引用:シン・ゴジラ ポスター
『ゴジラ キングオブモンスターズ』、『シン・ウルトラマン』、『シン・ゴジラ』。今尚新作が出続ける怪獣映画。
国内外でも、一定の人気を保つ怪獣映画。どんな人でも、1度は観たことがあるのではないでしょうか?
切なかったり、辛いお話は少なく、スケールが大きくて爽快感があるのが魅力的な怪獣映画です。
しかし、面白い作品に出会っても、数が多すぎて次に何を観るか悩んでしまいますよね。そんな方必見のオススメ怪獣映画を、紹介していきたいと思います。
初心者・中級者・上級者それぞれ、3つずつ紹介していきたいと思います。
まずは、初心者向け映画を紹介していきたいと思います。入門編にふさわしい作品を3つほど選ばせて頂きました。
・初心者向け3選。まずはCGからがオススメ。
「『怪獣映画』なんてジャンルがあることを最近知った。」「知っていたけど、どれから観ればいいのか分からない。」
そんな人達にオススメなのは、『CG』です。より正確に言うと「CGで動く怪獣」です。
なぜ『CGで動く怪獣』をオススメするかと言うと、昔の怪獣映画は映像美の問題で世界観に入りづらいとか色々と理由があって、まずは怪獣映画の歴史を知ってほしいと思います。
怪獣映画は歴史が長く、1925年から始まります。
1925年公開の『ロストワールド』、33年公開『キングコング』を始め、最初はコマドリ人形を動かし、合成で人間を合わせることで、巨大な生物を表現していました。
そこから『ゴジラ』等の映画で着ぐるみで怪獣を表現するようになりました。
しかし、初めて観る怪獣映画が『着ぐるみ』や『コマドリ』の映画で、現代の映画では見慣れない表現方法だと、イマイチ楽しみきれないと思います。
なので、入門編としてはCGを使った怪獣映画が入りやすいと思っています。
前置きはこのくらいにして、さっそく1つ目の初心者向け怪獣映画紹介に入りましょう。
設定と冒頭シーンの説明が天才的に上手い。『パシフィック・リム』
「人類最後の望みは、この巨兵。」がキャッチコピー。
物語は「人類を脅かす怪獣と、巨大ロボットが戦う。」という王道なもの。
特に変わった設定もなければ、難しいお話でもありません。
しかし、日本のアニメや特撮映画を、とことんリスペクトした描写に、現代風にリメイクされた王道設定は特に見所です。
例えば、「なぜロボットで戦うのか?」
現代、怪獣とロボットやヒーローが戦う作品は、多くあります。しかし、理由付けがあやふやなものや、完全に無視した物が多いです。
「ロボット作るより、そのぶんミサイル打てばよくない?」そう思うのは野暮だと知りつつ、何も説明がなければ、もやもやしてしまいますよね。
それに対して『パシフィック・リム』はしっかりと説明を入れました。
『怪獣の血は有害な毒素を多量に含む』と。
作中で、怪獣は何匹も現れます。
その度に核兵器を打つと、放射能汚染で、怪獣に滅ぼされるより前に人類が先に滅亡します。
では、威力の高いミサイルで退治しようとしても、怪獣の血は有害な毒素を多量に含むため、必要以上に怪獣に出血させてしまいます。
ではどうすればいいか?人類は答えを既に知っていました。
『巨大ロボット』で戦えばいい。と
各国は一致団結して「人類の味方の怪獣」を創りました。巨大ロボットには人が乗り込み、臨機応変な判断で、できるだけ被害を出さずに戦えます。
同じ質量を持っていれば、怪獣を撲殺することもできます。
さらに、怪獣と取っ組み合いに持ち込めれば、急所(頭や心臓)にだけ、ミサイルを打つこともできます。
『パシフィック・リム』の凄いところは、この設定を冒頭3分程度で違和感なく説明したところです。
他にも、この冒頭シーンだけで説明されている設定があって
- 怪獣が日常的に現れる
- 怪獣を倒すロボットパイロットはロックスター並みの人気物
- 怪獣はおもちゃになった
など。
『怪獣がおもちゃになった』っていうのは、怪獣に対する恐怖が、発生当初よりも薄まっているよ!ってことを表しています。
それも、子どもが面白がるぐらい、怪獣が脅威じゃなくなったっていうことも、冒頭シーンで考察できます。
つまり、冒頭シーンで映画の背景を説明してくれているので、後は怪獣シーン(迫力のあるシーン)に没頭できるんですよね。
とにかく冒頭の設定説明がおもしろいです。
ほかの映画だといきなりアクションをぶっ込まれたり、難しい説明されたりすることが多いですが、ここまで魅力的な冒頭説明はなかなかありません。
もちろん本編もおもしろいですが、冒頭だけでも見て欲しい作品です。
今の日本に怪獣が現れたら?リアル怪獣映画『シン・ゴジラ』
「もし今の日本に突然怪獣が現れたら?」これがとことんリアルに描かれたのが『シン・ゴジラ』。
実際の災害のひとつとして『ゴジラ』が描かれました。
舞台は現代日本ですが、『怪獣』という概念は存在せず『巨大不明生物』と『ゴジラ』は呼ばれていました。
