今回は漫画・アニメ『チェンソーマン』第1部“公安編”のラスト“マキマを食べるデンジ”の元ネタや伏線について考察・解説していきます。
一部ファンからは“マキマ定食”と呼ばれる狂気のシーンで、読者の中には「グロや鬱シーンは耐えてきたけどマキマ定食はダメだった。」という方も少なくないです。しかし、狂気の中にもどこか魅力があるマキマ定食について考察&解説していきましょう。
好きな人を食べてしまうなんて、それだけ聞いたら海外のシリアルキラーみたい
目次
マキマ定食とは?ラスボスを食べる狂気のラスト。
マキマ定食とは、『チェンソーマン』第一部のラスボスであるマキマをデンジが倒すために用いた手段です。
「マキマに対する攻撃はすべて日本国民に肩代わりさせる」というマキマが日本の首相と交わした契約の穴をかいくぐる為に、デンジが思いついた苦肉の策であり、デンジがカニバリズムに目覚めたわけでも、闇落ちしたわけでもありません。
実際にはマキマは人の形をしてるだけの悪魔であり、体の構成や構造が似ているだけなので食人行為にはなりませんが、黒幕だったとはいえこれまでヒロインポジションだったキャラクターが主人公に食べられる描写は精神的にきつかったという読者も少なくないようです。
現に『チェンソーマン』第二部では、あのデンジもマキマを食べたことを“食人”として捉えており、落ち込んではないものの何か思うところがあるようです。
デンジはマキマを食べることを“攻撃”ではなく“愛”ととらえており、マキマの死は日本国民に肩代わりされることなくマキマは死んでいきました。
なぜマキマが死んだといえるのか?こちらの記事で解説しています。
マキマ定食は何巻?グロより“きつい”ヤバメニュー。
マキマ定食メニュー
- 肉と玉ねぎの生姜焼き
- ハンバーグ
- カツ
- ナゲット
- モツ味噌煮込み
- 肉だけカレー
- 寿司
- ステーキ
- 肉団子
- 刺身
- 鍋
- 肉まん
- スパゲッティ
- ヤバジュース
デンジがマキマを食べるマキマ定食シーンは『チェンソーマン』単行本11巻 第96話”こんな味”にて描写されています。
上記でも触れましたが、『グロや鬱』描写の多いチェンソーマンの中でも特に精神的にきつい描写になっており、最後の最後でチェンソーマンを読み続けられなかったという読者もいるようです。
確かに”モツ”や”スパゲッティ”の描写は生々しいです。単行本ではマキマがタッパーに入れられて冷蔵庫に入れられているところが加筆されており、より生々しい描写になっています。
編集者からのNGを乗り越えたマキマ定食
最終決戦でマキマが
「チェンソーマンは痰なんか吐かない」って解釈違いを本人に言ってたのが皮肉で
正しくは「デンジはマキマ(好きな人)に痰なんか吐かない」
が正解なのも最高に皮肉。
— アリスケ (@walking_planets) January 9, 2023
『チェンソーマン』の中でも屈指のショッキングな展開なだけに、当時作者の藤本タツキ氏が担当編集者の林氏にネームを出した際に一度NGを出されていたそうです。
そのため、編集者と作者で打ち合わせを行い代案を3つほど用意したそうです。そして、その中の案の一つを藤本タツキ氏が選んで描くといったものの、編集者にたいして“明らかに描く気のない顔”をしていたそうです。
藤本先生強情…。まるで漫画のようなお話。
案の定、最終的に提出された原稿は、打ち合わせの内容を完全に無視した“マキマ定食”案でした。
結果マキマ定食案がジャンプに連載されることになりましたが、藤本先生は林編集に”炎上したら隠れてくれ”と言っていたそうです。
マキマ定食の元ネタ?ジャンプの食人描写は昔にも?
マキマ定食のジャンプで食人描写が連載されたのは驚きでしたが、過去にも少年漫画や同じジャンプで食人(食キャラクター)描写が連載に乗ったことはありました。
食人ではなくギャグマンガではありますが、過去には同じジャンプ作品であるギャグマンガ日和の西遊記回で、同族の仲間に食べられてしまったキャラクターもいました。キャラクターだとボーボボでもところ天の助が仲間に食べられていましたね。
しかし、2つの作品はどちらもギャグ漫画です。ここからはこの”マキマ定食”の元ネタについて考察します。
元ネタ候補①『封神演義』の“伯邑考ハンバーグ”。
元ネタ候補の一つ目として『封神演義』の“伯邑考ハンバーグ”が思い当たります。
シリアスなSF要素、メタ発言や顔芸などチェンソーマンと似通った点はありますが、藤本先生の口からこの作品の名前が出たことはなく、食人描写に関してはマキマと姫昌(ハンバーグを作った本人)では立場が真逆なので元ネタというよりは、似ている作品程度かもしれません。
『封神演義』の食人描写は、どちらかといえば『ヒストリエ』に似ているかもしれないですね。
元ネタ候補②作者の過去の実体験。好きなものはお腹の中に!?
これは有名な藤本タツキ先生のエピソードの一つですが『飼っていたメダカを食べた』というものです。
正確には「彼女が飼っていたメダカが死んでしまい、埋葬しようと公園に行ったけど地面が硬くて埋められなくて途方に暮れていたら、可哀そうになって食べてしまった」そうです。そして次の日にはしっかり胃腸炎になったとか。
食人ではなく、メダカなので少ない量ですが、ペットの亡骸を可哀そうだから食べるという発想はなかなか狂気的です。このエピソードはファンを喜ばせたものの、一部の読者にはドン引きされてしまったそうですね。
この過去の体験から、あの狂気のラストが生まれたとしたら漫画並みに面白いエピソードですよね。
編集者とのエピソードもメダカのエピソードも、『アオイホノオ』のような漫画仕立てにしたらすごく面白そうですよね
まとめ。2部でも見たい狂気シーン。
今回は『チェンソーマン』において一番印象的なシーンといっても過言ではない“マキマ定食”のシーンについて考察&解説しました。狂気的だけどそれまでに至る過程が丁寧に描かれている最高のシーンだと思います。
以上まとめると
- 「マキマ定食」とはデンジがマキマを倒すために用いた手段。
- 攻撃ではなく愛。
- マキマは悪魔なので食人描写ではないが、デンジはマキマを食べたことを「食人」として捉えている。
- 当時作者の藤本タツキ氏が担当編集者の林氏にネームを出した際にNGを出されていた。
- 元ネタ候補①「封神演義」の「伯邑考ハンバーグ」。
- 元ネタ候補②作者の過去の実体験。
- 藤本先生は過去に飼っていたメダカを食べたというエピソードがあり、作者は可哀そうになって食べてしまった。
- マキマ定食は狂気的だけど惹き込まれる魅力的なシーン。
第二部でもすでに主人公の友達が悪魔になってしまい、憧れていた存在に殺されるというかなりきつめの展開がありますが、”マキマ定食”を超える狂気はありません。
二部ではデンジに彼女のような存在ができそうになっていたり、自立しているような描写があるので、作者の藤本タツキ先生の実体験がこれからも盛り込まれていく可能性は大いにあります。
個人的にも作家性がある作品が好きなのでどれだけ狂気的でもグロくてもいいのでそういう展開が二部にもあることを期待です。
最後までお読みいただきありがとうございました。