今回はアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のデータストームとパーメットについて考察・解説していきます。
【機動戦士ガンダム 水星の魔女】は魅力あふれるキャラクターが多く登場します。
毎週、キャラクターの活躍が楽しみな半分、物語には常に死の匂いが微かにあり、毎週ドキドキさせられています。
物語の根幹であるデータストームとパーメットというアイテムは人間にとって便利でありながら大変有害なもので、それらを扱う人たちを魔女といいます。
魔女とは何なのか、データストームとパーメットに迫っていくとわかるかもしれません。
ガンダムシリーズではお馴染みの“搭乗者の命を削る系モビルスーツ”。こういうの正直好きです…。
目次
特殊な鉱石に含まれた新種の元素「パーメット」。現実世界のレアメタル?
登場作品 | 機動戦士ガンダム 水星の魔女 |
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名前 | パーメット |
搭載モビルスーツ | ガンダム・エアリアル ガンダム・ファラクト |
開発の第一人者 | カルド・ナボ |
データストームを語る前に、まずはデータストームという現象を起こす原因である“パーメット”という物質を語らねばなりません。作中の悲劇の根源、魔女が操るパーメットとはいったい..?
パーメットとは『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の作品内に登場する、太陽系内で採掘できる特殊な鉱石に含まれた新種の元素です。パーメット同士で情報を保存、共有する性質を有しており、作中ではパーメット技術によって新たな技術体系が生み出されています。
主に“月”と“水星”で採掘することができ、主人公のスレッタは水星出身で鉱山街出身だと考えられます。『ラピュタ』のパズーみたいですね。
パーメットは機械に取り込むことで、人体との同調をほぼ完全にすることができ、その技術は義手や義足などの技術を進化させました。
パーメット技術がつかわれた機械は、まるで本物の手足のように動きます。これをモビルスーツ技術に応用したものを“ガンドアーム(GUND-ARM)”縮めてガンダムといいます。
またパーメットで人体と機械を繋いでいるので、義手や義足だけにとどまらず、第二、第三の腕やドローンのような機械も自分の手足のように動かせます。まさに身体拡張技術。
公式でも各用語集を解説していますので、ぜひ!
足を失った人はまた走れるようになり、医療技術としてはまるで夢のようなパーメット技術ですが、モビルスーツに転用すると問題が起こりました。
それが“データストーム”問題です。
データストームとは。18mの体を動かすと操縦者の頭がパンクする?
登場作品 | 機動戦士ガンダム 水星の魔女 |
---|---|
名前 | データストーム |
データストームが発生するモビルスーツ | ガンダム・ルブリス ガンダム・ファラクト |
開発の第一人者 | カルド・ナボ |
開発 | オックス・アース・ コーポレーション |
パシフィック・リムみたいに2人乗りすることでデータストームに耐えるガンダム出てこないかな。
— アリスケ (@walking_planets) December 30, 2022
オックス・アース・ コーポレーションによって開発された”GUND-ARM”は、カルド・ナボが代表を務めるヴァナディース機関に資金提供し、パーメット技術をモビルスーツに転用した”GUND”を開発しました。
カルド・ナボの部屋には、パーメットによる身体拡張技術に助けられた人たちの幸せそうな写真が多く飾られていましたが、それを軍事転用するとなると幸せとは真逆の事態となりました。
パーメット技術によって、人体とモビルスーツをつなぐことを”パーメットリンク”といいますが、リンクすることでモビルスーツのデータはそのまま人体に流れていきます。
義手や義足などの人間が本来扱うことを想定した機械ならともかく、18mのロボットの体の情報に加えて、本来人間には存在しない器官であるファンネルや機体制御のブースターなどの情報が一気に操縦者の脳や神経、脊髄に流れ込みます。
まるで生き物のように動くガンダムは、他のモビルスーツとは比べ物にならないほど高性能ですが、ガンダムを動かす際に体に流れてくる膨大なデータに操縦者は耐えきれず、命を落としてしまうこともあります。
データストームとは、ガンド技術をつかったモビルスーツを動かす際に操縦者を襲う負荷のことであり、人の命を奪うことから作中では禁忌の技術とされました。
プロローグではデータストームによる人身事故をなくすことができなかったために、オックス・アース・ コーポレーションはガンダムは人間が触れてはいけなかった技術として、これ以上の研究・開発を禁止し、情報を漏洩させないためか関わっていた人間を処分しました。
プロローグの解説はこちら
スコアが上がるほど危険。パーメットスコア。
ガンダムがオールレンジ兵器を動かす際など、“パーメットスコア”という用語が作中では使用されていました。
パーメットスコアとは、操縦者がどれだけパーメットを流入しているか表す指標です。
スコアが高ければ高いほど身体拡張技術は本領を発揮し、ロボットの腕を自分の腕のように動かせるどころか、ファンネルやビット、ドローンも意のままに操ることができます。
しかし、スコアが高くなる分データストームの量も増えていき、無理をすればほんの数分で操縦者は命を落とします。
魔女の意味は?データストームを克服したのは人間?機械?