群像劇としての一面が濃く、『ゴジラ』によって揺れる、日本政府の内情や諸外国との関係がリアルに描かれています。
ただ、やっぱり一番オススメなのは『破壊シーン』です。
怪獣映画の魅力といえば、ダイナミックに街が破壊されるところです。
それが『シン・ゴジラ』では、とても魅力的に描かれています。
『ゴジラ』と言えば、着ぐるみをつかった特撮が有名でしたが、『シン・ゴジラ』はCGによってゴジラが描かれています。(各シーンによっては特撮が使われているシーンもあります。)
従来と違う『ゴジラ』に、ファンは不安がありましたが、その不安を見事吹き飛ばしてくれました。
『シン・ゴジラ』庵野秀明監督の『破壊』のシーンには、とても魅力があります。
庵野秀明監督と言えば、『エヴァンゲリオン』や『風の谷のナウシカ』の巨神兵を作画した事でも有名です。庵野監督が描く『破壊』はとにかくリアルです。
ミサイルの爆発も、ビームでビルが溶けるシーンも普通の人は見たことがありません。
しかし、本当にリアルに感じます。「本当にこうなのでは?」と、思わされます。
実際には、誇張されている部分もあります。
しかし、その誇張されている部分が『庵野監督のアレンジ』の部分です。そのアレンジが美しくてかっこいいのです。
初代ゴジラは闊歩しながら、物語終盤でじわじわと東京の町を壊して回りました。
それを『シン・ゴジラ』では、わずか数分で町を焼き尽くしました。
『恐怖、驚き、美しさ、爽快感』これを全て同時に味わえる『シン・ゴジラ』素晴らしい作品です。
怪獣映画を観ても、怪獣はそこまで怖いと感じません。
それを他人事に感じさせないくらいリアルな現代日本を描き、「怪獣が現れたら怖い」という当たり前のことを感じさせてくれる『シン・ゴジラ』は、1度観たら何度も観たくなること間違いなしです。
「東宝だからできたこと。」『映画クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦。』
映画クレヨンしんちゃんといえば、おバカなノリはありますが、作画に気合いが入っているシーンが多いことも有名ですよね。
しかし、クレヨンしんちゃんの映画が好きな人でも、この映画を知らない方も多いと思います。
それもそのはず、歴代の『映画クレヨンしんちゃん』の中では、もっとも興行収入が低い作品です。
理由として考えられるのは、映画クレヨンしんちゃんにお決まりの『感動シーン』がないことでしょう。
ただ、興行収入が低い理由はそれだけで、作画の出来もよく、話もおもしろいのです。
なかでも名シーンなのは「ロボットが春日部に向かうシーン。」です
劇中には、悪い組織の巨大ロボットが、町を踏み潰しながらしんちゃんの家に向かうシーンがあります。
町を破壊して進むのはロボットですが、「怪獣」のような扱いをされます。
『ゴジラ』の鳴き声をだしたり、「ゴジラのテーマ」を流したり。
やりたい放題なのも、全て配給元が東宝だからできたことでしょう。
おもしろいのはそういったシーンだけではありません。
『日常に突然現れた巨大不明物。』をかなりリアルに描写しています。
例えば、ロボットが進んでいく方向を予想した「周辺地域に住む住人の避難誘導。」
これは、台風の進行予想と同じで、現実のニュースを予感させる避難速報が描かれています。
「日本政府のロボットに対する姿勢」に、イマイチ危機感を感じられないことや、日本政府のロボットに対する弱腰な姿勢に対して、海外メディアの批判が、「株価の暴落」を引き起こします。
一般的な庶民のシーンや、経済分野で本当に起こりそうな設定をとことん描いているのが、とても魅力に思えます。
これを『シン・ゴジラ』よりも16年も前にやっているのがすごいです。
登場する自衛隊の戦闘機や戦車も、実際に存在するものです。さらに、当時の総理大臣まで劇中に登場します。
ロボットの動力が人力だったりと、おバカな設定は多いですが、それが「現実世界に現れたら?」というのをリアルに描写しており、SF映画として完成度の高い物になっています。
登場するのは、怪獣ではなく巨大ロボットで、主役は野原しんのすけですが、あえてこの作品を『怪獣映画』として推したいと思います。
初心者入門編まとめ・怪獣映画は観やすい作品から入るべし。
紹介した映画はいかがだったでしょうか?どれも「怪獣」というものを分かりやすく、かっこよく描いています。
紹介した作品が比較的新しいのは、「世界観に入り込みやすいから」です。
よく『初代ゴジラ』いきなりを観る人もいますが、慣れない『白黒映画』や『特撮映画』からみてしまうと、「世界観に慣れるまでの時間」が長くなってしまいます。
もちろん「いきなりでもOK!」という人もいますが、個人的には最初は無理せず、観やすい作品(設定や視覚的に)から観るのをオススメします。
中級者向け怪獣映画3選。変わり種にも手を出してみよう!
