過去最大のピンチに追い込まれたガウマ隊。
いよいよ最終回が迫っていることもあり、今週はいつにも増して作画も気合が入っていました。
主要キャラ達の濁されていた過去が次々とあきらかになっていき、それが次々と解決されていきました。ガウマと蓬だけは、ちょっと疑問が残りますが…。
夢芽と暦は、過去の「ああすればよかった」という心の中につっかえていたわだかまりが、解決されていった感じです。
個人的には、第10話あたりから、三話くらいかけて最終回に続いていくのかなと思っていましたが、どうやら最終回は最後の2話でやるっぽいですね。
ラスト2話を綺麗に終わらせるために、一番どろどろしている部分を最終回前に片付けたようです。
今回は見どころ多すぎな『SSSS.DYNAZENON 第10話 思い残した記憶って、なに?』について書いていこうと思います。
「こういう怪獣待ってた」「これでみんな自由になれる」
かつてない強大な力が街を襲っていた。蓬はダイナソルジャーを手にし、その根源に立ち向かう。
ダイナゼノン公式サイトの第10話説明文にもある通り、今回の怪獣はかなりの強敵でした。
怪獣は体内に人間や建物を取りこめるような空間を持ち、その中では自分が1番印象の強い過去に戻るようです。
「ほんとにあれでよかったのか」
「もっとああすればよかった」
「あの時をやり直したい」
という誰もが感じたことのある、人間の欲望を攻撃方法にした、ある意味最強の怪獣です。
『ダイナゼノン』の世界では、怪獣は人間の情動から生まれるもので、人間の悩みや欲望から生まれてくるものです。
多くの人間の悩みの種である「過去」を攻撃方法にし、怪獣に取り込まれてしまった人は、自分の変えたかった「過去」を目の前にしするとそこから抜け出せません。
蓬は過去にそんなに執着がなかったのか、ダイナソルジャーの力か、怪獣が創り出した過去から脱出することができました。
ナイトも表情からして既に「ここが怪獣が創った世界」だと気づいていたようです。やはり過去にけじめをつけている人へ対しては、「過去をみせる攻撃」の効果が弱かったようです。
蓬がガウマ隊のメンバーを助けに行くことによって全員は解放され、巨大化したカイゼルグリッドナイトによって怪獣は倒されました。
「体の中に取り込んで、やり直したかった過去を見せ、没入させて逃がさない」という攻撃は、恐ろしく最強な能力で、手強い怪獣でした。
しかし、怪獣を倒したことによるリターンもあります。
やることなくなっちゃった怪獣優生思想。
第10話で登場した怪獣は、最凶の怪獣に思えましたが、いざ倒されてしまうとかなりリターンの大きな怪獣だったことがわかります。
それは夢芽や暦をみていればわかりますが、怪獣によって心のわだかまりが解消されたのです。
怪獣の中では、「こうすればよかった」という過去を実際に経験することができました。ただ、やったところで今の結果は変わりませんでしたが。
暦はずっと「一生遊んでいけるお金」と「女の子」から逃げたことを悔やんでいましたが、結局は今も遊んでいるし、女の子とも良好な関係を築いています。
「結局どんな過去を選んでも、今は変わらない」ということを、怪獣は気づかせてくれたのです。
劇中で描かれたのはガウマ隊のメンバーだけでしたが、他に取り込まれた人達も同じように過去に対する未練を解消できたとおもいます。
こうなると困るのは怪獣優生思想ですよね。なぜなら怪獣は人間の情動から生まれるものです。
自分の悩んでいたことが解消されて、前を向き始めた人達からは、怪獣は生まれません。時間が経てば、再び生まれてくるかもしれないですが。。
蓬たちには日常が戻り始め、怪獣優生思想たちは怪獣を失った世界で行き場も失ってしまうでしょう。果たして怪獣優生思想のメンバー達は味方になるのか、それとも…。
怪獣優生思想のメンバー達が怪獣になったりするBADENDだけはやめてほしいですね。
「香乃に死んで欲しくなかった」という思いに気づいた夢芽。
怪獣に取り込まれたことによってついに夢芽の姉「南香乃」の死の真相があきらかになりました。
結局死の真相は「いじめによる自〇」でも「他〇」でもなく、単なる事故でした。だからといって、「あー、よかった。」とはならないですよね。
そう「事故でよかった」とはならないんです。「死んでしまったことが悲しい」のです。そんな当たり前のことに夢芽はやっと気がつくことができました。
姉のことが苦手で、姉の死のせいで両親の仲は険悪、母親は宗教にはまってしまった。姉の死因には黒い噂がいくつかある。
夢芽にとって姉の死は、ストレスの原因であり、いつの間にか「姉の死因を探ること」が夢芽の目的になっていました。
ちょっとひどい言い方になりますが、「姉の死因には何か理由があるはず」だと決めつけないと、正気を保てなかったのだと思います。。
自分や周りに、何かできることがあったはず。そう思わないと、現実を直視できなかったのです。
夢芽は、姉の死から自分はおかしくなってしまったことを自覚しており、姉の死因さえわかれば何か改善されるような気がしていたんだとおもいます。
しかし、姉の死には特に理由はなく、単なる事故でした。
彼氏がどんなに香乃に気を使おうが、周りにいじめがあろうがなかろうが、夢芽が香乃と仲良くしようが、死を避けることはできなかったのです。
怪獣の力ですが、香乃自身に死の真相を伝えられ、夢芽はやっと、死因がどうこうではなく、死んでしまったことが悲しいのだとわかります。
夢芽は、苦手だと思っていた姉のことが、本当は大好きであるという気持ちと、苦手だと思われていた香乃が、本当は自分のことを大切に思っていてくれたことに気づく。
夢芽は初めて本当の意味で香乃の死と向き合うことができ、やっと前を向くことができました。
ガウマと蓬だけ救われていない気が…。
ナイトの過去にアカネが登場したり、気合いの入りまくった作画や、香乃の死の真相が明かされたりと、盛りだくさんすぎた『ダイナゼノン 第10話』でした。
もうあとは気持ちよく最終回を迎えるだけです。
あと残された伏線は「ダイナゼノンの世界観」「姫の正体」「ガウマの裏切りの理由」くらいです。「ダイナゼノンの世界観」とは、グリッドマンとの関連性やなんの電子世界なのか気になるくらいです。
一山ありそうなのは「ガウマの裏切りの理由」や「姫の正体」です。ガウマが怪獣優生思想を裏切ったのは「姫」という存在が大きかったようです。
それほどにも魅力的なのでしょうか。姫のビジュアルが気になりますね。
あと、描かれるかわかりませんが、「蓬の正体」も何かあるかもしれません。蓬も家庭にそれなりの事情を抱えているようですが、それほど気にしていないようにもみえます。
それが単なる強がりとは思えません。強がりなら第10話の時点で怪獣に取り込まれた過去から抜け出せないはずです。
「人生そんなもん」と割り切っているなら、それはそれでよもさんが大人過ぎるような気がします。もしかすると『SSSS.GRIDMAN』のように、主人公にも何か重大な秘密が隠されているかもしれません。
果たして『SSSS.DYNAZENON』はどんなラストを観せてくれるのでしょうか。