データストームがあるから、ガンダムは危険視され、それを携わる人たちは排除されました。自分たちが理解できないものには排他的になる…まるで中世の魔女狩りです。
水星の魔女というタイトルも、もとを辿ればデータストームに起因するものだったんですね。
しかし、“水星の魔女”というのはスレッタなのか、ガンダムを開発した人間(プロスペラ達)なのかは未だ明かされていません。
作中ではガンダムを開発している人間を“魔女”と呼んでいますが、ガンダムに乗っている人間も“地球の魔女”、“水星の魔女”などと呼びます。
水星の魔女と呼ばれるスレッタはガンダムを操っているにも関わらず、データストームの危険にさらされていません。
パーメットを使用している人間特有の文様が腕や顔に現れていたり、パーメットスコアも表示されているので、パーメットを扱っていることは確実ですがなぜか影響を受けていません。
これは『ガンダム・エアリアル』が特別だからなのか、はたまたスレッタが特別なのか。
一応作中では、エアリアルが特別な機体だとされていますが、それでは魔女と呼ばれるのはエアリアルを造ったプロスペラ達であり、スレッタまで魔女と呼ばれる筋合いはありません。
もちろん、周りから見たらそんなのは関係なく、ガンダムに関わっている者たちは、みんな魔女に見えるからなのかもしれませんが、作中ではガンダムを良く知る勢力もスレッタを魔女扱いしています。
もしかしたら、本当の魔女とは”パーメットの影響を受けない、もしくはデータストームを許容できる人類のニュータイプ”のことを呼ぶのかもしれません。
ガンダムシリーズで有名なニュータイプとは、人類の可能性の象徴、宇宙に進出した人類の進化した存在でした。水中から陸上へ、陸上から宙へ上がった人類の進化した姿こそ魔女なのかもしれません。
“魔女”というのはあまりいい印象を受けない人も多いです。
ミオリネ達の株式会社ガンダムが魔女に変わる新しい呼び方として、ニュータイプという言葉をつかう展開があったらかなり熱いです。
【ネタバレ】14話で明かされた最悪の“答え”。エアリアルの中にはエリクトがいた?
