2021年4月2日より、放映開始された『SSSS.DYNAZENON』
TSUBURAYACONVETION発表の『SSSS.GRIDMAN』と同じ『GRIDMAN UNIVERSE』プロジェクトのひとつということもあり、毎週完成度の高い作品が放映されます。
『SSSS.DYNAZENON』は『SSSS.GRIDMAN』の続編ではありません。
登場キャラクターは『SSSS.GRIDMAN』や、原作『電光超人グリッドマン』から一新されており、世界観は共有しつつも、ストーリーは完全新作です。
今回は新規キャラクターの中でも、特に異彩を放つ『怪獣優生思想』にスポットを当てて解説&考察していこうと思います。
怪獣優生思想とは?にくめない敵役。
『怪獣優生思想』とは、アニメ『SSSS.DYNAZENON』に登場する敵役です。
敵役といっても前作『SSSS.GRIDMAN』のアレクシス・ケリヴや、原作『電光超人グリッドマン』のカーンデジファーとはすこし性質が違うようです。
アレクシス・ケリブやカーンデジファーに共通していたのは、人間の負の感情を源に怪獣を生み出し、人間を食い物にしていたということです。
しかし、怪獣優生思想は人間の負の感情を使って怪獣を生み出しているわけではありません。
ましてや人間が嫌いだから怪獣を暴れさせているというわけでもなさそうです。
ガウマは怪獣優生思想を、怪獣の思想で動いている危険な思想を持ったヤバいやつらとして、対立しているようですが、怪獣優生思想全員が全く同じ目的をもっているわけではないようにもみえます。
怪獣優生思想の構成員は、ジュウガ、オニジャ、ムジナ、シズムの4人で、「フジヨキ台」に神出鬼没に現れ怪獣を操り、破壊活動を行います。
確かに怪獣を使って破壊活動を行うところが、アレクシスやカーンデジファーと共通している気もします。
しかし、怪獣優生思想のメンバーはオニジャを除いてそこまで怪獣操作を真面目にやっているようには見えません。
ジュウガやシズムは物腰柔らかで、蓬や夢芽とも普通にコミニュケーションをはかってきます。
基本的にやる気がなさそうなムジナも、怪獣を操っている最中は、本気でストイックにダイナゼノンと戦います。
しかし、ダイナゼノンに怪獣が負けると、あっさり負けを認め、退散していきます。
怪獣が負けても悔しがったりする様子がありません。
「怪獣とダイナゼノンの戦いには本気になる。」
しかし「ダイナゼノンに怪獣が負けても別に気にしない。」これらの点を踏まえると、2つの考察が浮かびます。
考察1「怪獣が負けても変わりがいる。」
「怪獣が負けても変わりがいる。」
というのは、いまのそこらへんから湧いて出てくるような怪獣は、所詮序章に過ぎず、怪獣を超える存在を生み出す儀式の一環なのかもしれません。
そもそもフジヨキ台には、怪獣がこれからも出現し続けることが確定しているようなので、個々の怪獣には思い入れはないのだと思います。
考察2「怪獣を暴れさせることだけが目的」
「怪獣を暴れさせることだけが目的」といってもただ街を破壊したいテロリストというわけではなく、「怪獣を成仏させてあげること」を目的にしているのではないかと考えられます。
「グリッドマン」の世界では、怪獣とは人間の情動が具現化されたものです。
情動とは怒りや不安、興奮など本能的で激しい心の動きのことです。
『電光超人グリッドマン』では、武史の『SSSS.GRIDMAN』ではアカネの情動が具現化した存在を怪獣と呼びました。
『SSSS.DYNAZENON』に登場する怪獣も、人間の情動から生まれた存在なのではないでしょうか。
人間の情動が溜まりに溜まった存在が、怪獣として世に具現化される世界で、怪獣優生思想はその怪獣の成仏を望んでいるのかもしれません。
怪獣として思う存分に情動的な感情に支配され、思うがまま暴れることで成仏できるのではないかと思います。
本気で戦った結果ダイナゼノンに負けるのであれば、それはそれで怪獣は成仏していくのかもしれません。
前作の敵役であるアレクシス・ケリブは、「インスタンス・アブリアクション」という技で、アカネの情動感情によって生まれた怪獣を具現化していました。
アブリアクションとは、カタルシスの一種で精神分析の分野で使われる専門用語で、対象者のストレッサーを排除し、ストストレスから解放させることを意味します。
アレクシスは、アカネのストレスを具現化させ、思うがままに暴れさせることで、スッキリさせていました。
つまり、怪獣優生思想も、人間の行き場がない感情、どうしようもない感情の具現化である怪獣を操り、暴れさせることでストレスから解放させることが目的の組織かもしれません。
第4話では、怪獣優生思想は「怪獣を必要とする世界」のために活動していることがシズムによって明言されました。
怪獣の出現が、何かに縛られた人々を解放することに繋がるという考えをもっているらしく、怪獣優生思想とは、
ずばり「ストレスを怪獣によって発散する社会」を望む勢力なのではないかと思います。
だからこそ怪獣が暴れても、本気で暴れた結果ダイナゼノンに倒されても、それはそれでいいのかもしれません。
怪獣優生思想の正体はガウマと同じミイラか?
