宮崎駿初映画監督作品『ルパン三世 カリオストロの城』が4K+7.1chで蘇る。
『ルパン三世』アニメ化50周年を記念し期間限定公開される『ルパン三世 カリオストロの城 同時上映 ルパンは今も燃えているか?』。
4K映像で視覚を、7.1chで聴覚を満足させてくれます。
『カリオストロの城』と言えば、金曜ロードショーなどでは常連で、テレビ放送も何回もされているため、劇場まで足を運ぶか迷っている方も多いと思います。
そこで今回は『ルパン三世 カリオストロの城 』は劇場で観るべきか。また、どこに注目すると面白いか語っていきます。
「古いアニメだから」「テレビで観たことあるから」と、観るかどうか迷っているという方、は是非、参考にしてみてください。
ネタバレ含みます。
目次
- 『カリオストロの城』はテレビで何回もやっているからこそ劇場で観るべき。
- 宮崎駿監督の“考え方”がわかる作品。
- カリオストロ伯爵からわかる宮崎駿の悪役の流儀。
目次
『カリオストロの城』はテレビで何回もやってるからこそ劇場で観るべき。
そもそも『カリオストロの城』とはどういう映画なのか?ジブリ作品ではありませんが、監督は宮崎駿が担当しています。
宮崎駿監督がジブリで映画をつくる前、東映アニメーション時代の全てをつぎ込むと意気込んで造ったアニメであり、『風の谷のナウシカ』よりも前の映画になります。
確かに絵柄は好みが分かれる部分かもしれませんが、不朽の名作と呼ばれるにふさわしいド迫力のアクション、と重厚なストーリーを楽しむことができます。
4Kの綺麗な映像は家でも観れますが、7.1chの多次元サウンドはなかなか家では再現はできません。
ホームシアターがある方でも、映画館の音響設備を整えるのはなかなか難しいものがあるでしょう。
“映像”に関しては、特に作画修正が入ったりしているわけではないので、違いはパッとしません。
しかし、音響に関しては“何回もテレビで観た”という人ほど感動することができるのではないでしょうか。
宮崎駿監督の“考え方”がわかる作品。
上記にも書きましたが、『カリオストロの城』は『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』よりも前の作品です。
レイアウト手法なんかの技術的な部分はもちろんのこと、ストーリーやキャラクターの構成も宮崎駿監督“らしさ”“考え方”を感じることができます。
本当の男のかっこよさとは?かっこいいアクションとは?女性のつよさとは?
『カリオストロの城』は、宮崎駿監督の面白いところが随所に垣間見える作品なので、あえてここに注目して欲しいというところは言いたくありません。
しかし、もう『カリオストロの城』観るのも2回3回目で、映像と音楽だけじゃイマイチ気乗りしないという方に、あえて注目して欲しいところを言うのならば、『カリオストロ伯爵』についてです。
カリオストロ伯爵からわかる宮崎駿の悪役の流儀。
フルネームをラサール・ド・カリオストロといい、ヨーロッパの小国カリオストロ公国の摂政。
『ルパン三世』のレギュラーメンバーに負けないくらいの存在感をほこり、傲慢で尊大な性格を持ちながらも真に公国の繁栄を望む姿とルパンとタイマンアクションができるほどの体力をもっており、かなり魅力的なキャラクターに仕上がっています。
魅力的なのもそのはずで、カリオストロ伯爵とは言わばルパン三世のもう一つの姿なのです。
宮崎駿監督の悪役の流儀はいくつかありますが、個人的に以下の2点が大きいと思っています。
1つ目、主人公と対になる存在。
宮崎駿監督は物語を作る時、主人公とその対になるキャラクターを用意し、物語を膨らましていきます。
『風の谷のナウシカ』ならナウシカとクシャナ、『天空の城ラピュタ』ならパズーとムスカです。
カリオストロ伯爵とは、日の当たらない世界の住人であり、古風な乗り物を好み、インターポールに友人が居て、世間の評価は女たらし。やはりどこかルパンに似ています。
誰よりもカリオストロ公国の未来を案じており、落ち目のカリオストロ公国の起死回生のためにクラリスとの結婚と先祖の遺産を手に入れようと奮闘します。
カリオストロ伯爵もルパンも同じ日の当たらない世界のの住人ながら、クラリスをかけて勝負するわけです。
そんな2人のラストは秀逸で、1人でも高みを目指そうとしたカリオストロは死に、クラリスとともに落ちることを覚悟したルパンは生き残りました。
2つ目、小さな部屋を持っている。
宮崎駿監督の悪役は“小さな部屋”を持ってきます。そしてその部屋は女の子を口説くために存在するのです。
宮崎駿監督の雑想ノートにも描いてありますが、宮崎駿監督曰く悪役とは、自分の根城に秘密の小部屋を持っており、そこで女の子に美味しいご飯やドレスなんかをプレゼントして女の子に気にいられようとするんだそうです。
『天空の城ラピュタ』のムスカも小部屋にシータを閉じ込め、プレゼントを贈って気にいられようとしていました。
閉じ込めている時点で女の子からは嫌われているのに、無駄な努力をする“女心わかってない感”が、宮崎駿監督の悪役には必要なのかもしれません。
『カリオストロの城』はジブリ作品ではなく、東京ムービー新社の作品ではありますが、宮崎駿監督の根源というか、宮崎駿監督の“こういうのおもしろい”という考え方が詰まっています。
その筆頭であるカリオストロ伯爵に注目してみるだけでも面白いのではないでしょうか?
過去に上映された映画が再上映される機会はなかなかありません。この気を逃したらあと何年待たないといけないかわからないです。
“古いアニメだから”“テレビで観たことあるから”という理由で観に行くか迷っている人は、是非一度劇場に足を運んでみることをお勧めします。
それでは次の記事で!