※公式サイト『機動戦士ガンダムZZ』より
一定数以上マニアックなファンが存在し、さらにプラモデルやゲーム作品で『ZZガンダム』が最近何かと話題になっています。
しかし、TVアニメ『機動戦士ガンダムZZ』は、劇場版がないことや、前作次作が有名すぎることから名だたる『ガンダムシリーズ』の中でも、知名度があまり高くありません。
ですが、お話がつまらない、モビルスーツがかっこよくないといったことは全く無いです。
伝説的な存在である富野由悠季氏が手がけた、初代から続く4作品『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』『逆襲のシャア』の中でも唯一劇場版が製作されていません。
近日公開の『閃光のハサウェイ』や、YouTubeガンダムchannelにて無料公開中の『機動戦士ガンダムUC』のストーリーにも深く関わっています。
そんな『機動戦士ガンダムZZ』の魅力や観る順番、を順に解説していこうと思います。
目次
『機動戦士ガンダムZZ』までのあらすじ。ギャグからシリアスへの路線変更。
『機動戦士ガンダムZZ』のあらすじの前に、前作前々作のあらすじも簡単に紹介していきます。
『機動戦士ガンダム』
西暦は終わり、宇宙世紀を歩み始めた人類か宇宙にまで生活圏を広げた世界。
宇宙にはいくつものコロニーが造られ、そこで地球さながらの生活をしていた。
地球から宇宙を管理しようとする地球連邦軍と、宇宙コロニーの国家独立を目指すジオン公国との独立戦争を描いた作品。
独立戦争と聞くとジオン公国側が主人公サイドかと思われますが、主人公アムロは地球連邦軍側です。
一見、正義にも見えるジオン公国も裏では権力争いや独裁があり、何が正しいかわからないこそ、そこに生きる人物達に魅力があります。
『機動戦士Zガンダム』
ジオン公国の独立戦争は地球連邦軍の勝利(追い込まれたジオンは終戦条約を結んだ)という形をむかえる。
先の大戦で勝利した地球連邦軍はさらに増長し、排他的でエリート主義の「ティターンズ」という組織が誕生してしまう。
自分たちに逆らうものを悪として、徹底的に弾圧する「ティターンズ」の反抗組織「エゥーゴ」と、ジオン復興を目指す「アクシズ」との三つ巴の戦いを描いた作品。
序盤から終盤まで主要キャラクターが死ぬことが多々あり、お話も難解なため、人を選ぶ作品ではありますがお話自体はおもしろく、登場するモビルスーツ(メカ)はどれも秀逸なものばかりです。
『機動戦士ガンダムZZ』
ティターンズはエゥーゴとの戦いに敗れ、事実上崩壊する。しかし、エゥーゴも大半のパイロットや指導者を失いかなりの痛手を負う。
1歩引いたところで戦況を伺っていた『アクシズ』が『ネオ・ジオン』と名乗り台頭した。
ひょんなことからZガンダムに乗ることになった主人公ジュドー・アーシタ率いるガンダムチームと、『ネオ・ジオン』の戦いを描いた作品。
前作の暗い雰囲気から、アニメに娯楽を取り戻すため、前半はギャグシーン多めの明るいお話が続きます。
しかし、後半になるにつれ『ネオ・ジオン』内部の反乱、主人公達の親しい人達の死が描かれ、さらにギャグキャラクター達は強化人間にされ、お話は一気にシリアステイストになります。
前半と後半でギャップが大きく、『Zガンダム』以上に人を選んでしまう作品かもしれません。
ただ、ギャップがあるにせよお話がつまらない訳ではありません。少年少女の人間関係やモビルスーツとの距離感は後のガンダムシリーズに受け継がれていきます。
さらに『機動戦士ガンダムZZ』は、ガンダムシリーズに必要不可欠と言えるモビルスーツの進化の転換期となったともいえます。
モビルスーツ進化の転換期。モビルスーツの進化は恐竜の進化!
