今回は、アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の前日譚である“プロローグ”について考察・解説していこうと思います。
プロローグは、水星の魔女の0話という扱いになっていますが、水星の魔女本編を視聴した後に観ても面白いストーリーになっています。
ところどころに、水星の魔女本編の伏線や本編をもっと楽しめるようになる設定が散りばめられています。
しかし、難しい単語やちょっとハードめなSF要素があるせいか、今ひとつ内容がよくわからないという人も少なくないようです。
擬態やモビルスーツの設定も凝っており、プロローグをしっかりおさらいしていくことで本編がさらに面白くなると思います。
大事なポイントを2つにまとめてきたので さっそく考察ポイントの解説をしていきましょう。
宇宙世紀至上主義に片足突っ込んでいましたが、すっかりハマってしまいました。べギルべウとミカエリスが好きです。
目次
考察ポイント①『機動戦士ガンダム 水星の魔女』プロローグとはどんなお話?”ガンダム”が迫害された日。
主要機関 | ベネリットグループ VS ヴァナディース機関 |
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主要人物 | デリング・レンブラン(ベネリットグループ代表)VS カルド・ナボ(ヴァナディース機関) |
主要モビルスーツ | ベギルベウ VS ガンダム・ルブリス |
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』プロローグとは、2022年10月から放送開始されたTVアニメシリーズ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の前日譚として製作された劇場アニメです。
水星の魔女というアニメの1話のおまけというよりも、30分の映画のような構成になっています。
物語の背景は“数多の企業が宇宙へ進出し、巨大な経済圏を構築する時代”A・S(アド・ステラ)を舞台にしています。
宇宙世紀シリーズでいうU・C(ユニバーサル・センチュリー)ですかね。
人類が宇宙へ進出し、宇宙コロニーの中で生活をしているのは初代『機動戦士ガンダム』と同じですが、水星の魔女では企業間の戦争や人種問題により、焦点をあてて描かれています。
物語のカギになるのは”ガンダム”ですが、ガンダムというのはこれまでのガンダムシリーズと意味合いが異なり、”GUND-ARM(ガンドアーム)”を略した言葉になっています。
GUND-ARM(通称ガンダム)とは、パーメットという特殊な宇宙の鉱物資源を利用して操る人体拡張技術のことで、他のモビルスーツと違い直感的に手足を動かせたり、多数の遠隔武装を同時に操ることができます。
しかし、欠点がありパーメット技術はまだ未成熟なためか、ガンダムに乗っているパイロットの体には大きな負担がかかり、最悪死に至ります。
これを問題視したモビルスーツの監査組織(カテドラル)が武力を用いてガンダム技術を弾圧しました。上記の表は右が弾圧側、左が弾圧された側です。
この弾圧事件が起こった日が『水星の魔女』プロローグであり、水星の魔女の本編もこうした背景があると知るとより楽しめます。
みどころは企業に隠れた人種差別と覇権争い。スペーシアンVSアーシアン。
GUND-ARM(ガンダム)は確かに危険ですが、身体障害者の義手などにも技術が応用可能であったり、モビルスーツ全体の性能を底上げする魅力的な技術です。
危険ではありますが、そこは時間とお金をかければいいのにと思ってしまいますが、そういう流れに世論をもっていかなかったのは、GUND-ARM(ガンダム)がモビルスーツ産業の覇権を握ってしまうと、不利になってしまう企業達の思惑がありました。
ベネリットグループ傘下の企業の中には、警察機構やコロニー公社のような大口の取引を相手にモビルスーツを販売しているところもあり、それがぽっとでの小さな企業にモビルスーツ需要奪われてしまったら大損害の上に、面目丸つぶれです。
さらに、水星の魔女の世界ではコロニー生まれコロニー育ちをスペーシアンと呼び、地球生まれをアーシアンと呼ぶ差別があります。
