アニメ、漫画ともに大人気の『メイドインアビス』。かわいい絵柄なのにちょっぴりグロテスクなところが魅力の一つです。
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初見の方は、上昇負荷にご注意ください!https://t.co/D8HDbaNYyr#miabyss pic.twitter.com/CBNWGCrDOu— アニメ「メイドインアビス」公式 (@miabyss_anime) May 12, 2020
今回は『メイドインアビス』においてグロの原因でもありながら、物語を面白くする重要な舞台装置である“上昇負荷”について考察、解説していきます。
作品の魅力の根幹であり、人を選ぶ原因となっている“上昇負荷”という設定。個人的には二度と戻れない旅という物語が大好きです。
目次
上昇負荷とは?下に降りるほど強くなる“呪いの症状”
上昇負荷とは、『メイドインアビス』に登場する人類未踏の大縦穴“アビス”に登場するとある現象のことです。
穴の底へと降りていくぶんには何も異常はありませんが、上がろうとすると深さに応じて人体に害がある影響が出ます。
上昇した分だけ体に負荷がかかるので“上昇負荷”と呼ばれますが、探窟家たちはこの上昇負荷に耐えながらアビスに遺物を回収したり、探検をしなければなりません。
レアなアビスの遺物ほど深いところにある傾向があり、深部の遺物を持ち帰るにはそれなりの技量と経験がいります。
ここで界層によって違う負荷を見ていきましょう。
- 深界一層、アビスの淵
深さ0〜1350m。上昇負荷は軽いめまい、吐き気など。 - 深界二層、誘いの森
深さ1350〜2600m。上昇負荷は頭痛、嘔吐、手足末端のしびれな - 深界三層、大断層
深さ2600〜7000m。上昇負荷は二層のものに加え、平衡感覚の異常や幻聴、幻覚。 - 深界四層、巨人の盃
深さ7000〜12000m。上昇負荷は全身の激痛と全身の穴からの流血。 - 深界五層、なきがらの海
深さ12000~13000m。上昇負荷は感覚の喪失、意識混濁に伴う自傷行為。 - 深界六層、還らずの都
深さ13000~15500m。上昇負荷は人間性の喪失、もしくは死。 - 深界七層、最果ての渦
深さ15500mより下。上昇負荷は確実な死で、死に至るまでどんなことが起こるか、これより下に層があるのかもいまだ不明。
深さ15500mより下。上昇負荷は確実な死で、死に至るまでどんなことが起こるか、これより下に層があるのかもいまだ不明。
深界二層辺までの上昇負荷は高山病のように現実でもありそうですが、それより下は現実離れしているような気がします。
まるで帰ることを拒んでいるような大穴の上昇負荷はいつしか一部で“アビスの呪い”と呼ばれるようになりました。
ネタになった上昇負荷、グロの原因
上記にも書きましたが『メイドインアビス』は可愛らしい絵柄なのにもかかわらず、ショッキングでハードな描写があるところも人気の一つです。
うわべだけの綺麗な冒険譚だけではなく、そこに暮らす人々の生活や生き様をリアルに描いています。
ただ、そういったグロ描写に耐性がない人にとっては「作品が好きで続きが気になるけど、えげつない描写や展開に耐えれない。」というジレンマにもなっています。
『メイドインアビス』はグロに耐性がある人でも人によっては精神的にきつい展開があり、めまいや吐き気がでることから観ていだけで“上昇負荷がかかるアニメ”とネタにされるようになりました。
人気キャラでも容赦なく不運な目に合ったり、目を覆いたくなるほど辛い目にあうことや、作中のほとんどのショッキングなイベントが上昇負荷によるものなことから、「視聴不可」と「上昇負荷」をかけて「視聴負荷」とよばれたりもします。
筆者自身もグロには耐性があるほうですが、レグが実験されるシーンは描写が個人的に負荷が強かったです…。
上昇負荷を克服するためには?カートリッジやなれ果て化の怖さ。
上昇負荷は軽い負荷なら経験や精神力である程度耐えられるそうです。しかし、6,7層の負荷は常人には耐えることがほぼ不可能なことから、それより下に潜ることを帰って来れない旅“ラストダイブ”と呼びます。
しかし、なかには非人道的な手段で上昇負荷を回避しようとするものもいます。詳しくはこちらの記事で解説・考察しています。
非人道的な方法以外だと、アビスの呪いは生物にしか起きない事から、ロボットになれたり、理性を持ったままなれ果てになることができたらある程度の上昇負荷を克服できるでしょう。そんな方法あるのかな…。
上昇負荷には耐えられるのか?成れ果てを引き連れる神秘卿スラージョ。
『メイドインアビス』63話にて、ついに登場した新たな白笛“神秘卿スラージョ”。
彼女の隊は「呪詛船団(ヘイルヘックス)」という名で、いかにもアビスの呪いに精通していそうです。
ヘイルヘックスには成れ果てや、成れ果てのような姿をしているものの、ナナチのように理性を保っているキャラクターも在籍しています。
ファプタの発言からヘイルヘックスは魂や魂を重ねる術すらも知っている可能性があり、上昇負荷の謎がまたひとつ明かされるかもしれません。
ボンドルドのような、非人道的な上昇負荷の回避方法が増えるだけでなければいいですが…。
上昇負荷の物理的な正体。返しが付いた気体!?
