みなさん『ロボット』のどこが好きですか?
キャラクターではなく構造や体の一部を思い浮かべてください。アンテナ?丸太のような腕?胸のメーター?バックパック?それとも動力パイプでしょうか?
ロボットといってもそれが人型なのか、動物の型を模したものなのかで、イメージが多少変わってきますが、私がロボットと聞いて、まずイメージするのがずばり!蛇腹腕です!
蛇腹腕(じゃばらうで)って何?ってなる方も多いでしょう。同じロボット好きでも世代や作品の好みが違えば、伝わらない言葉があって当然です。
だからといって決別するのではなく、知らないけど少しでも興味ある人には知ってもらい、既に知っている方は、この記事を読んで、もっと蛇腹腕ロボットを好きになりましょう。笑
目次
蛇腹腕。正式名称フレキシブル・ベロウズ・リム
このロボットフィギュアは、見て頂ければわかる通り、腕部が人のそれとは違う構造をしています。いくつもの節が連なっていて腕を形成しています。
※蛇腹腕と蛇腹関節は違います!ジャイアントロボやレッドバロンは蛇腹関節。四肢の付け根、肩や股関節の部分を指します。
この腕の形状を蛇腹腕と勝手に呼んでいるわけですが、この形状には正式名称があり『フレキシブル・ベロウズ・リム』と言います。
直訳すると柔軟な蛇腹の腕。正式名称といっても、ガンダムシリーズの蛇腹腕がこう呼ばれているだけなんですが。
しかし、この『フレキシブル・ベロウズ・リム』(のような構造)は、色々な作品のロボットに使われています。
その中でも有名なのは『天空の城ラピュタ』に出てくるロボット兵です。
なぜロボット兵やゴッグのように、四肢が蛇腹構造で出来たロボットが存在するのか?
デザイナーやアニメーターが語るに、『単純に見た目が敵っぽいということや、人とは違う脅威を視覚的に分かりやすくするため』とあります。
しかし、それで片付けれるほど蛇腹腕の魅力は浅くありません。
蛇腹腕がなぜ『ロボット』を建造する際に採用されるのか?その考察をしていきたいと思います。
蛇腹(フレキシブル・ベロウズ・リム)の意外な強度。
蛇腹とは、板や膜などを山折りと谷折の繰り返した構造。
※その模様が蛇の腹に似ているため、蛇腹と呼ばれていますが、実際は俗称で、実際の蛇の腹は蛇腹とは呼ばず、腹板(腹鱗)といいます。
蛇腹というものがあまり思い浮かばない人は、トタン屋根なんかを思い浮かべてください。トタン構造はかなり原始的な蛇腹構造です。
蛇腹と聞くと強度がないように思えますが、強度と柔軟性を兼ね備えた存在です。
これを見れば蛇腹構造の強度がわかると思います。
だからといって、ほかのロボットの腕に強度がないのか?と言われたら、そうではありません。
蛇腹腕が採用される理由は強度だけではないのです。
蛇腹は戦うための関節。多関節構造の戦闘持久力
ショベルカーや人間のような一軸関節も180度近く曲げることはできるし、プラモデルのような二重関節ならなおさらです。
確かに強度と人間並の可動域が欲しいのなら、上記の関節でもいいかもしれません。
しかし、ラピュタ等に出てくるロボット兵はアシモやショベルカーとは違います。室内で運用するものでもなければ、建設機械でもありません。
ロボット兵はあくまで兵隊(庭園用はおいといて)。戦闘を目的に造られています。そのため、簡単に戦闘不能になっては困ります。
ロボットの戦闘不能には状況が大きくわけて3つあります。
- 動力源の破壊(パイロットの死亡も含む)
- 燃料切れ(原動力が無くなる)
- 自重を支えられなくなるぼどの四肢の欠損、または故障。
上記2つに関しては、なってしまってはどうしようもありません。しかし、3つ目に関してはどうにかしたいですよね。
「まだ戦えるはずなのに動けない。」
そんな状況を無くすのが『フレキシブル・ベロウズ・リム』です。
人間や油圧ショベルのような一軸関節の四肢を持つロボットだと、一つの関節が欠損や故障をするだけで多くの機能を失うことになりますが、蛇腹構造は違います。
蛇腹のような多関節構造なので、胴体から遠い所にある関節ほど失っても影響がでません。
『天空の城ラピュタ』でロボット兵が、ティディス要塞で暴れるシーンを観てもらうとわかると思いますが、四肢の関節に欠損があるのに関わらず、オートバランサーが機能して歩いています。
ロボット兵がいくらラピュタの超化学の産物で、材質や動力源がわからないにせよ、構造は推測できると思います。
ロボット兵が再起動する際に断面が移されますが、胴体に繋がっている方の断面は反応し、胴体に繋がっていない方は反応をしません。
飛行石からの謎のエネルギーで全身が動くのではなく、『私を守れ』という命令を受けて実行しようと、独立したロボットかつ、動力源が胴体についたロボットであることがわかります。
つまり、上記で書いた3つの戦闘不能状態に陥ることを避けなければなりません。
古代ラピュタ人は『戦闘ロボット』を作るにあたって『フレキシブル・ベロウズ・リム』を採用したのには上記の理由があったのでしょう。
『蛇腹腕』のもうひとつのメリット:デリケートな関節を守れる
蛇腹構造にすることでシリンダーや排気ホース、モーターやアクチュエータを可動域を保ったまま上手く隠すことができます。
切断されれば別ですが、銃弾や熱などから関節を守ることはものすごく大事な事です。
リアルロボットアニメの先駆けである『機動戦士ガンダム』に登場するロボットを見て、関節やホースなどを隠さないのはおかしいとガンダムアンチの宮崎駿監督は言っていたそうです。(ガンダム作品もサンダーボルトやロボットによっては関節やホース等を隠して描いていた。)
蛇腹構造は身近なところにも
この記事では、アニメに出てくるロボットで蛇腹関節(フレキシブル・ベロウズ・リム)について語りましたが、実は『蛇腹構造』自体は身近なところにも使われています。
接続部分の位置関係を伸縮方向・直角方向にもある程度自由に動ける点から、列車の貫通幌等はこの性質を使い採用されています。
現実にあるロボットだと蛇腹関節が使われているのは、蛇型ロボットくらいでしょうか?
いつかそれを腕や脚に使ったロボットを見てみたいですね笑
蛇腹腕のロボットは、やられ役だったりキワモノ扱いされてしまう事が多いですがそれでも私は蛇腹腕のロボットが好きです。
『小さい頃にラピュタのロボット兵やゴッグを観たから』という思い出補正もありますが、補正だけでは収まらない魅力が蛇腹腕のロボットにはあります。
普段はこんなマニアックな記事以外にも映画レビューや考察等を書いているので、ぜひそちらもご覧いただけたら嬉しいです笑
それでは次の記事で!