コロナウイルスの影響で『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の公開延期が決定してしまいました。
しかし、気を落とすことはありません。
太っ腹な株式会社カラーさんはなんと
- 『新劇場版エヴァンゲリオン序』
- 『新劇場版エヴァンゲリオン破』
- 『新劇場版エヴァンゲリオンQ』
の3作品をYouTubeと専用アプリEVA-EXTRAにて、無料公開してくれました!
そこで、『エヴァンゲリオン新劇場版:序』を観るにあたって注目して欲しい4つのことについてまとめました。
1つ目。新劇場版とシンでは少し違う、タイトルについて。
せっかく『新劇場版エヴァンゲリオン』を観るなら、まずはタイトルから見ていきましょう。
実は近日公開作品の「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」と「新劇場版エヴァンゲリオン」ではタイトルから明確な違いがあるのです。
その違いとは『仮名遣い』です。
当ブログでも何度も『新劇場版エヴァンゲリオン』と表記してしまっていますが、公式YouTubeに乗っているものや公式ポスターをみると「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」というような旧仮名遣いで表記されています。
しかし、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は、公式YouTubeでも、公式ポスターでも、現代仮名遣いで表記されています。
ただ造り手がめんどくさくなったのか?
商標上の理由なのか?
そうではありません。
わざわざ、YouTubeのタイトルの表記までしっかりと区別しているところから、株式会社カラーの徹底ぶりが伺えます。
庵野監督は『言葉』に複数の意味を持たせる手法、言葉遊びをよく使います。
例えばTVアニメシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン第24話 最後のシ者』。
『最後のシ者』の、『シ者』には
- 使者(最後の使い、使徒)
- 死者(最後の死人)
- 渚(シと者で登場人物の渚カヲルを表している)
などの複数の意味を持てるようになっています。
『シン・ゴジラ』の『シン』も、「新」「真」「神」と観た人によって意味を持てるようになっています。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』にも『シン』という言葉がついているので、仮名遣いの表記の違いになかなか気付きにくいです。
庵野監督がわざわざ仮名遣いを変えている理由は単純で、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』では「新しいエヴァンゲリオンを描くから」でしょう。
庵野監督は『新しいエヴァンゲリオン』をこれからのクリエイター達に造ってもらうために、『新劇場版』というシリーズを作り始めました。
詳しくは下記の記事で解説しています!
旧仮名遣いから、現代仮名遣いに。
『新劇場版ヱヴァンゲリヲン』はそんな庵野監督の想いが溢れている作品だと思って観るとより楽しめると思います。
2つ目:圧倒的破壊シーン
『エヴァンゲリオン』は難しい設定が多いです。
だからといって全て理解していないと楽しめない?と言われたらそんなことはありません。
まずは、アニメーションの技術や見た目で入り、面白かったら考察していけばいいと思っています。
アクションシーンだけでも観る価値があります。中でも注目なのは、やっぱり『破壊シーン』です。
庵野監督と言えば『風の谷のナウシカ』の巨神兵の作画を担当していた事で有名です。
『シン・ゴジラ』でも破壊シーンは特に素晴らしかったです。
「爆風」「瓦礫」「物質が溶けるほどの熱」これら表現の仕方が天才的に上手いです。
『ヤシマ作戦』でのラミエル(使徒)と初号機の撃ち合いのシーンは誰がみてもすごいと思いますが、ラミエルに最初に撃ち抜かれた時の初号機の焼かれ方が素晴らしいです。
装甲が溶けているのはもちろん、地面が溶けて足元にへばりついています。
「すごい強いビーム」をくらったら、ロボットの装甲が溶けるというシーンは多いですが、新劇場版では「その周りがどうなっているか?」まで気を遣って描いています。
3つ目。徹底した人造「人間」っぷり。
「エヴァはロボットじゃない!」という言葉を聞いた事がある人は多いと思います。
エヴァンゲリオンの正式名称は、『汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン』です。
エヴァ初号機を簡単に説明すると、人間を作り出した『リリス』という神のような生命体のコピー品です。
そんな、規模が大きい人造人間が、自分の動きにシンクロしていくのです。
だからこそ設定だけでなく、動きまでも人間らしい動きをします。
最近のアニメにも人間っぽい動き、生物っぽい動きをするロボットは多くいます。
しかし、それはせいぜい「はやく動く」「体がほそい」「人間っぽい形をしてる」だけです。
はっきりいって人間の動き、生物の動きを表現しきれていません。
それではエヴァはどんなところが人間らしいのかというと、「バク転をする」「口が開く」などそういった点もそうですが、もっと細かいところにもこだわりがみられます。
エヴァンゲリオン初号機に搭乗した碇シンジくんの初戦、そしてエヴァ初号機の暴走で使徒を倒すシーン。
どんな攻撃も通さないATフィールドを、手で引き裂くエヴァ初号機。
いったん右側に重心が偏るのです。
それは、シンジくんが右利きであり、そもそも人が両手で強く物を動かす時、必ずどちらかに重心がよります。
普通のアニメでは、だいたいが1の次に3の画像へと飛びます。そこにわざわざ生物っぽさをたすために2の画を入れているのです。
人、生きているものの癖をあえて描くことによって、従来のロボットとはひと味違うことがわかります。
余談。アニメの第1話と第2話も配信中なので、見比べてみて!
YouTubeで公開されているのは『新劇場版』だけではなく、TVアニメ版「新世紀エヴァンゲリオン」の第1話、第2話も公開されています。
「1話で敵と戦わず、2話で戦いが終わっていて回想で戦いを思い出す。」というアニメの倒置法は視聴者、業界共に大きな衝撃を与えました。
「実はあの時、師匠にこんなことを教わっていた。」「実はあの戦いはこんなだった。」というように、この倒置法は後に多くのバトル漫画でも使われるようになりました。
新劇場版は新劇場版でテンポが良いですが、TVアニメ版はTVアニメ版でやっぱり素晴らしいですね。
そして「人間っぽい動きをするエヴァ。」これも衝撃を与えました。
人間のように喋ったり、人間の動きに連動すして動くロボットは、日本のアニメでもハリウッドでも多くありますが、
人間の癖が現れるのを上手く描いたのはエヴァと『機動警察パトレイバー』でしょうか?(他にもあったら教えてください)
警察ロボットに対する敵ロボット『グリフォン』。
これがもう人間そのままのように動くからとっても強い。
しかし、人間のように動きすぎるからこそ搭乗者の癖がロボットにも出てしまい、そこが弱点になってしまう。
設定だけで「人間っぽい」をあらわすのではなく、ちゃんと描写するのがエヴァもパトレイバーも素晴らしいですね。
それでは次の記事で!