円谷プロダクションは12月13日、映画「シン・ウルトラマン」の公開日を22年5月13日と延期を発表しました。
公開延期から数ヶ月経ち、『シンウルトラマン』=『パシフィック・リム』説に変わる新たな新説を考察しました。
それは『シンウルトラマン』=『古代戦士ハニワット』説です。
現代の日本を舞台に怪獣映画を撮るのなら、もはや『パシフィック・リム』に似るのは避けられないと考えていましたが、『古代戦士ハニワット』という作品に寄せるのもありなのではないかと思いました。
『古代戦士ハニワット』は登場する怪獣やヒーローに対する設定説明がめちゃくちゃ丁寧かつ細かいです。
正直その設定はこれまでのウルトラマンやゴジラなどの特撮作品に対してそのまま使っても違和感がないレベルです。
『シン・ウルトラマン』が宇宙人の侵略物や、ただの怪獣を退治する映画では無いのなら、『古代戦士ハニワット』に限りなく設定が近くなるのではないかと思いました。
目次
古代戦士ハニワットとは。荒ぶる神を納める物語。
『古代戦士ハニワット』は武富健治先生により2018年から連載が開始されました。土偶のような見た目で町を破壊する通称『ドグーン』と人々の戦いを描く、アクション漫画です。
『ドグーン』には通常兵器が効かず、唯一対抗できるのは対抗『ハニワット』だけです。『ハニワツト』とは特別な土でできた人形であり、それに人が乗り移ってドグーンと戦います。
端的に言えば、ウルトラマンやエヴァのハニワ版です。
しかし、ドグーンとハニワットの設定がかなり凝っていて、面白いものになっています。
ドグーンとハニワットの戦いは“祭祀”と呼ばれ、ハニワットはドグーンと戦う前に蹲踞(そんきょ)をします。
町を破壊するドグーンとは、言うなれば神の化身であり、人間や土地に積もりに積もった負の感情の化身のような存在なのです。
ハニワットも祭祀に使う道具に過ぎません。だからこそ、ドグーンとハニワットの戦いは“戦い方”がとても重要になってきます。
最初からスペシウム光線撃て問題解決。古代戦士ハニワットの最高の回答
ドグーンとハニワットの戦いは、ドグーンを倒すのではなく、ドグーンの気を納めることが目的です。ドグーンとは神の化身であり、人間や土地に積もる呪いの塊でもあります。
ドグーンの気が済むまで、ドグーンのやりたい戦い方を選ばなければならないのです。
注目ポイントは『古代戦士ハニワット第2巻第9話』ドグーンとハニワットが戦うシーンです。
このシーンは、ウルトラマンを現代でリアルに描くために解決しなければいけない課題のひとつ「スペシウム光線最初から射てばよくね問題」に対する綺麗な回答になっています。
第9話はドグーンとハニワットの戦い(祭祀)が初めて描かれるとても盛り上がるシーンです。
しかし、戦いは始まってそうそうハニワット側が劣勢に追い込まれてしまいます。
そして、ハニワットは焦って剣を取り出してしまうのです。そしてドグーンの腕を切り落としてしまいました。
普通の漫画なら、隠し武器を取り出す胸熱の展開のはずですが、読者はこのシーンをみているとなんだかやるせない気持ちになってしまいます。
まるで相撲をとっていた力士が負けそうになったからといって急にナイフを取り出してきたような感覚になるのです。
ドグーンVSハニワットの戦いを見守るモブキャラ達も「よし!やっちまえ!」というキャラもいれば、つい「ああっ」と声が漏れてしまうキャラもいます。
この反則技に対してドグーンは怒り狂い、よりいっそう攻撃は激しくなり、ついにハニワットは負けてしまいます。
実はドグーンには個性があり、個々に好む戦い方があります。光撃型、剣技型、相撲型などハニワットはドグーンに合わせて戦わなければなりません。
なぜならそれはドグーンとは神のような存在であり、倒すものではなく、怒りを納めて貰う存在だからです。
ただ勝てばいいわけではなく、ドグーンの気が済むまで戦うことが大事なのです。
そして、この設定をつかえば、長年ウルトラマンなどのヒーローが抱えている『最初から必殺技撃てばいいじゃん』という疑問に答えることができるのです。