『機動戦士Zガンダム』の後半から、だんだんとモビルスーツの巨大化がはじまりました。
以前までは、あくまで人間に近い動きができるモビルスーツこそ優秀とされ、機動性が重視されていましたが、それよりも「装甲」「速度」「火力」が重視されるようになっていきました。
その進化の過程を一気に駆け上がったのが『機動戦士ガンダムZZ』です。
モビルスーツが壊れないように装甲を厚くする→装甲が厚くなって重くなったぶんバーニアスラスタが増える→速くて硬いモビルスーツを倒すために武器を沢山積む。
これを繰り返すほど、モビルスーツはどんどん巨大化していきました。
この進化の形は恐竜の進化と同じだと思ってみるとすごく面白いと思います。
つまり、モビルスーツ=恐竜なのです。
『ジュラシックパーク』などの恐竜映画を観ていると、なんとなく恐竜って全部同じ時代に存在したかのような誤解を生んでしまいます。
しかし、みんなが知っているティラノサウルスやトリケラトプスは、恐竜の進化の中でも巨大化を極めていった時代の恐竜です。
最初は人間の背丈よりも低い小型の恐竜が誕生し、そこから強く大きく進化をしていった果てに、ティラノサウルスやトリケラトプスが生まれていったわけです。
三畳紀のエオラプトルがガンダムやザクとするなら、ZZガンダムに登場するモビルスーツ達は、ジュラ紀の大きく強くなることに進化していったアロサウルスやステゴサウルスのポジションです。
ティラノサウルスやトリケラトプスのポジションは、『機動戦士ガンダムZZ』の次作『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場する、νガンダムやサザビーです。
巨大化を極めていった恐竜の歴史は大量絶滅によって終わりを迎え、小さくて賢い哺乳類に覇権を譲っていくのですが、ガンダムシリーズも全く同じ歩み方をしていきます。
- 『機動戦士ガンダム』
- 『機動戦士Zガンダム』
- 『機動戦士ZZガンダム』
- 『逆襲のシャア』
- 『ユニコーンガンダム』
- 『閃光のハサウェイ』
と続いたモビルスーツ巨大化の歴史も、戦争が一時途絶えるという形で、モビルスーツ自体の需要がなくなります。
巨大化しすぎて失ってしまった機動力とコスパの良さ、ここから『ガンダムF91』という今までとは違う小型モビルスーツの歴史が始まります。
大食らいで燃費の悪い上に遅い恐竜は絶滅し、少食で燃費の良い上に素早い哺乳類が台頭したように、
巨大で複雑で整備性の悪いモビルスーツは衰退し、小さくて燃費が良く整備性の良いモビルスーツが台頭していったのです。
『機動戦士ガンダムZZ』は長いモビルスーツの進化の歴史のとても重要な期間を描いているのです。
『機動戦士ガンダムZZ』が与えた影響は、アニメの中の歴史だけでなく、後に続くガンダムシリーズにも大きな影響を与えました。
『ガンダムF91』に登場する小型のモビルスーツも十分カッコイイですが、デカくて大迫力のモビルスーツの戦いを『機動戦士ガンダムZZ』で楽しむことができます。
まとめ:『ZZ』の前に『Z』を観るべし。『機動戦士ガンダムZZ』を観る前、見た後には何を観ればいいのか?
『機動戦士ガンダムZZ』は、ギャグテイストで始まります。
それは後半とのギャップにもなってしまいますが、観やすいという良い点でもあります。
これまでの『ガンダムシリーズ』を観てから『機動戦士ガンダムZZ』を観るのは、かなりハードルが低いと思います。
しかし、注意点が1つあります。
それは『機動戦士ガンダムZZ』の前作『機動戦士Zガンダム』を観る時です。
『機動戦士ガンダム』→『機動戦士Zガンダム』→『機動戦士ガンダムZZ』→『逆襲のシャア』
とお話は続いていきます。制作順も物語の時系列もこの順番なので、これに沿って観ていけばなんの違和感なくガンダムシリーズを楽しめます。
ただ上記にも書きましたが『機動戦士ガンダムZZ』以外の作品には、劇場版があります。(※逆襲のシャアは劇場版のみ)
劇場版はそれまでのお話を簡単に見る事ができます。それは良いところでもありますが、『機動戦士Zガンダム』の劇場版に関して注意点があります。
注意点とは『機動戦士Zガンダム』のTVアニメ版と劇場版ではラストシーンに大きな違いがあります。
『機動戦士ガンダム』の劇場版にもTVアニメ版と多少違いがありますが、後の作品を観るのに影響があることはありません。
しかし、『機動戦士Zガンダム』に関しては、劇場版を観てしまうと、その後『機動戦士ガンダムZZ』を観た時に大きな違和感を感じてしまいます。
なので時間に余裕がある方は『機動戦士Zガンダム』のTVアニメ版を観てから『機動戦士ガンダムZZ』を観ることをおすすめします。
※下記ネタバレ注意
『機動戦士Zガンダム』のTVアニメ版と劇場版の大きく違う点は主人公のラストです。
TVアニメ版のラスト、最終決戦に挑む『機動戦士Zガンダム』の主人公カミーユは、宿敵シロッコに対してなんとか勝つことができます。
しかし、シロッコは死ぬ寸前にカミーユに呪いにも似た精神攻撃をしました。その結果カミーユは精神崩壊してしまいます。
『機動戦士ガンダムZZ』はその精神崩壊した状態のカミーユが登場するのです。『機動戦士Zガンダム』の劇場版は、どちらかと言えば新規よりもファン向けに作られた作品で、ラストにカミーユは精神崩壊をしません。
劇場版の方がハッピーエンドで良いようにも思えますが、『機動戦士ガンダムZZ』では、精神崩壊したカミーユが再起するというのも見所のひとつなので、ぜひ『機動戦士ガンダムZZ』を観る前には『機動戦士Zガンダム』のTVアニメ版を視聴してからをおすすめします。