怪獣優生思想の正体は、ガウマと同じミイラだという考察があります。
ミイラとは、電光超人グリッドマンに登場した5500年前の中国に生きていた竜を操る一族の末裔のことです。
ジュウガはガウマを慕っていたと話しており、ガウマの怪獣を操る技術を研究、または引き継ごうとしていた組織なのかもしれません。
メンバーは4人で、ちょうどダイナゼノンを動かせるパイロットの人数と同じです。
これは単なる偶然か?それとも重大な伏線なのか?は未だ不明です。
怪獣優生思想の制服に暗示された五行思想。
怪獣優生思想は、全員白い軍服を着ており、軍服の左腕部分には、自分と同じ瞳の色をしたラインが入っています。
どうやら腕章のラインの色は、五行思想と関連しているようです。
ジュウガ
物腰柔らかな男で、怪獣優生思想のまとめ役。
蓬たちを同じ怪獣使いとして自分達の仲間に引き入れようとしており、話せばわかるタイプなのかもしれません。
腕章のラインは黄色で、五行思想で黄色は土を意味します。
五行思想の各色を春夏秋冬に当てはめた時、中心に来る色であり、メンバーのまとめ役のジュウガにはピッタリの数字と言えます。
オニジャ
髪型が奇抜で気性の荒い男。
ガウマを裏切り者として嫌い、蓬達へも完全に殲滅すべき敵として認識しているようです。
腕章のラインは赤色で、五行思想で赤色は火を意味します。五行思想で、というか現実でも火は木を燃やす存在です。
五行思想の木を表す水色の腕章はムジナがつけています。ムジナから邪険に扱われるのはこのせいかもしれません。
ムジナ
メンバーの唯一の女性です。
怪獣を操ることはそれなりにストイックに取り組んでいるようですが、ダイナゼノンやパイロット達には無関心です。
五行思想の色は青で、木を意味する色です。五行思想で木とは成長や発育を意味するのですが…
これ以上はわざわざ語るまでもありませんね。
シズム
怪獣の声を聞くことができる褐色肌の金髪美少年。フジヨキ台高校に交換留学生として来校し、蓬と夢芽に接触します。
高校に来校したのは、あくまで調査の為のようで、ダイナゼノンパイロットに、いきなり戦闘をしかけるのではなく、蓬と夢芽とは穏健に話をしていました。
シズムだけは他の怪獣優生思想のメンバーとは違い、腕章のラインの色と瞳の色は一致しません。腕章のラインは水を意味する黒です。
水は五官の耳を指すので、怪獣の声を聞くことができる彼にピッタリな色だと思います。
ガウマ
兄貴気質で蓬や夢芽とはダイナゼノンを通じて仲を深めていきます。
腕章はありませんが黄色の印象的な包帯をまいており、目の色は緑です。
目の下の黒いくまなど、外見的特徴がありすぎて、五行思想にあてはまっているか、懐疑的です。
ガウマののるダイナダイバーは潜水艦であり、蓬と出会ったのも河川敷なので、水とはすかなからず縁があるようです。
ただ、黒はすでにシズムがいるので、残る五行色は金になります。
ガウマの金要素といえば、ダイナゼノン(金属の塊)なのかなと思います。
五行色の金は金属全般を意味するので、ガウマは黒ではなく金なのかなと思います。
シズムは五行色が黒で金髪だったりと、ちょっと紛らわしいですよね。
五行思想に関しては、メンバーの色ちょっと関連したことがある程度で、まだストーリーに大きく関わっているとは感じないです。
しかし、今後の大きな伏線になってくるかもしれないので、頭に置いておくと、『SSSS.DYNAZENON』をもっと楽しめると思います。