今回は漫画・アニメ『チェンソーマン』第1部“公安編”の謎、レゼのロシア語とピンツィの中国語について考察・解説していきます。
レゼのロシア語とピンツィの中国語、かっこよくて意味ありげなセリフですが、今後の伏線や展開にかかわる皮肉だらけの伏線になっています。
目次
レゼのロシア語のシーンとは。雨の中で意外な展開とセリフ。
レゼのロシア語とは、『チェンソーマン』第1部“レゼ編”にて描かれたシーンです。(単行本5巻第43話)
デンジと徐々に仲を深めていったレゼは深夜の学校デートをします。そこでレゼは、デンジを狙う暗殺者に一人になったところを襲われてしまいます。
雨も降り始め、読者が最悪の鬱展開を覚悟した中、レゼは暗殺者をまさかの返り討ちにしました。
軽い身のこなしで暗殺者を絞め殺す際に、レゼはロシア語で歌を歌います。
あとレゼ様が歌ってたロシア語の歌翻訳してみた
おおよその内容はジェーンと朝から一日中デートをして夜教会で寝る、というもの
実際にある歌なのかまでは調べられなかったのでロシア語に詳しい人に任せます #wj47 #チェンソーマン pic.twitter.com/62O7sfHPz5
— ギールベルト (@gilbert0515) October 20, 2019
朝と夜、生と死。暗示してるのはレゼの運命かそれとも。
この歌はめちゃくちゃ古くからあるロシアの民謡っぽいですが、藤本タツキ先生のオリジナルの歌です。
なかなか良い歌ですがどこか不穏な歌詞に見えてしまいます。
朝に教会へ行き、昼にデート、夜中にまたに行き、眠りにつく。
教会をデンジとレゼが出会った喫茶店とすると、この歌はレゼの今後の伏線になっているようにも思えます。
レゼの正体はソ連からの刺客、爆弾の悪魔でした。
喫茶店で働く女子高生を装いデンジに近づき、デンジと距離を縮めてから襲いますが、デンジら退魔4課に返り討ちに遭い、悔い改めデンジと海外逃亡しようとするも、マキマに殺されてしまいます。
マキマに殺されたのは皮肉なことにデンジとの何気ない思い出の日常が詰まった喫茶店の前でした。
レゼの死についてはこちらに詳しく書いていますので良ければぜひ
個人的には漫画において罪のない人間を殺めたキャラクターは作中内でちゃんと死が描かれるべきだと思っているので、レゼが死ぬ展開に関してはしょうがないと思います。
とはいえ、デンジがレゼに段階的に心惹かれるていく描写が丁寧に描かれていただけに、ちょっと心が重くなりました。
また、レゼのロシア語の歌の意味は、レゼの死の運命の伏線という視点ではなく、単純にレゼの憧れの歌として考えてもおもしろいです。
レゼの正体はソ連の刺客でありながら、ソ連の悪魔人間兵器の実験体でもありました。
小さいころから実験施設にいるため、デンジがアキやパワーと過ごしていたような日常生活どころか学校にも行ったことがありませんでした。
レゼのロシア語の歌は、「朝に教会へ行き、昼にデート、夜中にまたに行き、眠りにつく。」というものですが、これは人生を表した歌の様にも考えられます。
歌の最後には
「食事をしたあと、今日の事を振り返ろう」
「教会で眠りにつこう」
という歌詞があります。
これは人を愛し、愛した人とこれまでの人生を語らい、そして息を引き取るまでの歌であり、ささやかな日常を尊ぶ歌であると思います。
しかし、そんなささやか日常も、人並みの人生経験も、愛も与えられなかったレゼの憧れの詰まった歌なのだと思います。
レゼは田舎のねずみのような刺激がなくとも、ささやかな幸せがあるような人生に憧れていることもセリフでありました。
改めてレゼのロシア語の歌は、レゼの憧れが詰まった歌だと考えると、よりおもしろいですね。
チェンソーマンの中国語。クァンシとピンツィの恐ろしいセリフ。
チェンソーマンの中国語のセリフがあるシーンは、『チェンソーマン』第1部“刺客編”単行本7巻第60話にて描かれました。
