今回は『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の中盤をのシーンを解説していきます。
序盤の解説記事を読んでからのほうが、本記事を楽しめると思います。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を最初から最後まで、ストーリーを追って解説、考察していこうと思います。
今回は物語中盤、特に「ヴンダー内部の様子」について語っていきたいと思います。特に2回目行こうと思ってる人におすすめです。
画面の構図の解説や小ネタ、映像を観ながらでないとわからないようなものは、DVDやBlu-Rayの発売、VOD配信が開始されたら、解説していこうと思います。
※既にした解説、考察や説明する都合上、省いているシーンがあります。
ヴンダーに乗ることを決意したシンジとアスカの優しさ。
シンジがヴンダーに乗ると決意したことをアスカに話すと、アスカは「規則だから」と言ってテーザーガン?でシンジを気絶させて、拘束してから乗艦させます。
まあシンジは「危険人物」だからかな?とすっと流してしまいそうなシーンですが、よくよくセリフを読みといていくとアスカなりのシンジに対する優しさがわかります。
最後の決戦に向け、離艦希望者がヴンダーから降りるシーンがあります。
離艦希望者がいると言うことは、それだけ危険な作戦だと言うことです。
ほぼ死にに行くようなものであり、「第3村」の人達は、それを容認しています。
この世界では、何かを得るためには何かを犠牲にしなければなりません。要するに「贄」が必要なわけです。
マイナス宇宙に行くために、ゲンドウには冬月の死が必要であり、ゲンドウをとめるためにシンジにはミサトの死が必要であったのです。
そして「第3村」にもこれから平和に生き残っていくには「贄」が必要です。その贄とはヴンダーの乗組員です。
ケンジはアスカに、トウジは妹に死にに行ってこいと言ってはいませんが、容認はしています。
「君死にたまふことなかれ」とヴンダーの乗組員達が自分達のために死地へと向かうことを容認しながら、せめて自分の家族だけは生き残って欲しいと思っているのです。
アスカがケンスケに最後のお別れ(再開を果たしますが)をしていると、シンジが自分もヴンダーに乗るとアスカに伝えます。
「で?何しに来たの?」
とアスカがシンジに言います。
わかっているくせにきついなあ、と思ってしまいそうになりますが、そもそもアスカはシンジを捕まえてくるように命令がでていたと思われます。
アスカはテーザーガンを携帯し、アスカの官姓名は式波戦自特務少佐、そして任務は「監視拘束」です。
軍隊にとっての「命令系統の遵守」がどれだけ大事なことかわかっているはずです。
アスカはシンジを捕まえてこいと言われたわけです。
決して「連れて帰ってきてもいいし、ほっといてもいい、シンジの自由意志を尊重していい」とは言われていないはずなのです。
にもかかわらず、シンジがヴンダーに乗ろうとついてきた時、「何しに来たの?」とシラを切ってくれているわけです。
「第3村」では罵ったり、突き放したりしていましたが、それはあくまでシンジのためであり、アスカもなんだかんだ言ってシンジが望むなら「第3村」で穏やかに暮らしてもいいと思ってくれていたのです。
ついに明かされたAAAヴンダーの正体と艦内の様子。エヴァパイロットの特殊な扱いとかっこいい艦内放送。
シンジはヴンダーの中では拘束され、「対爆室」で保護されます。これはシンジだけかと思いきや、アスカやマリも同じでした。
シンジはインパクトのトリガーになる危険性があり、いつでも殺せるようにしてあるのはわかりますが、アスカやマリの部屋にも爆弾が仕掛けてあるのには驚きです。
考えてみれば当たり前のことですが、シンジのインパクト未遂のこともあり、エヴァパイロット全員が危険視されているということです。
アスカにもDSSチョーカーがつけられており、ヴンダー内のエヴァパイロットへの不信が感じられます。
しかし、それをしょうがないこととしてながせるアスカやマリは、シンジより大人だと言えますね。
