今回はアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の面白いところ、難しいところ、みどころをわかりやすく解説、考察していきます。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は魅力あふれるキャラクター、モビルスーツが多く登場します。
従来のガンダムシリーズの“お約束”や王道展開を尊重しながらも、人気音楽ユニット「YOASOBI」がOPを手がけていたり、世界観が従来のガンダムシリーズとは違ったりと新規の視聴者にも優しいストーリーになっています。
しかし、新規のストーリーやガンダムシリーズでは、いままで外伝でしか取り扱われなかったような“ロボット(モビルスーツ)産業”を中心としたお話は新鮮で面白いですが、全容がわかりにくくなってしまう時もあります。
そこで各キャラクターの目的や物語の注目ポイントについて解説、考察していきます。
目次
水星の魔女とは。ガンダム、企業、人間、どこに注目しても面白い物語
作品名 | 機動戦士ガンダム 水星の魔女 |
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制作 | サンライズ バンダイナムコフィルムワークス 創通 MBS |
原作 | 矢立肇、富野由悠季 |
監督 | 小林寛 |
シリーズ構成 | 大河内一楼 |
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』とは2022年10月2日より放送されているガンダムシリーズのアニメです。
ジャンルは学園物でありながら、モビルスーツをめぐる企業間の対立や、地球人と宇宙移民者の対立等が描かれており、従来のガンダムシリーズをリスペクトしつつも、挑戦的で新規も入りやすい物語になっています。
“エアリアル”という主人公の駆るモビルスーツ名から有名な菓子系のコラボ商品が発売されたり、セブンイレブンでのキャンペーン展開、オリジナル商品発売など近年のTVシリーズの中でも特に積極的に宣伝がされており、その分かSNSで話題になることも多いです。
水星の魔女のあらすじ・世界観説明。ただの学園ものじゃない物語。
A.S.(アド・ステラ)122。 数多の企業が宇宙へ進出し、巨大な経済圏を構築する時代。
モビルスーツ産業大手ベネリットグループが運営するアスティカシア高等専門学園に、辺境の地である水星から一人の少女、スレッタ・マーキュリーが入学する。
アド・ステラというのは、従来のガンダムシリーズで言うところの『宇宙世紀』、現実世界の『西暦』のようなものです。
制作人は「ガンダムというだけで、新しいシリーズのアニメでも敬遠してしまう」という初心者向けに“学園”という舞台装置を組み込んでおり、往年のスポコン展開や、王道恋愛漫画のようなコミカルかつ熱いシーンもあり、物語に感情移入しやすくなっています。
企業の御曹司や技術者志望、パイロット志望の学生たちに囲まれて、田舎出身のパイロット候補生の主人公スレッタが成長していきます。
『水星の魔女』の“みどころ”をわかりやすく解説。
『水星の魔女』には学園ストーリー以外にも緻密に描かれている部分が多くあります。
しかし、そこに目を向けすぎると全体のお話がわかりにくくなってしまいます。
ここからは「ここがわかるとより面白くなる」という部分を段階的に解説していくので、『水星の魔女』を構成する面白ポイントについて一緒に理解を深めていきましょう。
面白ポイント①ロボットを売る企業。時代を動かしているのは必ずしも国家ではない。
『水星の魔女』では“企業”という存在が重要なファクターとなっています。今までのガンダムシリーズでは、外伝や裏設定など以外でモビルスーツ産業や、企業に注目が集まることが少なく、シリーズではあまりみられなかったなかった企業間競争がアニメで楽しむことができます。
今の時代を動かしているのが必ずしも国家ではないという世界の状況、大人たちの対立関係が可視化され、国家間の戦争が実感しにくい現代でも、特有のきな臭い感じを楽しむことができます。
個人的に特に注目の企業はグラスレー・ディフェンス・システムズです。
詳しくはこちらの記事で解説していますが、主人公チームの虎の子である“ガンダム”をメタるモビルスーツを造っている会社です。
一つの会社に市場を独占させないための企業努力が涙ぐましいです。
面白ポイント②怖い!?従来と違う“ガンダム”とタイトル“魔女”の意味。
『水星の魔女』の主人公はスレッタ・マーキュリーですが、物語全体の主人公は“ガンダム”であるといえます。
「ガンダムアニメなんだから当たり前」と思う方もいると思いますが、今作では“ガンダム”というモビルスーツに「他のモビルスーツに比べて強い」という以上の価値が付いています。