最新CG作品やアニメで、『怪獣』というものの「お約束」や「定番」を知ることになります。
しかし、数ある『SF怪獣映画』では、お約束を破ってくる作品や、新しい「お約束」を作った作品があります。
中級者編では、そんな「お約束」を破ったり、新しい「お約束」を作った作品を3つ紹介していこうと思います。
主人公なのに主人公してない!?『クローバーフィールド/HAKAISHA』。
「ある日突然、大都会に怪獣が現れた。」一見どこにでもありそうな、王道の設定に聞こえます。
しかし、『クローバーフィールド/HAKAISHA』が他の作品と違うのは、主人公が一般市民目線だというところです。
怪獣映画の主人公と言えば、「ロボットのパイロット」「地球防衛軍の隊員」「光の巨人になれる」など。
怪獣に立ち向かっていく主人公設定が多いです。
しかし、『クローバーフィールド/HAKAISHA』の主人公はただの一般市民。怪獣の足元で、蹂躙される目線です。
主人公は本当に無力な一般市民でしかありません。
「主人公は怪獣がいる街で、なんとか恋人と避難しようとする。」これが物語が進行する上でベースとなります。
今までにない「主人公が、怪獣に対してなにもできない。」という斬新な設定なおもしろいです。
しかし、『不満点』というより『注意点』があります。
この作品は「モキュメンタリー」「フェイク・ドキュメンタリー」と称されます。
「ドキュメンタリー風に撮った作品」という意味です。
物語は終始「ビデオカメラ」の映像で取られています。そのため、「その場にいるような感覚」を味わえます。
それは良い点ですが、人によっては「画面酔い」してしまう人もいると思います。
さらに「緊急事態にカメラなんて捨てるだろ…。」という疑問が浮かんでしまう人もいると思います。
ただ、物語は今までの怪獣作品とは、ひと味違う主人公の視点や、「怪獣がどこから来たのか?」という謎が、考察できるシーンが隠されているので、一度見始めてしまうと惹き付けられる魅力があります。
変わり種に手を出したくなってきた方に、ぜひオススメしたい作品です。
ドジっ子怪獣登場。特撮最高峰の傑作。『地球防衛軍』
核戦争で母星が爆発し、めぐりめぐって地球にやってきたミステリアン。
手始めにロボット怪獣『モゲラ』を使って町を襲わせて実力を示した。
地球人(日本人)に対して、半径3kmの土地と地球の女性との結婚を認めて欲しいと要求。
要求をのめない防衛軍との、地球の命運をかけた戦争が始まったのでした。
「え?半径3キロmの土地と女性との結婚を認めて欲しいって結構良心的じゃない?」と少し思ってしまいます。
しかし、地球の町を襲った時点ですでに女性をさらっていたり、後に要求を拡大したりと、横暴な部分があるため、和解は不可能だったと考えられます。
監督は本多猪四郎さんで、特技監督は円谷英二さん。『初代ゴジラ』』など、日本の怪獣映画の生みの親である2人の作品です。
お話は、多少ツッコミどころはあるにせよ、「核で母星が滅んだ宇宙人と、核を必死で作り続ける地球人との戦い」というちょっと考えさせられる内容です。
さらに、特技監督は円谷英二さんで、集落が燃えるシーンやモゲラと防衛軍の戦いに気合いが入りまくっています。
ミステリアン側の兵器として使われるロボット怪獣モゲラは、機械と生き物が合わさった元祖ロボットモンスターです。
防衛軍の攻撃にびくともせず、集落を淡々と焼いていく怪獣モゲラですが、なかなかにかわいい一面を持ちます。
ロボット怪獣モゲラは、この映画で2体登場しますが、一体目は鉄橋を渡っている最中に橋が爆破され、落っこちた衝撃で止まってしまいます。
2体目は、防衛軍VSミステリアンの最終決戦時に現れます。防衛軍の秘密兵器マーカライトファープ(巨大なパラボラアンテナみたいな兵器)を壊すために、地中から出現します。
