今回は『シン・ウルトラマン』に登場した『ミラーマン』『ゾーフィ』について考察、解説をしていこうと思います。
『シン・ウルトラマン』の面白さは、現実性を帯びたテーマに加えて、上手くアップデートされた懐かしいキャラクター達も魅力の一つです。
ウルトラマンや禍威獣、異星人はもちろんですが、個人的に特に魅力的だと思ったのは、警視庁警備局公安課”加賀美(カガミ)”とゾーフィです。
なぜこの二人なのか、自分自身でも最初はわかりませんでしたが、2回3回と『シン・ウルトラマン』を観るうちに「あー!なるほど。」と思いました。
この二人には“神永新二(ウルトラマン)を助けた”という共通点があります。
ウルトラマンを救った男! 警視庁警備局公安課”加賀美”とは?
警視庁警備局公安課”加賀美”と聞いて、誰だか思い出せない方も多いと思います。筆者自身も、何か引っかかるものの、最初は特に気にしていませんでした。
劇中では、禍特対のようなメインキャラクターではなく、サブキャラクターとしての登場でしたが、ウルトラマンの男“神永新二”をザラブ星人の卑劣な策略から救う鍵となった重要な人物でもあります。
加賀美は、神永新二がウルトラマンと同化する前、禍特対に入る前からの知り合いで「元同僚」とのことです。
神永新二もザラブの陰謀や禍威獣の正体を早々に見破る切れ者でしたが、加賀美も負けず劣らずの優秀な人物であることが劇中のセリフや行動から見て取れます。
神永新二への信頼も厚く、彼がウルトラマンの男とわかってからも、ザラブの策略にはまることなく自らの仕事を全うしました。
どうしても禍特対メンバーに目がいってしまいますが、実は一番近かったキャラクターです。
加賀美が動いていた時、政府はザラブ側についていたのにもかかわらず、“ウルトラマンの男”に協力し続けた彼はウルトラマンの相棒のような、もっと近い何かのようにも感じます。
そして、なにかの偶然か庵野監督が大好きな『ミラーマン』という特撮作品の主人公も名前を“鏡(カガミ)”といいます。
ミラーマンとは? 幻の企画『シン・ミラーマン』。
ミラーマンとは、円谷監督が監修を務めた作品で、構図としては変身ヒーローが怪獣や侵略者と戦うという『ウルトラマン』に少し似た作品でもあります。
『ミラーマン』は”侵略者から地球を守るためにやって来た別次元の訪問者”という設定があり、初代『ウルトラマン』よりも実は『シン・ウルトラマン』に似ている部分が多くあります。
主人公の鏡京太郎は地球人と別次元の生命体との子供であり、そこに葛藤がありました。
そして『シン・ウルトラマン デザインワークス』では、初期企画として『ミラーマン』があったことが語られています。
なので”加賀美”の正体は、ミラーマンというよりも言葉遊びのファンサービスに近いものなのかもしれません。
しかし、あの世界ではザラブやウルトラマンが来る前から地球にはメフィラスがいたということもあり、マルチバースの存在も示唆されています。
ミラーマンも地球に来訪しており、別種族と人間の間で揺れるシンウルトラマンに、割と近いものを感じ協力していたと考えると面白いのではないでしょうか。
ウルトラマンを救った2人目の男。ゾーフィとは真希波マリだった。
ウルトラマン、神永新二を救ったのは加賀美だけではありません。
ゾーフィも神永新二の命を救っています。
物語ラスト、ゼットン撃破により発生した異空間へ通じる穴に飲み込まれ別世界へ飛ばされかけていたウルトラマンを探し出して救出しました。
ウルトラマン、神永新二の生きたいという意思を頼りに駆けつけてくれた彼は、まさに『シン・エヴァンゲリオン』のシンジを見つけ出してくれた真希波マリと同じ正ヒロインだと思います。
光の国のおきてに忠実だったり、自らを裁定者と呼んだり、融通が利かなさそうでお堅いイメージでしたが、人類の英知と勇気に感銘を受け、ウルトラマンの説得により人間の生存を許してくれました。
ちなみにスキャンされたマスクの3Dデータはウルトラマンジャック(帰ってきたウルトラマン)のものだそうです。
なんだかんだ情に厚いゾーフィを観て”地球を去ったウルトラマンの代わりに監視役として地球にきて野蛮な侵略者と戦うのでは?”とファンの間では考察されています。
個人的にもゾーフィはお気に入りのキャラクターなので、ミラーマン加賀美とともに侵略者と戦う続編を妄想してしまいますね。(そこにご意見番としてメフィラスもいるとうれしい。)