アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』。気付けばもう最終回。つい最近始まったように感じますが、時が経つのは早いですね。
ジョジョの奇妙な冒険シリーズでも、第5部はかなり人気があるシリーズ。気合が入った作画に毎週感動しています。
そんな『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』の後日譚がある事をご存知ですか?
今回は『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』の後日譚である、『恥知らずのパープルヘイズ』についてレビューしていきたいと思います。
目次
『恥知らずのパープルヘイズ』とは【微ネタバレあり】
※下記に、アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』のネタバレをちょっとだけ含みます。まだアニメを最後まで観てないよ!少しもネタバレ聞きたくないよ!という人は注意してください。
『恥知らずのパープルヘイズ』とは『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』のスピンオフ小説。
この物語の主人公は、第5部の主人公「ジョルノ・ジョバァーナ」ではなく、彼らの行動に対立し、チームから途中離脱した「パンナコッタ・フーゴ」。
『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』本編では、ブチャラティ達の「今のボス(ディアボロ)を裏切って自分達が新たなボスになる。」という無謀な考えが理解出来ず、途中でチームを脱退してしまったフーゴ。
本作の舞台は、ジョルノ達の死闘から半年後のイタリア。ボスを倒したジョルノは、今やイタリアマフィア・パッショーネのボス。ジョルノの仲間達は幹部になっていた。
半年前まで裏切り者はジョルノ達だったが、今や立場が逆転。フーゴの方が裏切り者になっていた。
そんなフーゴにジョルノは、再起をかけた最後のチャンスを与えます。
『恥知らずのパープルヘイズ』の見所(良かった点)
オリキャラだけじゃない
何度も言いますが、本作は『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』の後日譚であるため、フーゴ以外の第5部に登場したキャラクター達も登場します。
小説版のオリキャラだけの話では無いので、違和感なく物語を読むことが出来ます。
『麻薬チーム』との闘い
そもそもジョルノ達がボスを裏切った理由が、「現ボス(ディアボロ)が業界のタブーである麻薬に手を出していたから。」です。
警察が機能していない時代。子供にまで麻薬を売る組織の方針が許せないジョルノたち。ジョルノ自ら、新しいボスとなって街を統治する事を決意し、戦いに身を投じるのが第5部の物語。
ボス(ディアボロ)との戦いは終わったが、肝心の『麻薬チーム』が生き残っている。
この『麻薬チーム』の討伐を、ジョルノはチーム再起のチャンスとしてフーゴに命じます。
フーゴチーム VS 麻薬チームの構図
この小説は『ジョジョの奇妙な冒険シリーズ』です。もちろん主要キャラは全員スタンド使い。
フーゴは単身で麻薬チームに挑むのではなく、様々な理由でジョルノに信用されていない組織の人間と、チームを組まされます。
良くも悪くも個性豊かな仲間と共に、フーゴは麻薬チームと闘います。
麻薬チームのスタンドが魅力的
麻薬チームのメンバーは、全員その名に恥じないスタンド能力を持っています。幻覚をみせるスタンドや、塩を麻薬に変えられるスタンド。一見戦うには不向きな能力に聞こえますが、実はこれが応用力が高めでかなり厄介。
そんな麻薬チームメンバーと、そのスタンドをちょっとだけ解説したいと思います。
麻薬チームメンバー
ヴラディミール・コカキ
麻薬チームのリーダー。旧パッショーネ結成前から、裏社会で活動していた大物マフィア。曲者揃いのギャング達をまとめ上げるだけのカリスマ性があり、ジョルノも敵でありながら、高く評価していた人物。
普段は「温厚な老人」といった態度だが、自分たちに敵対する者は、容赦なく皆殺しにするという冷酷な一面を持ちます。
スタンド名は「レイニーデイ・ドリームアウェイ」
霧雨の様なスタンドで、この霧雨に濡れると「思い込みが持続」してしまう能力。
例えば、階段を踏み外したなら、その感覚が永遠に続いてしまう。ひどい話、「死ぬかも」と思ったらそのショックが永遠に続き、ほんとに死んでしまう。かなりチートな能力です。
え?じゃあどうやって勝つの?