破壊成功と思いきや、倒れてきたマーカライトファープに押しつぶされてしまいます。
外は頑丈に見えても中身は繊細で、ドジっ子な怪獣をぜひ映画でお楽しみください。
ほかにも誰しも扇風機の前でやったことがある『ワレワレハウチュウジンダ』の元ネタがあったりと、『昔の映画』としての良さもふんだんに詰まった映画なので、退屈することは絶対にないと思います。
最新作にも出演するかも?『空の大怪獣ラドン』
『ラドン』といえば、2019年公開の『ゴジラ キングオブモンスターズ』にも出演したため、知っている人も多いかもしれません。
今や『ゴジラ』という作品に登場する、怪獣の1匹に過ぎないという認識ですが、元々は『ラドン』が主役の映画がありました。
それが『空の大怪獣ラドン』です。
『空の大怪獣ラドン』は、初代『ゴジラ』が流行ったことから、『怪獣ブーム』のはしりになった作品です。
『ゴジラ』『モスラ』『ラドン』は個別に映画がつくられ、「東宝の怪獣スター」「東方三大怪獣」とまで言われていました。
そんな彼も、今ではゴマすりくそバードと巷で囁かれています。
初代ラドンは、ハリウッド版ラドンよりも、さらに凶悪な顔をしているのが特徴です。
物語は「正体不明の巨大生物が現れた、どうする人間?」という感じの、王道なストーリーです。
しかし、ラドンが音速を超えて飛ぶ際に発生する『ソニックブーム』の表現や、火山の噴火などの演出は、数ある特撮映画の中でも群を抜いて素晴らしいです。
CGによって描かれる「風で吹き飛ぶ車」は、現代の映画にもありますが、正直そちらの方が偽物に見えてしまいます。
本物よりも本物らしい特撮表現は、CGに肥えた目で観ても驚いてしまいます。
監督は初代ゴジラの本多猪四郎さんで、怪獣が「恐怖の存在」として描かれています。
この頃から『怪獣映画』は人気を獲得していき、「怪獣が壊した町にファンが押し寄せる」という、『聖地巡礼現象』が一般の人にも浸透していきました。
『ゴジラ キングオブモンスターズ』の次回作にも出演するかもしれない『ラドン』の原点である『空の大怪獣ラドン』。
ハリウッドにも通じるキャラクターを、ぜひご覧ください。
中級者編まとめ・怪獣に違和感が無くなっていく感覚。
紹介した作品はいかがだったでしょう?『変わり種』もあれば、後に「お約束になったもの」もあります。
どうでしょうか!中級者編の映画を観る頃には、怪獣に違和感が無くなってきたのではないかと思います。
『SF怪獣映画』というジャンルは、本当に芸術です。観る人にも『芸術を楽しめる感性』を必要とします。
「怪獣なんているわけない」
「SFなんてリアルじゃない」
「家がミニチュアにしか見えない」
と最初から思っていれば、もちろん楽しむことはできません。
だからといって、いきなり「着ぐるみを生きてると思え!」「飛行機や翼竜は、ピアノ線で飛んでるんじゃない!」と言われても、戸惑ってしまいます。
「人形浄瑠璃で、黒子が見えなくなる」のも「和食に季節を感じる」のも、個人差はありますが、いきなりは無理です。
同じように『SF怪獣映画』も最初はCGで、観やすいものを見て、徐々に深みに入っていけば良いのです。
上級者向け怪獣映画3選。原点にして頂点。
中級者編では、特撮や怪獣の魅力が徐々にわかってきた頃だと思います。
上級者編では、原点にして頂点ともいえる作品達を紹介していこうと思います。
後の歴史に影響を与えた作品でありながら、実際に観る人は少なかったりと、マニアックな面を持つ作品が多いです。
しかし、中級者編を超えた人なら余すところなく楽しむことが出来ると思います。
怪獣の王。初代『ゴジラ』。
日本の沖合で、船が沈んだ。沈めた正体は謎の巨大生物だった。