GUND-ARM(ガンダム)を開発しているヴァナディース機関も、オックス・アース・コーポレーションもアーシアン(もしくは親アーシアン)が多く、そういった理由も合わさって弾圧事件が起きてしまいました。
危険要素と利権争いと人種差別がガンダムを禁止に追いやったんですね。ということは安全なものを大手のスペーシアンが造れば何も問題ないのか…。
考察ポイント② 無双するガンダムと“アンチ”ガンダムモビルスーツのべギルベウ。
『水星の魔女』プロローグでは戦闘シーンも描かれます。コックピットのリアルな表現や未来の先端技術を真っ向から描こうとしているのが伝わってきます。
特にGUND-ARM(ガンダム)が扱う遠隔武装のガンドビットが、無重力空間で描く軌道の表現が素晴らしいです。
人体”拡張”技術とはよく言ったもので、自分の体に本来ない器官を手足のように動かす不気味さと、怖さ、兵器としての強さを全て丁寧に描いています。
禁止にしてしまいたいほど不気味がられるのがよくわかります。
ガンドビットは操縦者の身体に負担がかかるだけあって、並みのモビルスーツを圧倒していきますが、監査組織(カテドラル)も無策ではなく、”アンチ”ガンダムモビルスーツのべギルベウが登場します。
べギルベウにはGUND技術を阻害するジャミング装置のようなものが搭載されており、ガンダム側は追い込まれていきます。
こういった主人公のメタ系の敵は基本的に本編の5、6話以降などに登場するので、容赦のなさに驚いた視聴者も少なくないでしょう。
恐ろしい技術があれば、しっかりそれに対抗する技術があるというのが敵側も馬鹿じゃないのがよくわかり面白いポイントです。
敵側を愚かに描くことで主人公側を持ち上げる作品は好きではないので、こういった技術の切磋琢磨が観られるのは嬉しいですね。
まとめ。プロローグは新規ファン層もSF好きもどっちも楽しめる二重構造。
アンチガンダムのベギルベウやミカエリスが好きすぎる。
ガンドもいいけどノンキネティックも良い!!
— アリスケ (@walking_planets) December 10, 2022
今回はあえてエリクソトやスレッタに関する考察をポイントから除外しました。理由は単純でそれらは本編でしっかり完結するようになっていると思ったからです。
個人的には新規ファン層も古参ファンも、どちらにとってもより水星の魔女本編を楽しめるようなプロローグになっていると感じます。
バンダイは『水星の魔女』で多くの新規のファン層を獲得したようです。
これが制作陣の狙い通りだったのがまた驚きですが、1話のノリが軽くて雰囲気が明るすぎると思った人も、もっとガンダムの世界を知りたいと思った人にも、どちらも需要があるのがプロローグであり、観なくてもちゃんと本編が成立するようになっているのもまたプロローグの良さだと思います。
以上まとめると
- 『水星の魔女』プロローグはアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」の前日譚である。
- プロローグには水星の魔女本編の伏線や本編をもっと楽しめるようになる設定が散りばめられている。
- 義体のようなSF要素やモビルスーツの設定も凝っている。
- 「ガンダム」とはこれまでのガンダムシリーズと意味合いが異なり、GUND-ARMという人体拡張技術を略した言葉だ。
- プロローグは監査組織が武力を用いてガンダム技術を弾圧した歴史的な日を描いている。
- 企業の掲げる安全第一という看板に隠れた人種差別と利権争いがガンダムを禁止に追いやった。
- 「水星の魔女」で多くの新規のファン層を獲得しながらも古参のガンダムファンも取り込んだ。
- プロローグは新規ファン層もSF好きもどっちも楽しめる二重構造になっている。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』プロローグは観なくても大丈夫、観たらもっと本編が楽しくなる最高のプロローグだと思います。
本編もいよいよ一区切りつきそうな感じですが、このまま流れに乗れば映画もありそうなので、期待に胸が膨らみます。各企業の設定が宇宙世紀並みに緻密だからいろんなお話が作れそう。
今のところ作画崩壊もなく、順調すぎるほど毎週面白い展開なので最後までこのまま走り切ってほしいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。