『恥知らずのパープルヘイズ』に答えが載っているので、興味があったらぜひ。
マッシモ・ヴォルペ
チームの要。元貴族の青年。
コカキ曰く、麻薬チームは彼の為の部隊。
家は没落した貴族。家庭環境は最悪で、荒れた父親(大人)を見て育ったからか、夢や希望を持たず、何事にも無気力で退廃的な性格。フーゴとは境遇が似ていて、互いに同族嫌悪を抱いているっぽい。
ヴォルペは、第4部に登場したトニオ・トラサルディーの弟。
スタンド名は「マニック・デプレッション」。
餓鬼の様な見た目の不気味なスタンド。
名前はフーゴのスタンド『パープルヘイズ』と同じ、ジミ・ヘンドリックスの曲が由来。
全身からトゲが生えており、刺されるとその箇所が活性化する。体の部位に刺せば、ドーピングとしても使う事が出来ます。
車を受け止める事も、内臓を活性化して、胃を溶かす程の胃酸を出させることも。そして棘に刺されたドーピング状態なら、本来、人が触れることが出来ない「スタンド」を殴る事すら可能に。
ただし、身体にかかる負担はとてつもなく、自らの寿命も縮めている。(ヴォルペ自身はそんな事はどうでもいいと思っているから怖い)
この能力は物質にも使うことができ、塩を麻薬に変えることも可能。
第5部でイタリアの街に蔓延していた麻薬の正体は、ヴォルペが麻薬に変えた、ただの塩。
能力には期限がある他、「パッショーネの麻薬は新鮮だから、賞味期限がある」と言われていました。(こういうの好き)
スタンドは、能力者の精神が反映するため、現実から目を背け、他人の人生なんかどうでもいいという身勝手な性格が、「麻薬を生み出すスタンド能力」を生み出しました。
それ故に、ジョルノからは抹殺リストの最上位にされている危険人物。
能力者自身も危険に晒すという点で、フーゴの『パープルヘイズ』とも似ており、フーゴもこうなっていたかも?という考察ができます。
第5部の裏ボス的存在。アンジェリカ・アッタナシオ
麻薬チーム唯一の女の子。
血液が「ささくれる」という奇病を持つ少女。
その病による激痛に苦しんでいたが、ヴォルペのスタンド能力でそれを和らげている。
そのため、重度の麻薬中毒者となってしまっている。
彼女を助けていると思うことが、ヴォルペ唯一の生きる意味。
スタンド名は「ナイトバード・フライング」
スタンドは半自律型で、小鳥のような見た目。
能力は相手によって、好きな幻覚を見せることが出来ます。
現実にはないものを見せたり、死にたくなる様な恐怖の映像を見せたりして、自殺に追い込むことも可能。
精神面だけでなく、痛覚や平衡感覚を奪うなど、肉体面にも影響を及ぼす事が出来ます。
さらに「人間の魂」を感じる事ができ、敵の数や距離を割り出す事すらできる、かなり応用が効く能力。
ただし、能力者のアンジェリカ自身、末期の麻薬中毒者であり、幻覚や、まともな思考・判断が出来ないので、スタンドは半自律型になっており、攻撃は無差別になってしまう。
チームのメンバーを励ましたり、ヴォルペに対しては、「笑うと可愛いから笑ってた方がいいよ」なんて会話をする、年相応の優しい少女の一面もあるが、敵に対して、周りの無関係な人を巻き込んで攻撃するなど、身勝手な一面もあります。
ビットリオ・カタルディ
彼もまた麻薬患者の1人、アンジェリカ程ではないものの、思考能力や判断力が低下しています。
スタンド名は「ドリーダガー」
ナポレオン時代の短剣と一体化したスタンド。
能力は、短剣の刃に写る人物に対し、自分の受けたダメージの七割を、相手に移すことができる。
つまり、自分を短剣で切りつける事によって、どんな屈強な相手にも、ダメージの七割を相手に与える事ができる。ただし、残りの3割のダメージは自分に帰ってくる。
全体的にちぐはぐで、退廃的な言動の多い16歳の少年。自身のスタンド能力と自傷行為のせいで、全身が傷だらけ。
自分は悪くない、相手が悪いなどという責任転嫁の精神が、この能力を発現させた。
余談ですが、こいつとムーロロ(フーゴの仲間)の戦いは、かなり見所のある物になっているのでオススメです!