地味に面白いのは艦内無線です。耳を澄ますと主砲の整備ばっかりやってますが、これは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』でエヴァMark.9特に破壊されたからしょうがありません。
冒頭10分でヴンダーが直々に戦闘しなかったのは、もちろんヴンダーを失う危険性を冒せないという理由もあったでしょうが、単純に主砲やその他完備砲塔がまだ修復中だったからだと考えられます。
とにかく無線というのはかっこいいですよね、キビキビ仕事をしてるのもかっこいいですし、
以前に活躍したところと、これから活躍するものの名称(真2とか改8とか)が、ものより先に言葉で出てくるのが面白いですよね。
そしてついにヴンダーの正体が明かされます。生命の種の保存、その守護のための半永久稼働可能の無人全自動型の箱舟こそヴンダーの役目だったのです。
補完計画の発動をとめるのではなく、補完計画の発動により消えてしまうだろう地球の生命体の種を地球圏外に逃がすための装置でした。
中には加持リョウジが大切に育ててきたスイカもあります。
『サイレントランニング』という映画に、同じく廃れていく地球から、植物を地球圏外、宇宙に逃がすという宇宙船が出てきます。
おもろしいことに『植物保存計画』という名前の計画が、宇宙貨物船によって遂行されています。
艦内は人工的に管理され、乗組員はわずか4名、そのうち3人は植物の価値を理解せず、怠惰な日々を送り、主人公だけが植物の価値を理解しています。
やがて、宇宙船が植物保存の任を解かれる日が来てしまいますが、主人公は他の乗組員3人を殺してでもそれを阻止し、植物の育成を主人公を理解してくれた人工知能搭載型ロボットに任せて、自らも死にました。
ヴンダーにも同型艦が4艦あり、その持ち主であるMarkシリーズを皆殺しにする展開も、植物を守る船を他の受け継ぎ、植物を守った張本人は死ぬ展開も、かなり似ています。
パロディやオマージュを意識してるのかはわかりませんが、庵野監督はこの映画を必ず観ている作品(SF映画界隈では有名作)だと思うので、深層心理にはこの映画があると思います。
明かされた空白の14年。そして最終決戦へ。
ミサトやヴィレクルーの回想で『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』と『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の間、空白の14年間が語られました。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』のラストで、綾波を取り込み、覚醒した初号機がサードインパクトを起こしかけたその時、
加持リョウジはネルフを裏切り、サードインパクトを自らの命をもってとめます。
(この時渚カヲルと加持リョウジは組んでいたのですが、詳しくは次回で。)
Mark.6はドグマへと降下し、リリスの首を刎ね、カシウスの槍を使うことでサードインパクトの先延ばしをしました。
人柱となるために加持リョウジは、垂直離着陸機(エヴァによく出てくる戦闘機)にのってドグマに向かったことが明かされます。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』からの謎だった、されこうべの丘に放置されていた垂直離着陸機の謎がようやく明かされたのです。
ヴィレ発足が公式にヴィレクルーによって語られ、いよいよ最終決戦へと向かいます。
わずらわしい伏線は全て回収され、いよいよ最後の決戦へ向かうことになり観客の胸の高鳴りも最高潮です。
アスカとシンジは和解し、アスカは「じゃっ」と言い、マリは「チャイツェン」と言います。
綾波がヤシマ作戦の時「じゃ、さよなら」と言ったのに対して、アスカはさよならはいいません。そしてマリはまた会おうと言って去っていきます。
特報やCMでも散々観てきたシーンですが、やはり劇中逃れでみると感慨深いです。
さて、次回はとうとうラスト、終盤について解説考察していきたいと思います。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を全部解説考察したいと思っても長くなってしまいそうなので、3分割しましたが、終盤だけでもかなり長くなってしまいそうです。
それでは次回も読んでいただけたら嬉しいです。