中国語のセリフは、中国から送り込まれたデンジを狙う刺客の一人にして“人類最強”“最古のデビルハンター”といわれる、クァンシとピンツイのセリフです。
クァンシの中国語のセリフは
「お嬢さん達! 残りもををよろしく」
ピンツイの中国語のセリフは
「死体が喋っている」
これは、クァンシが目にもとまらぬ速さで49人斬りをしたシーンで、クァンシの中国語のセリフの意味合いは「自分があらかた殺すから、運よく致命傷を逃れた敵の始末をよろしく。」というものになります。
そしてピンツィのセリフは、クァンシの恐ろしい剣技と目にもとまらぬ速さの断頭に、自分が死んだことに気が付いてない公安職員に放ったセリフです。
皮肉×皮肉。「死体が喋っている」→言った本人は喋る事のできない人形に…。
ピンツィは刺客編の戦いにの中で、ドイツからの刺客であるサンタクロースこと人形の悪魔に人形にされてしまいます。
人形の悪魔は、デンジとクァンシの共闘によりなんとか倒すことができましたが、人形の悪魔が死んでもピンツイはもとにもどりませんでした。
クァンシも人形の悪魔戦で相当ダメージを受けており、さらに人形になって廃人同様になったピンツィや、その他戦闘向けじゃない連れの魔人達をつれて、マキマら公安の包囲網を抜けるのは不可能と判断したクァンシは、マキマに対して降参し命乞いをします。
しかし、これに対しマキマは「死体が喋っている」といいクァンシの首を連れの魔人ごと首を切り落とします。
最初に「死体が喋ってる」といったピンツィは生きているのに喋る事ができない人形になり、ピンツィの大好きなクァンシは、命乞いをしているのにもかかわらず無様に殺されることになってしまいました。
上記でも書きましたが、基本的に作中で罪のない人間を殺したキャラクターは、作中で死ななければならないとおもっているので、この皮肉の効いたマキマのセリフにはグッときました。
しかし、ピンツィが人形になったとき「人形はどれだけ人間に似ていてもすでに死んでいて人間の真似をしているだけ」と言っていたクァンシが割り切れず、人形になったピンツィに無抵抗で刺されてしまうのもグッと来ました。
そして、それでもピンツィを抱きしめるクァンシに惚れましたね。
まとめ:外国語ってそれだけで伏線になるかっこよさ。
今回は『チェンソーマン』において印象的なシーン“レゼのロシア語”と“ピンツィの中国語”について解説&考察しました。
どちらも皮肉が効いていてドライな「チェンソーマン」の雰囲気に合っていると思います。
以上まとめると
- レゼの正体はソ連からの刺客、爆弾の悪魔。
- 喫茶店で働く女子高生を装いデンジに近づき、距離を縮めてから襲い返り討ちにされた。
- レゼのロシア語の歌は藤本タツキ先生のオリジナル。
- レゼのロシア語の歌は「朝に教会へ行き、昼にデート、夜中にまたに行き」という内容。
- レゼの運命を暗示しているようにもとれるし、レゼの憧れを歌っているようにもとれる。
- クァンシの中国語のセリフは「お嬢さん達!残りもををよろしく」
- ピンツィの中国語のセリフは「死体が喋っている」
- クァンシは「死体が喋っている」とマキマに言われて殺される。
これはどの漫画にも言えることですが、外国語のセリフってなんかかっこいいですよね。
アメコミ視点の外国語は「サヨナラ」とか外国語は単語しかないことが多いですが、日本の漫画は長いセリフが多い気がします。
作者のその国への造詣の深さが試されるので、外国人キャラは難しいですが、それだけちゃんとハマっていると一気に魅力的になると思います。
『チェンソーマン』2部は日本のどこにでもあるような高校が舞台なので、世界から刺客が攻めてくるとかはないでしょうが、普通の学園漫画みたいなノリで、外国人デビルハンター転校生が来る展開があってもおもしろいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。