ニューリーダーになったジョルノ
『恥知らずのパープルヘイズ』では、ボスになったジョルノの姿を知る事ができます。
ゴールド・エクスペリエンスの能力は、さらに磨かれていて、全身を負傷した人間を一瞬で治すほど。
成長してるのはジョルノのスタンドだけでなく、カリスマ性もかなりのもので、もはや「きれいなディオ」。
個人的に、ボスになったあとのジョルノの描き方はかなり好印象。
オマージュやリスペクトが溢れている
キャラクターのセリフ、「ノックしてもしもーし」や「マンモーニ」など、原作の言い回しがかなり使われているので、違和感なく『ジョジョの奇妙な冒険』として、本作を読み進めることが出来ます。
『恥知らずのパープルヘイズ』は良いところばかりでもない
上記では「良い点」について触れてきましたが、人によっては、良し悪しが別れるであろう点を書いていきたいと思います。
あくまで二次創作
『恥知らずのパープルヘイズ』は、あくまで二次創作です。
著者は『ジョジョの奇妙な冒険』の作者、荒木飛呂彦先生ではなく、『ブギーポップは笑わない』でお馴染みの、上遠野浩平先生。
「人によっては、二次創作物は無理。」という人もいると思います。
荒木先生自身も『恥知らずのパープルヘイズ』を認めているので全然OK!スタンドのイラストは荒木先生本人が描いているほど。(ゲームにもこの話があるよ)
ゴジラやウルトラマンは、今では円谷監督が作っている訳では無いし、コナンや他の劇場版なども「原案は先生が考えて、後は脚本家が考える」なんて事が多いです。
オリキャラが強い
賛否両論ありますが、二次創作物が出る以上避けては通れない「オリキャラの強さ設定」。
本編登場キャラより弱いと迫力に欠けるし、かと言って強すぎると「チートキャラを出すな」とファンから反感を買います。
こういった二次創作物の敵キャラ問題は、大きく分けて2つの対処方があります。(細かく分ければ他にもあるけど)
「昔強かった敵が力を取り戻した(例:劇場版ワンピース方式)」か、「決して強くはないが、工夫する事で強さを増す敵(例:ポケットの中の戦争のバーニー)」
だいたいこの2パターンのどちらかの敵を、二次創作物で出すことになりますが、『恥知らずのパープルヘイズ』ではどちらかと言うと、後者のパターンになります。
どちらかと言うと後者のパターンなだけで、工夫される前からまあまあ強い。というのが問題なのです。
そして『恥知らずのパープルヘイズ』では、『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』本編に登場するキャラクターを、オリキャラが殺してしまっています。
こういった点は、許せない人が少なからずいると思うので要注意。
結局『恥知らずのパープルヘイズ』はオススメなのか?
結論:第5部好きにはオススメです。
ツッコミどころが無いわけではありませんが、無理のないオリキャラの設定、熱いバトル。第5部だけではなく、第1〜4部の設定も出てきて、個人的には読み終わったあとに満足感がありました。
『恥知らずのパープルヘイズ』に出てきた設定は、荒木先生や担当編集部も認めているものなので、オリジナル設定への拒絶反応もありません。(かなり話がまとまっている)
そして、荒木先生のスタンドイラストが見られるだけでも、この小説には買う価値があります。
『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』のアニメが終わり、ロスト状態になっているならぜひ『恥知らずのパープルヘイズ』を読んでみてはいかがでしょうか?
それでは次の記事で!