大戸島の言い伝えより、その巨大生物は「ゴジラ」と名付けられた。ゴジラはやがて日本本土に上陸し、東京を火の海に変えてしまう。
世界を震撼させた世紀の大傑作。
すこし、当時の言い回しを真似て紹介しましたが、まさにその通りです。
『ゴジラ』は、日本の映画監督はもちろんのこと、世界の名だたる映画監督に影響を与えた作品です。
宮崎駿、スティーブン・スピルバーグ、ギレルモ・デル・トロなど、名前をあげればキリがありません。
『ゴジラ』が公開された時代は、「怪獣映画」という認識が、一般人には無かった頃に撮影された作品です。
そのため、当時『ゴジラ』を観た観客には衝撃的だったそうです。
「正体不明の事象発生→関連施設が情報を確認→主人公に電話がかかってくる。」
この一連は、現在のSF映画にも受け継がれています。
公開されたのは1954年で、第二次世界大戦終戦からわずか10年後です。
「また、疎開かあ」というセリフが、なんの違和感なく劇中から聞こえてきます。
せっかく復興した町が、火の海に変わってしまい、思わず青年から漏れる「ちきしょう」という声が、心に響いてきます。
『シン・ゴジラ』にも受け継がれたように『初代ゴジラ』は目が下を向いています。
これは敵が下にいることを示しており、後の怪獣を相手にするゴジラは、目が前を向いています。
家屋の倒壊の仕方や、街に火が広がっていく様は「これほんとに特撮か?」と思ってしまうほどリアルで、精密に造られています。
CGが当たり前ではない時代にも関わらず、50mの怪獣は生き生きとしています。
芸術の域に達しています。
撮影は困難を極め「撮影はゴジラ(17時)には帰れない。」という名言が生まれたそうです笑。
誤解されがちですが、『ゴジラ』は「恐竜時代の生き残り」であり、核兵器の影響で生まれた怪獣ではありません。
あくまで「水爆実験で住処をおわれてしまった生き物」にすぎません。日本からしたら、完全にとばっちりでしかなく、本当に理不尽な暴力です。
「住処を奪った人類」として破壊しに来たのか、「ただ逃げてきた先に邪魔なものが沢山あった」のか、わかりません。
何が起こってるのかわからず、市民はただ不幸を背負わされるのは、戦争と似ています。
『ゴジラ』の正体に関しては、個人的には伊福部昭さん(ゴジラのテーマの作曲者)の考え方が好きです。
ゴジラは、人間の破壊衝動の概念そのもの。怖さこそ感じるが、観た人間が心の破壊衝動を、ゴジラという存在に置き換えることによって、抑えることだってできるはず。
人間の尽きることの無い破壊衝動を、心の中でゴジラという存在に置き換えることができれば、上手く破壊衝動を抑制できると思います。
1954年公開の『ゴジラ』は、白黒映画です。手を出すのを、思わずためらってしまう気持ちもわかります。
しかし、一度観始めてしまえば、食い入るように観てしまうこと間違いありません。
名前負けしたリドザウルス君『原始怪獣現る』
この作品は、1953年公開で、ゴジラより1年前に公開されていてます。
物語のあらすじは、「恐竜時代の生き残り「リドサウルス」が、核実験で目覚めて、ニューヨークの大都会で大暴れする。」というもの。
ん?
ちなみに『原始怪獣現る』の原題は『2万ファソムからきた怪獣』で、『ゴジラ』の仮題は『海底2万マイルから来た大怪獣』だったそうです。
『ゴジラ』はパクリではありません。あくまで「インスピレーションを受けた作品」と言ってください。というのはしらじらしいですかね。
そうです。『ゴジラ』は明らかに『原始怪獣現る』を意識してつくられた作品です。
しかし、東宝は一貫として『ゴジラ』が『原始怪獣現る』に影響を受けた(?)ことを認めません。
(キングコングはいいのに、なんでリドサウルスはだめなんでしょうか?)