上昇負荷、アビスの呪いの原理は作中で判明しています。アビスには返しが付いた気体のような、みえない布のようなものが何枚も重なっていて、下に落ちる分には反応しないそうですが、上に突き抜けようとすると反応するそうです。
これをナナチは“力場”と呼び、一部のキャラクターはこの能力を使って上昇負荷をある程度回避しています。
上昇負荷の謎。アビス子宮説や宇宙説
さて、はたしてなぜアビスにはこんな力場というものが広がっているのでしょうか。返しが付いているなんてまるで生物のようです。一度入ったものを逃さないようにしているのは何か意味があるのかもしれません。
ファンの考察の中には「アビス生物説」「アビス子宮説」「アビス宇宙説」などが有名です。これらはそのままの意味ではなく比喩しているという意味です。
アビス生物説は上記で書いたように獲物を逃さないような仕組みから考えられたもので、アビス子宮説はアビスの形が子宮に似ていたり、上昇負荷による人間の母体回帰の連想や深く潜るほど人間性にかかわる現象が起こることから考えられました。
アビス宇宙説は「アビスの中は外界より進む時間がゆっくり」という減少から考えられた節で、個人的にも一番押している説ですが、上昇負荷との関係が薄いのが気になるところです。
オースに広がる謎の奇病。上昇負荷が溢れ出している?
アビス周辺の街オースには謎の奇病が蔓延し始めています。
この奇病には特徴があり「原因不明」「嘔吐下痢、発熱などの症状」「誕生日が関係している」「小さい子供が発症する」「アビスから離れると治る」というものです。
誕生日に関しては全くの謎ですが、
- 症状
- 原因不明
- 小さくて体力のない子供から発症する
- アビスから離れると治る
こういった症状はまるで上昇負荷のようです。
アビスにはもしかすると、深界0層という概念があり、アビスの“上”にいる生物にも影響があると考えられます。
アビスの上昇負荷の原因が“力場”という“物質”ならば、それはどこからやってくるのでしょうか?
空気より重いためにアビスに沈殿しているだけだとして、もしアビスの底から力場が生成され続けているとしたら、いつか力場が世界中に溢れかもしれません。
オースの奇病はその前兆かも…。
白笛たちが気にしている次の二千年の謎も上昇負荷や力場が大きく関係していそうです。もしかすると二千年おきに上昇負荷を抑え込む儀式のようなものがあるのかも?
二度と帰れない旅はSFの特権だった?メイドインアビスの設定の奥深さの魅力
穴の底に何があるのか考え始めると眠れない
— アリスケ (@walking_planets) December 30, 2022
二度と帰れない旅といえば、SF作品の特権でした。メイドインアビスを“SF”ダークファンタジーと呼ぶ読者がいるのはそういった点に起因します。
こちらの記事でも考察しており、上記でもすこし語りましたが、「行ったら二度と故郷の仲間に会えない」「地上とアビスで流れる時の速さが違う(ウラシマ効果)」このような設定は昔のSFお決まりの設定でした。
「インターステラー」「バズ・ライトイヤー」など今でもそういった設定を見かけますが、あくまで宇宙のSFものであり、そこに目新しさはありませんでした。
しかし、これをファンタジーにもってきたのが“上昇負荷”という設定です。技術レベルも生活水準も現代にすら及ばないファンタジー世界の住民が必死に挑む姿はある意味歴史物を見ているような気分にもさせてくれます。
まとめ。上昇負荷はただの舞台装置じゃない。
“上昇負荷とは何なのか?”考察、解説していると、次第に“アビスとは何なのか?”というテーマを掘り下げたくなるものです。
それだけ上昇負荷という設定は『メイドインアビス』という物語の根幹になっていると思います。
以上まとめると
- 上昇負荷とは人類未踏破の大穴“アビス”にある下に降りるほど強くなる呪いのような症状。
- 探窟家たちは、上昇負荷に耐えながらアビスの遺物を回収したり、探検をしなければいけない。
- 上昇負荷はある程度慣れることや緩和することができるが、深部の遺物を持ち帰るにはそれなりの技量と経験、技がいる。
- 上昇負荷はまるで人が帰ることを拒んでいるよう。
- カートリッジやなれ果て化など上昇負荷を克服することもできる。
- 二度と帰れない旅はという物語はSF作品のよう。
最近はリコたちもアビスにすっかり慣れてしまって、上昇負荷を常に意識はしているものの、滅多に呪いの影響を受けなくなってしまったので残念です。
ゴア表現を見たいわけではないですが、いつかまた作品内で上昇負荷について深堀される日が待ち遠しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。