いままで、ウルトラマンが最初からスペシウム光線を撃たない理由は説明できませんでした。ウルトラマンのみならず必殺技を持つヒーロー全てがそうでした。
なんで最初から必殺技使わないの?という疑問に対して今までは「敵を弱らせてからじゃないと当たらないから」「技を外したら危ないから」「疲れちゃうから」といってファン側で回答を用意するしかありませんでした。
イマイチ釈然としませんが、正直“そういうものだだと納得するしかありませんでした。
核兵器のようなリスクがハッキリわかる人類の必殺技ならともかく、ほぼノーリスクのヒーローの必殺技を使わない理由は公式が上手が説明できたことはありません。
エヴァやパシフィック・リムも、敵に対して通常兵器が効かないという設定、敵のプロレスに付き合ってあげる意味を説明するのは上手ですが、最初から必殺技を使わない理由はファン側が考えるしかありませんでした。
それをちゃんと作品内で説明した『古代戦士ハニワット』は偉大な漫画だと思います。
もともとウルトラ怪獣=自然災害の化身だった!?『シンウルトラマン』=『古代戦士ハニワット』になる説。
そして、上記の設定はまんまシンウルトラマンに使えます。
もともとウルトラ怪獣は自然災害の化身のようなものであり、傲慢な人間に対する自然からの警告のような存在であり、当時社会問題になった森林破壊や海洋汚染を風刺するような存在でもあったのです。
山を削れば怪獣の卵がみつかったり、海洋汚染が酷ければ海の生物が化け物になって現れたりしました。他にも、金に執着した人間が化け物になったり、復習に燃える人間が怪獣になったこともありました。
もともと日本には原初から自然を神として崇める風習があり、どんなものにも神が宿っている八百万の神という概念もありました。
高度経済成長を遂げた日本に「いつかしっぺ返しがくるんじゃないか」という言いようのない不安や恐怖の化身こそ怪獣だったのです。
あのゴジラも原子爆弾を風刺したものであり、原爆の化身と言っても過言ではありません。
だからこそ人間にとっての“敵”でありながら、忘れたり蔑ろにしてはいけない“神”のような存在としても描かれているのです。
破壊者でありながら、敬意を払わなければならない存在、まさに自然そのものとかわりません。破壊と恵の2つの顔を持っているのが自然であり、シン・ゴジラもそうでした。
シン・ゴジラは破壊者でありながら、人類にとっての無限の可能性を持つ遺伝子情報や新エネルギー元素を持っていました。
だからこそシン・ゴジラを殺すことはできず、凍結することで荒ぶる神の怒りを沈めました。
それでは『シン・ウルトラマン』ではどうなるかと言うと、もちろん『シン・ゴジラ』のように全ての怪獣を殺さず無力化していくのかもしれません。
しかし、怪獣が頻繁に出現する世界でそんなことをしていたら、人間の住む場所がなくなってしまいます。
だからこそ、『古代戦士ハニワット』のように怪獣を“納める儀式”をすればいいのです。
『シン・ウルトラマン』の設定を怪獣=自然災害の化身と明確化すれば、ウルトラマンが怪獣プロレスに付き合ってあげる理由も、通常兵器を使わない理由も、スペシウム光線を最後まで撃たない理由も、怪獣が何故か日本にしか出現しない理由も説明することができてしまいます。
怪獣を太古から存在する自然の化身であり、自然の負の面を象徴するものとして描き、ウルトラマンが戦うのは一種の祭祀であるとすれば、宇宙人を登場させずとも物語を完結させることができます。
ベーターカプセルは古代から伝わる神具という設定は斬新で面白いのではないでしょうか。
以上が『シンウルトラマン』=『古代戦士ハニワット』説です。
シン・ゴジラは殺さないのに、ほかのウルトラ怪獣は殺すというのはなんだかなーと思ったことからこの考察を考えました。
上記でも書きましたがウルトラ怪獣は、人間にとっての不安や恐怖を風刺した最高にクールな存在です。
ただの化け物でも殺戮者でもないのが海外の“モンスター”と“怪獣”の違いです。破壊者でありながら、人間に大切なことを思い出させてくれる存在なのです。
『シン・ウルトラマン』では是非ウルトラ怪獣を魅力的に描いてほしいです。