHOシネマズ 池袋
- 大阪 TOHOシネマズ 梅田
- 名古屋 ミッドランドスクエアシネマ
- 福岡 T・ジョイ博多
- 札幌 札幌シネマフロンティア
『トップをねらえ!』全6話は前編(1〜4)・後編(5〜6)に分けて公開されます。
さらに来場者特典として、第1話の映像をフィルムにした「生コマフィルム」が配布されるとのことで『トップをねらえ!』のファンならぜひ入手したいところです。
劇場にはファンのみならず、これを機に『トップをねらえ!』をはじめて観に行くという方も多そうです。
そこで今回は、庵野秀明監督の初監督作品である『トップをねらえ!』の魅力を書いていこうと思います。
あらすじ:熱血ロボットスポコンアニメ
人類が宇宙に進出するようになった時代、地球は正体不明の「宇宙怪獣」に攻撃を受けていた。
劣勢気味の戦局を覆すため、人類は現行のマシーン兵器の後継機であるバスターマシン「ガンバスター」を製造。
沖縄にある宇宙学校、通称「沖ジョ」に通う主人公タカヤノリコは、宇宙怪獣の襲撃により行方不明になった父を探すため、父と同じ軍人になるため、日々訓練に励んでいた。
しかし、マシーン兵器を満足に動かせなく、性格も臆病であったノリコは落ちこぼれとして周りからは蔑まれる。
さらに、ガンバスターの開発者でコーチでもある、オオタコウイチロウに素質を見いだされてトップ部隊に加入したこともあり、全校生から嫉妬され、いじめを受けていた。
そんな中、努力することやめず、訓練に励み、やがて人類の希望「ガンバスター」のパイロットして成長していく。
今ではジャンプ漫画でしか観ないくらいの友情努力勝利が詰まった作風です。
しかし、「トップをねらえ!」には友情努力だけではどうにもならないような、理不尽で辛い現実も描かれています。
さらに、繊細に考え抜かれたSF設定も見どころのひとつであり、作り込まれたSF設定部分がまた、熱血の主人公を際立たせているのも『トップをねらえ!』の魅力だと思います。
『トップをねらえ!』はオマージュやパロディが熱い。

名前からわかる通り『トップをねらえ!』には多くのオマージュやパロディに溢れています。(例:『エースをねらえ!』名前だけでなく、主人公の才能を見出しコーチが熱血指導するところも)
庵野氏が『トップをねらえ!』の前に制作に関わった『王立宇宙軍 オネアミスの翼』がオマージュやパロディを一切入れない姿勢だったのに対し、
『トップをねらえ!』では、ついついマニアがにやけてしまうような熱いオマージュやパロディに溢れています。
あらすじは「地球に押し寄せる大量の宇宙怪獣を撃退する」といういかにもSFアニメといった感じですが、
そこに熱血スポコン要素が盛り込まれており、『トップをねらえ!』から見ていくと、当時のアニメにもすぐ馴染めると思います。
正直なところ、パロディやオマージュの元ネタを上げていけばキリがないくらい詰め込まれており、光の演出や登場人物の目の動き、台詞回しもアニメだけでなく、実写映画からもってこられたものもあります。
ただただ詰め込んだだけでなく、しっかりとその元ネタが元ネタ以上にかっこよく演出されています。
庵野監督がかっこいいと思うものが詰まってるヱヴァに通じていくもの。
『トップをねらえ!』には庵野監督がかっこいいと思うものが詰まっています。
庵野監督がというよりも、当時のオタク達がかっこいいと思うものといってもいいかもしれません。
それはおのずと『新世紀エヴァンゲリオン』にも受け継がれていくものです。
最近で言えば『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の冒頭10分間の映像が公開され、そこには『カチコミ艦隊』なるものが登場しました。
対して『トップをねらえ!』には『殴り込み艦隊』なるものが登場します。庵野監督らしいネーミングセンスは健在のようです。
ヱヴァといえば主人公ロボットなのに悪人顔というのが特徴的ですよね。『トップをねらえ!』に登場する主人公ロボットの『ガンバスター』も悪人顔をしています。
悪人顔というか顔の元ネタは『ガメラ』の敵怪獣『ギャオス』ということで、悪人そのものです。(ガンバスターの量産機『シズラー』はまんまギャオス)
ガンバスター合体のシーンは庵野監督っぽさが滲み出ています。レバーを引くと「合体」の文字が出てきます。
ヱヴァのラミエル戦でも、ポジトロンライフル充填のシーンで撃鉄をおこす時「火力」という漢字の文字が出てきます。
『トップをねらえ!』には庵野監督流の「かっこいい」が詰まってるのだと思います。
今観ると絵柄は古く感じてしまいますが、登場人物や兵器のデザインは今の世の中でも全然通じるものだと思います。