2019年長編アニメーション部門を受賞し、CGアニメの格をさらに上げたと言える『スパイダーマン・スパイダーバース』。
その続編に、日本版スパイダーマンが登場することが、ほぼ確実となりました。
『スパイダーマン・スパイダーバース』といえば、キャラクターや場面ごとで、違和感なく描き分けられたCGアニメーション技術が、広く評価されている点です。
さらに「様々な次元(世界)から集まった“スパイダーマン”が、同じ次元(世界)で活躍する。」という多元宇宙論(マルチバース)を物語りに取り込んだ点も、評価されました。
マルチバースを取り入れた作品は、昔から数多く存在しましたが、そこに世界観の違いから発生する“矛盾”に関しては「元からおなじだった」ことにしたり、最初から触れないことにする作品ばかりでした。
しかし、『スパイダーマン・スパイダーバース』ではあえてその“矛盾”にツッコミを入れ、視聴者が流し見していまうような部分まで、綿密に描き分けをしていました。
例えば、各世界からやってきたスパイダーマンの描き分けです。
色のない白黒の世界からやってきた、スパイダーノワールと、メインユニバース(主人公が元から存在した物語の軸となる世界)のスパイダーマンとの“色”としての描き分けはもちろんのこと、
カートゥーンアニメの世界から来たスパイダーハムは、なんと『光が常に一定の方向からあたっている』というカートゥーンアニメ特有の描き方がされていました。
そんな、革新的なCGアニメーション『スパイダーマン・スパイダーバース』の次回作に登場がほぼ確定となった、日本産のスパイダーマンとはどんなキャラクターなのか?どんな登場をするのか解説&考察していきたいと思います。
意外にも評価は高い?名前とセリフ“だけ”は知られている東映版スパイダーマン。
『地獄からの使者、スパイダーマッ』というフレーズだけご存知の方も多いかもしれません。
その独特なセリフの言い回し(空耳含む)や、画面からあふれる異様な光景から、昔から熱狂的なファンがおり、動画サイトには『東映版スパイダーマン』の動画がアップロードされ続けています。(スパイダーマンは著作権が複雑すぎて即時削除対象ですが笑)
しかし、「内容はよく知らない」という方も多いと思います。そこで、『東映版スパイダーマン』について簡単に解説していきたいと思います。
主人公は二輪レーサーの山城拓也。年齢は22歳。スパイダー感覚(センス)で人間の危機や、鉄十字団の悪事を察知し現れる。
父親をモンスター教授率いる鉄十字団にころされ、自らも洞窟に突き落とされて瀕死の重傷を負わされる。
同じ洞窟に封印されていたスパイダー星人の王子ガリアから、スパイダーエキスを注入され、スパイダーマンとしての力を得る。
スパイダーブレスレットを託され、超人・スパイダーマンとなった拓也は、復讐を果たすため、スパイダーマンとして鉄十字団に立ち向かう。
本家スパイダーマンに東映版のアレンジが加えられたスパイダーマンという感じの本作ですが、米国の制作関係者からは批判が多かった様です。
しかし、優れた特撮シーン(壁をCG無しで颯爽と登る)や巨大ロボットレオパルドンは、国内外でも高く評価されており、原作者スタン・リーも高く評価しています。
中でもレオパルドンが大のお気に入りで、「日本は別格」と語り、これ以降スタン・リーは大の親日家になりました。
レオパルドンとは、劇中に登場する変形巨大ロボットの名前。商業的な事情で生み出された存在だったが、超合金レオパルドンというおもちゃは大ヒットし、後の戦隊ヒーローの巨大ロボットを出す路線を決定づけました。
さらに、撮影に使用された着ぐるみは動きづらい上に、敵キャラクターの着ぐるみと大きさが違い、並べると違和感があるという理由から、『巨大化した敵を必殺技で瞬殺する』というキャラクターを確立されました。
アメリカン・コミックスの『アメイジング・スパイダーマン』の『スパイダーバース』では、スパイダーマン達のピンチに、レオパルドンと共に駆けつけ奮闘する。最終決戦にも参加するなど、出番は主人公勢よりは少ないものの見せ場には恵まれていました。
そんかレオパルドンは映画『スパイダーマン・スパイダーバース』の続編にも登場するのでしょうか?
出演フラグは元からあった!?あくまで噂話だった東映版スパイダーマン。
映画『スパイダーマン・スパイダーバース』では『東映版スパイダーマン』のロゴが一瞬だけ登場したり、レオパルドンのイラストが登場したりと、『東映版スパイダーマン』を予感させられるシーンは存在してはいました。
製作陣がTwitterで『東映版スパイダーマン』の登場予定を明言したことで、登場はほぼ確定となりました。ただハリウッドでは、企画がポシャンすることはよくあることで、登場キャラクターの変更や降板は公開直前までわかりません。
しかし、『東映版スパイダーマン』は国内だけでなく国外にも多くのファンがいます。
スティーヴン・スピルバーグ監督の『レディプレイヤー1』にはもともとレオパルドンが出演予定だったこともあり、『Xメン』のデッドプールにもネタにされたりと、愛されているからこそいじられているキャラクターといえます。
日本特撮ならではの独特な名乗り文句「地獄からの使者 スパイダーマン!」は、力みすぎてどうしても「地獄からの使者 スパイダーマッ」と聞こえてしまいます。
そのため、ファンからは『スパイダーマ』、『ダーマ』と呼称されており、本家スパイダーマンとは呼び分けされています。
それはコミックでも度々ネタにされており、『スパイダーマン』の『ン』を小さくして『ッ』にみせかけたりと、公式にも愛があふれています。
いままで著作権的な問題で、なかなか日の目を浴びることがなかった『東映版スパイダーマン』ですが、「スタン・リーや海外ファンが怒っている」というのは全くのデマだったということが、わかりました。
もし、このまま『スパイダーマン・スパイダーバース』に登場するのなら、『スパイダーマン』『スパイダーハム』『スパイダーノワール』『グウェンステイシー』『ペニー・パーカー』のように主役級に活躍してくれることは間違いないでしょう。
実は2番目。初代日本産スパイダーマンは漫画で登場。
勘違いしてしまう方も多いですが、日本産スパイダーマンは、漫画家の池上遼一さんが1970年から1971年にかけて連載していた漫画『スパイダーマン』の方が、東映版スパイダーマンより先に登場しています。
しかし、登場を明言されたのが『東映版スパイダーマン』だけではあるものの、「日本のコミックからやってきたスパイダーマン」は『スパイダーバース』の原作コミック『アメイジング・スパイダーマン』にも登場しており(池上遼一氏の作品からではないが)、レオパルドンを破壊された山城拓也を励ますシーンがありました。
さらに「漫画の世界からやってきた」ということもあり、彼だけ白黒で描かれるという点は映画『スパイダーマン・スパイダーバース』のスパイダーノワールに似ています。
『スパイダーマン・スパイダーバース』に登場する日本産スパイダーマンは『東映版スパイダーマン』だけではないかもしれません。
2022年4月に全米公開予定なので公開まではまだ時間がありますが、続報を楽しみに待ちたいと思います。
それでは次の記事で!