「特撮の神様」円谷英二氏が築いてきた特殊撮影技術や、作品等に関連した資料を保存した『須賀川特撮アーカイブセンター』が 2020 年 11月3日に開館しました。
開館式には特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)理事長でもある庵野秀明氏(『シン・ウルトラマン』企画・脚本)、樋口真嗣氏(同監督)、尾上克郎氏(同准監督)が出席しました。
そこではシン・ウルトラマンのスタチュー(立像)が初公開されました。
以前より公開されていた、『カラータイマーが無い姿』が印象的なシンウルトラマンですが、以前のような棒立ち姿ではなく、公開されたのは『スペシウム光線を放つ姿』です。
「ウルトラマンといえばスペシウム光線」ですよね。劇中でスペシウム光線を放つシーンがあるのか?相手は誰なのか?妄想が膨らみますよね。
今回はシンウルトラマン、そしてスペシウム光線について解説考察していこうと思います。
スペシウム光線とは?荷電粒子砲というヱヴァとの共通点。
両手をクロスさせる独特のポーズの構え。スペシウム光線といえば男の子なら誰でも知っている、必殺技ではないでしょうか?
左手首が標的側、右手首が顔面側に向いていることがポイント。真似しようとして左右逆に構えるとスペシュッシュラ光線になってしまいます。
原理としては荷電粒子砲と似たもので、決してビームやレーザーではありません。
右手にマイナス、左手にプラスのエネルギーを集積させ、両手を重ねることでスパークさせることでスペシウム光線を放ちます。
荷電粒子砲とは、高速の荷電粒子を打ち出す兵器のことです。
しかし、現実には技術上できなくもないが、制約が大きく、コストがかかる上扱いずらいということで、兵器としての実用化ありません。
事実上SF上にしか登場しない存在ではあります。
「物体を荷電し粒子を加速器内で電圧をかけて亜光速まで加速させて放つ」というものであり。ウルトラマンはスペシウムという物質を荷電しスパークすることで、必殺技として扱っています。
荷電粒子砲は、光を増幅、集束させて放つレーザー光線とは似て非なるものです。
電荷を掛ける物質は何でも大丈夫ですが、粒子の質量が軽いと威力や射程の減衰が起こるため、出来るかぎり重い金属の粒子であるのが望ましいです。
ウルトラマンが扱うスペシウムはよっぽどの荷電粒子砲に優れた物質なのでしょう。
なぜここまで荷電粒子砲について深掘りするかと言うと、あの『新世紀エヴァンゲリオン』もにも荷電粒子砲が登場しますよね。
TVアニメ版第六話。第5使徒ラミエルを狙撃するための兵器「ポジトロンスナイパーライフル」。日本中の電力を使って放つ一撃必殺の陽電子砲です。
庵野秀明監督はこういう古典的なSFが大好きなんですよね。荷電粒子砲もそうですが、「リスクと引き換えにオーバーパワーを引き出す」みたいな。笑
もしウルトラマンも庵野監督流になるのなら、スペシウム光線のような必殺技は、何度も撃てるようなものではなく、1発打ったらもう後がないような技として扱われるのではないでしょうか?
それこそ『シン・ゴジラ』の放射熱線のように、撃ったら長い間動いたり変身したりできなくなってしまうという展開が有り得るかもしれません。
スペシウム光線の構えの由来。忍者が手裏剣を投げる姿…ではない!?
ウルトラマンを取り上げた雑誌では、スペシウム光線を放つあの特徴的な姿は「忍者が手裏剣を投げる動作をから着想を得た」と書かれてるものが多くあります。
しかし、真相はコンピュータもCGもない時代に、光線の合成処理をしやすくするためだと言われています。
「忍者が手裏剣を投げる動作」というのはあくまで子供達に撮影の裏を見せないためだとのことです。
そういう私は小学生の頃、父が買ってくれたウルトラマンを取り上げた雑誌の「ウルトラマンのスペシウム光線の構えは今から殺す怪獣のために十字架をつくっているのだ!」という解説を本気で信じていました。
最後に。庵野監督が好きなウルトラマンになって欲しい。
スペシウム光線の設定には、後世になって作られた設定が多くあります。「スペシウム光線はウルトラ戦士が最初に覚える基本の技」とかその他派生系についての設定などです。
ただ、色んな設定はありますが、庵野監督が重要視してるのはやはり初代のウルトラマンを現代に登場させるということでしょう。
それは今風にデザインを変えるとかそういったことではなく、「現代に、怪獣と戦う人型の宇宙人が現れたら?」というところが起点になると思います。
庵野監督にとって重要なのは、初代ウルトラマンが当時できなかったことを表現することのようです。
それはとても楽しみなことではありますが、やはり個人的には庵野監督の好きなウルトラマンの姿を見せて欲しいです。
成田亨氏のデザインしたカラータイマーのないウルトラマンも、もちろん良いですが、どうしても庵野監督の誇らしげにカラータイマーを胸につけていた姿が頭に浮かびます。
カラータイマーはともかく、ストーリーや登場怪獣もファンとしては庵野監督が好きで好きでたまらないというものを観たいですね。
それではまた続報がありましたら記事を書いていこうと思います。また次の記事で!