さらに、米国のゴジラファン、KAIJUファンからは、『原始怪獣現る』の方がパクリだと言われる始末です。
個人的にも『ゴジラ』はパクリというには、あまりにも出来がいいものです。
正直、『ゴジラ』の方が特撮もお話もクオリティが高いと思っています。
だからといって『原始怪獣現る』が嫌いな訳ではありません。『リドサウルス』は立派な怪獣であり、とても魅力的です。
『ゴジラ』よりも体長が小さい為、キレのある動きが特徴的で、なによりも攻撃された時の反応がかわいいです。
さらに、シルエットや影の写し方が、ファンにはたまらなくかっこいいです。
下顎と牙を強調してみせて、観客の恐怖を煽ってくる演出は、現代でも『ジュラシックパークシリーズ』に継承されています。
巨人VS怪獣『フランケンシュタイン対地底怪獣』
巨人対怪獣の戦いを描いた『フランケンシュタイン対地底怪獣』。
『フランケンシュタインVS地底怪獣』パシフィック・リムやウルトラマンに引き継がれていく、「人型VS怪獣」の原点ともなった作品です。
不死身の人間兵器として造られた、フランケンシュタインが凶悪な地底怪獣『バラゴン』と戦うストーリーです。
物語は終始シリアスで、ホラーっぽい表現もあります。
ただ、昔の映像なので「怖い」と感じるかには個人差があるかもしれません。
さらに面白いのが、『バラゴン』のスーツは、「ウルトラQ」「ウルトラマン」と改造を繰り返されます。それだけデザインが優秀だということです。
『フランケンシュタイン対地底怪獣』には、『ウルトラマン』も『ゴジラ』も登場しません。
先程も書いたとおり、物語の最後まで雰囲気が暗いです。
しかし、それが『フランケンシュタイン対地底怪獣』の魅力です。
当時起きた「怪獣ブーム」によって、「ゴジラ」は、どんどん子ども向けの明るくて軽いテイストになっていきました。(ゴジラのヒーロー化)
そんな時代に造られた作品にも関わらず、巨人と怪獣の戦いを最後まで冗談っぽさなしでやり通しています。
もちろん『ゴジラ』がヒーロー時代の作品も大好きですが、初代ゴジラのイメージであるホラーを忘れなかった作品として、『フランケンシュタイン対地底怪獣』をオススメしたいです。
終わりに。怪獣映画に初心者も上級者もない。
最後まで読んでくださった方ありがとうございます。
このような記事を書いて、今さら何言ってんだと思うかもしれませんが、怪獣映画に初心者も上級者もありません。
CGのSF怪獣映画を観たことしかなくても、怪獣映画が好きなことに変わりはありません。
そういう私も『怪獣』が出てくる映画を、全て観たことがあるのか?と聞かれたらそんなことはありません。
今回の『怪獣SF映画おすすめ』からは私の独断と偏見で、『ロストワールド』『ジュラシックパーク』などの巨大恐竜は抜かせて頂きました。
確かに『ロストワールド』に登場する恐竜は、現代人が想像する恐竜とはちょっと違ったり、「ブラキオサウルスが人を襲う」という怪獣的表現があります。
『ジュラシックワールド』のティラノVSインドミナスは、怪獣映画のようでした。
しかし、2つの作品はあくまで『怪獣映画』ではなく、『恐竜映画』や『秘境探検映画』だと思っています。
加えてシリーズになっている作品も、抜かせて頂きました。
私も『ゴジラVSシリーズ』や『平成ガメラシリーズ』が大好きで、すごく悩みました。
しかし、シリーズ物を取り入れた場合「『エイリアン2』のエイリアンクイーンとかも怪獣なのか?」とか色々とややこしくなってしまうので、「シリーズ作品は抜き」とさせて頂きました。
ファンの皆さんごめんなさい。
ゴジラもシリーズになったものではありますが、1954年に公開された『ゴジラ』だけは、やはり別物だと思います。
クレヨンしんちゃんの映画もシリーズ物ですが、あれは『怪獣』というものを、かなりわかりやすく楽しく理解出来ると思うので、紹介させて頂きました。(本当に独断と偏見ですごめんなさい)
あと完全に余談ですが、みなさんの一番好きな怪獣はなんでしょうか?
私はゴジラ怪獣なら「ガイガン1972」、ウルトラ怪獣なら「ガブラ」、海外なら「サラマンダーの雄」が好きですね。
みなさんの好きな怪獣をぜひ、Twitterで教えて欲しいです!
『シン・ウルトラマン』公開に向けて、これからもどんどん怪獣関連映画の情報やレビュー、考察の記事をあげていこうと思います。
それではまた、次の記事で!