※下記にて重大なネタバレがあります。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』二期14話にてついにエアリアルとスレッタがデータストームの影響を受けない理由が描かれました。
ソフィとスレッタの戦闘中、ソフィはガンヴォルヴァでスレッタの駆るエアリアルを追い詰めますが、スレッタがパーメットスコア6を発動し、ガンヴォルヴァをジャックして逆にガンダム・ルブリス・ウル を追い詰めます。
ソフィは興奮状態のまま仲間の制止を振り切り、エアリアルに近づこうとすると、そこにはプロローグから行方が不明だったエリクト・サマヤの姿がありました。
この描写とこの時に別場所で交わされたベルメリアとプロスペラの会話から、「スレッタとエリクトは別人であること」、「データストームを克服しているのはエアリアル(エリクト)であること」が確定しました。
ベルメリア 「あなたにはもう一人、娘さんがいましたよね?」「エリクト・サマヤは、今何処にいるんですか?」
プロスペラ 「いるわよ?スレッタのすぐそばに。」
この会話は短いながらも視聴者をゾクっとさせてくれましたね。そしてなんと15話からはオープニングの映像が差し替えられ、シルエットのみ映っていた幼児の影が、無邪気に笑うエリクトになっています。
プロスペラの語る“データストームのその先”とは?プロスペラが創造する理想郷。
エアリアルの中にはエリクトがいる、これは確定だと思いますが、エリクトの姿がプロローグとは少しだけ異なっていたや、スレッタがエアリアルのことを呼ぶときに「エアリアル」と「みんな」を使い分けているのが気になります。
エアリアルにはまだ秘密がありそうです。
エアリアルはひとまず置いて、プロスペラの語るデータストームのその先について、現時点でわかっている可能性を考察していきましょう。
データストームのその先とは?候補①「エアリアルとスレッタのシンクロ」
プロスペラはベルメリアに問い詰められた際に「世界を書き換えたい」と語っていました。
そして何のために?と問われるとプロスペラは「エリィが幸せになるために」と答えました。
このやり取りから、プロスペラにはパーメットがつくる理想郷を実現させたいという思いと、エリクトに対するただならぬ執着心があるように感じます。
プロスペラの目的がエリクトの受肉であるならば、今はスレッタをエアリアルを通して同期している最中なのかもしれません。
データストームのその先とは?候補②「人類補完計画ならぬ人類データ化計画」
プロスペラがエリクトの受肉に固執しているならまだかわいいですが、現実世界にエリクトを持ち込むのではなく、全人類をパーメット世界に持っていくことが目的だとすると、恐ろしい計画だと思います。
エアリアルの中にはエリクト、エアリアルのガンビットの中にはスレッタが言うところの“みんな”がパーメットによって、生体データとして存在しているとすると、プロスペラの夢物語だと笑えません。
プロスペラはデリングが構想したGUNDフォーマットを用いたプロジェクトについて、「戦いや争いを排除する。素敵でしょ?」と語っていました。
スペーシアンによるアーシアンの弾圧、進化し続けるモビルスーツ(暴力マシン)のおかげで、争いがまったくなくなりそうにないあの世界では、プロスペラの計画は一部の人たちには本当に救いに思えてしまうかもしれません。
これからプロスペラが敵か味方かどっちにつくかもみどころですが、プロスペラが仮に敵になった時、スレッタやエアリアルが敵になる可能性もあります。
今はやりの“ラスボス系主人公”にスレッタもなる可能性が…。
今後の展開に目が離せません。以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
まとめ:水星の魔女とはデータストームを解決する物語。
今回は作中最重要な用語といってもいいデータストームとパーメットについて解説、考察しました。危険なのにそれに惹かれてしまう魅力とメリットがある素晴らしい設定だと思います。
以上まとめると
- パーメットとは、太陽系内で採掘できる特殊な鉱石に含まれた新種の元素のこと。
- パーメットは異なるパーメット同士で情報の共有、保存ができる。
- パーメット技術は身体拡張技術として使われ、医療や兵器としてもつかえる。
- パーメットをつかったモビルスーツをガンダムという。
- ガンダムを扱うにはパーメットをそれだけ多くつかわなければならず、搭乗者はパーメットの膨大な情報量に耐えられず命を落とすこともある。
- ガンダムのパーメット使用時に搭乗者を襲う身体負荷をデータストームと呼ぶ。
- パーメットの影響を受けない、もしくはデータストームを許容できる人類のニュータイプのことを呼ぶのかもしれない。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』はデータストームを解決する物語だといっても過言ではありません。
少なくとも1クールでデータストームの問題を解決し、2クールではその技術をめぐって戦争へ…という流れかも。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』内のガンダム同士の戦いは大好きです。互いが自前の能力を出し合う瞬間…たまらないですね。
ガンダムシリーズでは、ファンネルを扱うモビルスーツ同士が戦うという状況が少ないので、お互いが覚悟を決めてファンネルを展開しあう瞬間は続々します。
ぜひファンネル搭載機をどんどん出していってほしいですね。データストーム?そんなものは知りません