『水星の魔女』におけるガンダムは、駆動系に“パーメット”といわれる新元素を使っています。詳しくはこちらの記事がわかりやすいです。
パーメットはパーメット同士で情報を保存、共有する性質を有しており、パーメットを使うガンダムの性能が抜群なのはもちろん、作中ではパーメット技術によって新たな技術体系が生み出されています。
まるで魔法のような物質ですね。しかし、パーメットは便利な物質…でありながら怖い物質でもあります。
パーメットを使ったモビルスーツがある程度の許容値を超えると、パーメットに蓄えられた情報がパイロットに逆流し、頭がパンクしてしまいます。
頭がパンクするとそのまま廃人に、悪ければ命を堕としてしまします。
そんなことがあって“ガンダム”はモビルスーツ業界ではタブーとされ、ガンダムに関わる人間は蔑称、畏怖、、畏敬などいろんな感情が込められ、“魔女”と呼ばれるようになってしまいました。
面白ポイント③宇宙移民者>地球人。虐げられる地球出身者。
『水星の魔女』では学園内、企業間の争いのほかに、宇宙移民者と地球出身者の争いがあります。
SF作品ではお決まりの「宇宙に進出した人類」という設定。
宇宙移民者と地球残留者の関係がどのようなものになっているか、作者のセンスが問われる設定になります。
「地球には貧乏人が住み、月に金持ちが住んでいる」という設定のSFがあったり、逆に「地球には金持ちが住み、宇宙にでる人間は鉱山惑星に出稼ぎに行っている」という設定のSFもあります。
初代『機動戦士ガンダム』では、地球に住めるのは一握りの特権階級のみで、宇宙移民者達は搾取され虐げられている設定でした。
しかし、『水星の魔女』ではこの構図が逆になっています。
宇宙移民者<地球人ではなく、宇宙移民者>地球人の関係です。
『水星の魔女』の世界では、地球は荒廃しており、貧困層やテロリストや犯罪組織が巣くっています。そんな地球出身者は宇宙でも虐げられ、“アーシアン”と呼ばれ不当な差別、弾圧を受けています。
そんなアーシアン側も、宇宙出身者を“スペーシアン”と蔑称のような言い方で呼んでいるので溝は深まるばかりです。大人たちの復讐の連鎖はとまることなく、だからこそ兵器であるモビルスーツ産業も潤っています。
この辺りのアーシアンとスペーシアンの対立関係をどうまとめるか?新しい価値感をもっている主人公たち学生たちがどうやって問題を解決していくかが注目ポイントです。
まとめ。企業、ガンダム、差別。に注目でわかりやすい。
パシフィック・リムみたいに2人乗りすることでデータストームに耐えるガンダム出てこないかな。
— アリスケ (@walking_planets) December 30, 2022
企業、ガンダム、差別
この三つは“わかりやすい”というものから最も離れているようにも感じますが、だからこそちょっと注目してみるだけで物語が格段に面白くなります。
『水星の魔女』は基本学園という舞台を中心に物語が動いているので、学生同士の人間関係さえ把握していれば簡単に物語を追っていくことができます。
しかし、どうせ好きになる作品ならもう一歩先の“好き”になりたいですよね。
以上まとめると
- アニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」はアスティカシア高等専門学園という架空の学園都市が舞台。
- 田舎出身の主人公は企業の御曹司や技術者志望、優秀なパイロット志望の学生たちに囲まれながら成長してく。
- 水星の魔女では「企業」という存在が重要。
- 主人公チームの虎の子「ガンダム」を対策するモビルスーツを造る会社も登場する。
- 水星の魔女におけるガンダムは駆動系に「パーメット」といわれる新元素を使っている。
- 初代「機動戦士ガンダム」では、地球に住めるのは一握りの特権階級のみだった。
- 水星の魔女では構図が逆、宇宙移民者>地球人になっている。
- 企業、ガンダム、差別に注目することで物語が格段に面白くなる。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』はデータストームやガンダム技術を企業間でめぐるお話も面白いですが、学園の人間関係、アーシアンとスペーシアンの対立も面白い舞台装置だと思います。
特にアーシアンとスペーシアンの対立では、ガンダムシリーズで今まで話には出るけど実際に描かれることのなかった「地球は緑に還して人類は全て宇宙で暮らす」という理想が本当に描かれるかもしれません。
モビルスーツは全部地球に置いて人類は全員宇宙で暮らしましょう…というのはやりすぎかもしれませんが、やはり一番のハッピーエンドはガンダムなんて兵器がこの世からなくなることですからね。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。